アドビ Photoshop CS3 Extendedレビュー

オーバーレイによる複製、修復作業が可能なコピーソースパレット

コピーソースパレット

写真のキズや不要物の消去、画像の複製をする場合によく利用するのが、スタンプツールや修復ブラシだ。これらツールでの作業が効率的に行えるよう、Photoshop CS3 では「コピーソースパレット」が追加された。コピーソースパレットでは最大5つまで、ソース画像を記憶させることができるようになり、複製する場合にソース画像のサイズや角度を変えることもできる。例えば草原の写真のような、遠近でサイズが異なる領域での修正や、ひとつのモチーフを大きさや角度を変えながら画面全体に散りばめる場合に利用できる。
編集中は複製後の状態をオーバーレイでシュミレートすることもできるので、複製後のイメージが掴みやすく、厳密な編集作業が行える。
コピーソースパレット








複製したい領域を、オーバーレイ表示で確認しながら作業できる。
さらにPhotoshop CS3 Extended では、ムービーファイルの編集において、フレーム間での画像複製も行え、別ファイルの静止画像の一部をムービー上にコピーすることも可能だ。

3Dにも対応するVanishing Point(バニッシングポイント)

従来、平面もしくは直角の関係にある面の編集に限られていた「Vanishing Point」が、Photoshop CS3 では、90度以外の角度でも対応できるようになった。

バニッシングポイント

平面のCDジャケットデザインと、パースのかかったCDケースを合成。自由な角度に変形できる。
モチーフの面に合わせて作成した編集用のメッシュは、面ごとに角度が異なる複雑な形状でも、任意に傾けることが可能だ。従来は角度が異なれば、各面ごとに作業する必要があったが、一度で編集できるようになった。 陰影も反映されるため、3Dのマッピングのようなリアルな仕上がりが得られる。
Photoshop CS3 Extended では、Vanishing Point の編集をもとに3Dレイヤー(後述)に変換することで、360度自由に回転可能な3Dオブジェクトが作成可能だ。
3Dレイヤー
さらに Photoshop CS3 Extended では、ものさしツールを使ってパースのかかったモチーフの計測が可能で、3Dデータを 3DS、DXF、VPE(After Effects CS3 )形式で書き出すこともできるので、3Dソフト、ビデオ編集ソフトとの連携も行える。

3D画像とテクスチャの編集が可能な3Dレイヤー

これまでも Photoshop では三次元的な表現は可能だったが、基本的には平面のパースを利用した擬似的な3D表現であった。Photoshop CS3 Extended では、3Dデータを読み込むことが可能となり、3Dオブジェクトの拡大・縮小、回転、テクスチャの編集も可能となった。
3Dレイヤーは、Photoshop CS3 Extended で利用可能だ。
3Dレイヤー

3Dレイヤー

Photoshop CS3 Extended で読み込むことができる3Dファイル形式は、3DS、OBJ、Collada、KMZ(Google Earth)で、PDFへ3Dを埋め込める U3D(Universal 3D )にも対応している。3DCGや3D CADのデータを直接読み込めなくても、Acrobat 3Dを使って一旦 U3D に変換すれば読み込むことができる。
3Dのファイルは、他のファイルと同じように [開く] か、既にある画像に合成したい場合はレイヤーメニューから読み込み、3Dオブジェクトを扱う専用の「3Dレイヤー」として扱われる。
読み込まれたままでは平面的なオブジェクトのままだが、3Dレイヤーをダブルクリックすると、3Dモデル編集モードに切り替わり、オプションバーのツールを使ってオブジェクトのサイズや回転、光源などの設定が行える。
ただし、Photoshop上で新規テクスチャの追加や、マッピングの位置を変えるといった編集はできない。
3Dレイヤーオプションパレット
レンダリングモードも変更可能で、ボックスや陰面消去イラストレーション、ソリッドアウトライン、ワイヤフレーム などがあり、パッケージデザインのシミュレーションはもちろん、デザイン処理の演出としても利用できるだろう。
レンダリングモード
3DCG制作の現場では、モデリング、レンダリングは3Dソフトで行い、最終の色調整や微妙な修正は Photoshop で行うことが多い。Photoshop CS3 Extended 上で3Dモデルを扱えることで、作業の効率化を図ることができるだろう。
3Dレイヤーは非常にユニークな機能ではあるが、Photoshop CS3 Extended だけで3Dイメージが作成できるわけではないので、他の3Dアプリケーションとどのように連携して使いこなしていくのかがポイントとなるだろう。
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