実は私は坂出市の高校に通っていた。坂出には美味しいうどん屋がいくつかあるが、その頃は兵郷を知らなかった。それもそのはずで、兵郷は元々は製麺所でうどん玉の卸しが専門だったらしい。店頭で食べられるようになったのは数年前からだそうだ。
その為、店内はさほど広くはなく、椅子とテーブルが用意された店内もあるが、5、6人座れば満員。外に用意された縁台、もしくは立ち食いを基本とする。
兵郷も店のシステムはセルフ。入り口にあるプラスチック製の餅箱(?)には、大きなどんぶりと小さな丼が入っている。自分が大(2玉)を食べたければ、大きい丼を、小(1玉)を食べたければ小さい丼をあらかじめチョイスする。
昼時なら列ができているので丼を持って並び、うどんを茹でているおばちゃんに大か小かを告げる。丼を渡し、うどん玉を入れてもらうが、私たちは麺が温め柔らかくなるのを避けるため、「そのままのかけ」を注文した。
丼にうどん玉を入れてもらい、天ぷらなどをトッピング、隣の部屋に移動してテーブルに置かれたネギや七味を入れ、汁の入った大きなタンクがあるのでタンクの蛇口をひねって自分で汁を入れる。
実はこのタンクの蛇口から汁を注ぐのには、個人的に懐かしい思い出がある。昔、実家の丸亀市の中心部に「四国うどん」というセルフの店があって、幼稚園の頃、よく母親に連れられて行った記憶がある。そこが同じような汁の入ったタンクが使われていたのだ。今ではその地域も再開発されてそのうどん屋も無くなってしまったが、タンクのあるうどん屋を訪れると、ノスタルジーを感じてしまう。
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