さぬきうどんデジカメレポート 食べたくなったらベルメゾンネット
名店の数々
第四回 池内
第三回 兵郷
第二回 がもう
第一回 讃岐の里

讃岐うどん魂
文・写真:うんとん
香川で生まれ育った生粋のうどん好き。現在は関西に住むが、帰省の際にはうどん店巡りを欠かさない。

第二回 兵郷
 

 香川のうどん屋には特有の「ディープさ」が漂う店がある。それが香川のうどん屋の人気の秘密でもあるが、第三回目にしてやっとディープな店を紹介する。

 坂出市寿町にある「兵郷」は、さほど交通量の多くない道路近くにあるが、道沿いの駐車場の裏で奥まった住宅街にあるので、詳しい場所を知らずにクルマを走らせているときっと見過ごしてしまうだろう。近くに郵便局の支局があるのでそれを目印としておけば見つけられるはずだ。

  兵郷
 

 実は私は坂出市の高校に通っていた。坂出には美味しいうどん屋がいくつかあるが、その頃は兵郷を知らなかった。それもそのはずで、兵郷は元々は製麺所でうどん玉の卸しが専門だったらしい。店頭で食べられるようになったのは数年前からだそうだ。

 その為、店内はさほど広くはなく、椅子とテーブルが用意された店内もあるが、5、6人座れば満員。外に用意された縁台、もしくは立ち食いを基本とする。

 兵郷も店のシステムはセルフ。入り口にあるプラスチック製の餅箱(?)には、大きなどんぶりと小さな丼が入っている。自分が大(2玉)を食べたければ、大きい丼を、小(1玉)を食べたければ小さい丼をあらかじめチョイスする。

 昼時なら列ができているので丼を持って並び、うどんを茹でているおばちゃんに大か小かを告げる。丼を渡し、うどん玉を入れてもらうが、私たちは麺が温め柔らかくなるのを避けるため、「そのままのかけ」を注文した。

 丼にうどん玉を入れてもらい、天ぷらなどをトッピング、隣の部屋に移動してテーブルに置かれたネギや七味を入れ、汁の入った大きなタンクがあるのでタンクの蛇口をひねって自分で汁を入れる。

 実はこのタンクの蛇口から汁を注ぐのには、個人的に懐かしい思い出がある。昔、実家の丸亀市の中心部に「四国うどん」というセルフの店があって、幼稚園の頃、よく母親に連れられて行った記憶がある。そこが同じような汁の入ったタンクが使われていたのだ。今ではその地域も再開発されてそのうどん屋も無くなってしまったが、タンクのあるうどん屋を訪れると、ノスタルジーを感じてしまう。

  兵郷
 

 席が空いていれば店内で頂いてもよいが、私たちが訪れた時はちょうど正午過ぎだったので、外の縁台で頂いた。写真でわかるように「どこがうどん屋やねん!」とツッコミたくなるような怪しさ、スバラシイ!

 さて、兵郷のうどんだが、麺は少し細めで柔らかさがあるがコシはシッカリしている。さすが製麺所からスタートしているだけのことはある。兵郷に限らず、最近では香川のうどん屋は細目のうどんが主流のようだ。

 汁は私の好きなタイプで透き通って色は薄いが、鰹の味はちゃんとしていてうまい! 喉越しツルツルッと、あっという間に食べ終わってしまった。

  兵郷
 

  私は大を頂いたが、1杯200円。両親とヨメと私の4人で 800円。香川では標準的といってよいだろうが、味から考えればリーズナブルである。

 お勘定は麺を入れて貰った時に払っても良いが、次の人が並んでいたので食べ終わった後、丼を返す際におばちゃんに食べたものを自己申告でお勘定する。

 食べたものをごまかそうとすればできるし、食い逃げもできるだろう。しかし、そこはお店と客との信頼関係。これも香川のうどん屋のよいところだ。

 営業時間は午後1時半までなので、うどん屋巡りをする際には入店時間には注意して欲しい。

 
 
店名 兵郷
住所 坂出市寿町3-2-9
電話 0877-46-2869
営業時間

9:00 〜 13:30

休業日 毎週日曜、祝日
アクセス
坂出市中心部を横切る県道33号線(旧国道11号線)を高松方面から丸亀方面に向かう。JR坂出駅前に通じる道と交差点(メガネの三城が目印)を越えて、西(丸亀方面)へ約1kmの交差点に宮本製材所があるので、左へ折れる。数百メートル進んだところに郵便局と駐車場があり、その奥まったところ。
※営業時間、定休日など変更されている場合があります。
兵郷
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