BSの1つ「オートベストショット」は、カメラを向けるだけで人物や風景、小物など被写体に応じて最適なシーンモードが自動設定されるシーン判別機能で、最近のデジタルカメラでは採用が広がっている。
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判別できるシーンは [人物] [風景] [夜景] [人物と夜景] [接写] [動作] の6種類。
例えば人物にカメラを向けると「人物を撮影します」というメッセージ表示と共に、人物モードに切り替わる。と同時に顔検出と人肌を滑らかに撮影できるメイクアップ機能も働く。
判断のスピードにストレスを感じることはなく、判別結果によっては他のシーン候補へ任意に切り替えできるケースもある。 |
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また、背面の [SET] ボタンを押すと主な撮影メニューを即座に呼び出して、AFモードや露出補正などの細かな設定変更も可能だ。ただし、オートベストショットは被写体に応じてシーンモードが常に変化する関係上、変更できるのは画像サイズ、セルフタイマー、ストロボなどに制限される。 |
これらシーンモードの多くは、動画撮影でも利用することができる。EX-Z400はHDムービーの撮影が可能で、一部を除き選択している静止画シーンモードのまま背面のムービーボタンを押すと、即座に動画撮影が可能だ。
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そして、モニター画面には笑顔インジケーターが表示され、笑顔と判断されたところで自動撮影される。笑顔を判断する精度は [敏感さ] として3段階で設定することが可能で、利用してみた印象では中間の2段階目が自然な笑顔でも反応してくれ使いやすかった。
オートシャッターはほかにも、手ぶれや被写体ぶれが止まった瞬間に自動でシャッターを切る「ブレ検出」「流し撮り検出」がある。 |
メイクアップモードは「美しさレベル」を調整して、肌を滑らかに写すことができる。メイクアップモードでは肌色部分に、ゆるくボカシがかかり滑らかにしている。実際に試したところ、レベルを上げるほど肌が滑らかになるが、光の当たり具合によっては肌のハイライト部分が白飛びすることもあったので、設定を変えながら何通りか撮影するとよいだろう。
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追尾AFは被写体に対して一旦、AFエリアをロックすると被写体が動いてもAFエリアが追いかけ続ける機能だ。メニューで [AFエリア:トラッキング] に設定し、画面中央部分のAFフレームを被写体に合わせて方向キーの左右いずれを押すと、被写体をロックオンしてカメラ本体や被写体が動いてもAFエリアが追い続ける。
追尾AFは顔検出とは異なり顔以外の被写体でも追尾が可能なので、動き回る子供やペットの撮影に便利だ。追尾している被写体が画面から外れても、一瞬なら捕捉し続けることが可能だ。追尾AFが設定されていても顔検出がオンになっている場合は、顔検出が優先される。 |
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ベストショット [風景を写す]、シャッタースピード
1/160秒、F7.0、ISO100。 |
オートベストショット [近くを写す]、シャッタースピード
1/60秒、F2.6、ISO100。 |
ベストショット [夜景を写す]、シャッタースピード
1/10秒、F2.6、ISO64。 |
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オートベストショット [近くを写す]、シャッタースピード
1/60秒、F2.6、ISO80。 |
オートベストショット [オート]、シャッタースピード
1/60秒、F2.6、ISO64。 |
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再生モードは背面の再生モードボタンを押して切り替え可能で、電源オフ状態から再生モードで起動することもできる。サムネール表示ではズームレバーの操作により、一枚表示、遠近感のある一覧表示、カレンダー表示に切り替えることができる。
再生モードでは先に説明した [キャラクター貼り付け] のほか、明るさ補正やアングル補正、ムービー編集など多彩な編集機能を備えている。
ただ編集機能が多くて内容が伝わりにくいところもあるので、撮影モードのBS一覧のような、編集内容のサンプルを一覧表示して選択できるようなメニュー構成でも良いのではないだろうか。
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EX-Z400には専用リチウムイオン充電池 NP-40 が付属する。
同梱のバッテリーチャージャーを利用して約2時間30分でフル充電が可能で、約550枚(CIPA準拠※)の撮影が可能だ。多機能でいろいろと遊べるEX-Z400だけに、長寿命バッテリーの採用は心強い。 |
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本体の他に、リチウムイオン充電池、専用充電器、AC電源コード、USBケーブル、AVケーブル、ストラップ、レンズキャップ、レンズフード、シャッターレリーズ、CD-ROM、取扱説明書が付属する。 |
※CIPA規格:カメラ映像機器工業会(Camera & Imaging Products Association)が定める電池寿命測定方法についての統一規格。 |
旅行や日常のスナップ写真が目的なら、トイカメラは別としていま市場に出回っているどのコンパクトデジタルカメラを手にしても、大きな不満を感じることはないだろう。カメラ付き携帯でも高画素化や顔検出、高感度撮影が可能になるなど、デジタルカメラを持参していなくても充分なケースもある。
そんな成熟したデジタルカメラ市場において、動画合成機能であるダイナミックフォトを備えるEX-Z400の存在はデジタルカメラの新しい楽しみ方の提案と受け取ることができる。その場に出くわしてたまたま撮影をする旅行や日常のスナップ撮影とは異なり、ダイナミックフォトは作品づくりとしての撮影を強く意識させる。
しかもそれはネイチャーフォトのような作品とは異なり、デジタル技術ならではの遊べる作品づくりで、事前に仕上がりをイメージしたり、撮影時のセッティングなどデジカメの新しい使い方を体感できる。
ダイナミックフォトスペシャルサイトでは同機能を使った、ユニークなサンプルが豊富に用意されているので参照して欲しい。
ユーザーによっては動画合成など自分には必要ないと、冷ややかに構える向きもあるかもしれない。だが、広角28mmや手ぶれ補正機能、シーン自動判別、顔検出、追尾AF、多数のシーンモードとデジタルカメラとしては全部入りと呼べるほどの機能を備えている。モデルチェンジ毎に、デジカメの機能は積み木のようにどんどん積み上がっていくので、過去には新機能であった部分にスポットが当たりにくいが、動画合成を利用しないとしてもEX-Z400の機能は豊富で満足度が高い。
過去、超高速撮影が可能なことで話題になった
EX-F1は、その機能を使いたいが為に購入するユーザーもいたほどだ。EX-Z400の動画合成機能が、同じほど購入の後押しになるかどうかはわからないが、EX-Z400は全部入りで満足、+αで遊べるデジカメとして新しい方向性を示している。