ペンタックス Optio W60 レビュー

広角28mm、水深4mでの撮影が可能な防水・防塵コンパクトデジタルカメラ“ペンタックス Optio W60”

ペンタックス [ http://www.pentax.jp/ ]
Optio W60
価格:オープンプライス 最新価格を調べる >>
発売日:2008年6月
デジタルカメラの中でも季節商品といえるような、特定のシーズンを意識した製品カテゴリーがある。それは防水機能を備えたデジカメだ。各社とも毎年、夏を目前に新製品が投入される。
今回ご紹介するOptio W60もその一つで、水深4mの撮影にも対応する本格的な防水・防塵機能を備えるデジタルカメラだ。この夏、海へのレジャーを考えている読者なら、防水機能を備えた本機の購入を、検討している方も居るのではないだろうか。

身につけることが苦にならない、スリムでコンパクトなボディ

まず、外観からチェック。
Optio W60は約1年前に発売された、同じく防水・防塵対応のOptio W30の後継機となる。
「W」は、防水の意味「Waterproof(ウォータープルーフ)」の頭文字だ。
防水デジカメは主にマリンスポーツや水遊びなど、水に触れる機会が増える夏を意識して市場投入されるため、年一回程度と一般的なデジカメに比べると製品サイクルも長い。そのためボディデザインは、毎回フルモデルチェンジされる傾向にある。
Optio W60も横長のスタイルやレンズのレイアウトなど、基本的な部分はOptio W30から踏襲しつつも、ボディデザインはフルモデルチェンジされている。
カラーラインアップはお借りしたシルバーのほかに、オーシャンブルー、コーラルピンクがある。
レンズ周りやグリップ、上部に使われたブラックがマリンスポーツグッズにある、プロテクターのようでスポーティーな印象を持つ。

前面のパネル以外、カバーのほとんどが樹脂製で構成されているため、重量は約145g(バッテリー、SDメモリーカード含む)と軽い。そのため手に取ってみると、安っぽく受け止められる向きもあるだろう。Optio W60に限らず防水・防塵機器は実用性が重視されるため、素材やデザイン面で制約を受けることが多い。しかし、アクティブな環境での利用を考慮すれば、キズや凹みで塗装が剥がれるメタルボディよりも、樹脂製の方が好まれる場合もあるだろう。

手に持ってみると横長ボディのため、右手のみでのホールドでは、重量バランスが厳しく手ぶれしやすい。
ただ、水中の撮影では両手でホールドできないことがあっても、浮力も働くため片手ホールドでもバランスは悪くないのかもしれない。

ボディ前面に施されたロゴなどは、本体を縦にしたときに正位置になるようデザインされている。これはマリンスポーツやアウトドアなどアクティブな環境では、首からストラップでぶら下げる機会が多い為だ。

上部には電源ボタン、シャッターボタンがある。小さく開いた8つの穴はスピーカーで、ロゴの横にある穴はマイクだ。

レンズはズーミングによる繰り出しがない屈曲光学系を採用。広角28mmを採用し、35mm換算で約28 〜140mmの光学5倍ズームに対応する。
また、画像サイズは小さくなるが、画像の中央部分を切り抜いてズーム効果が得られるインテリジェントズームでは、最大28.5倍(画像サイズ640×480ピクセル時)に対応する。(後述)

レンズ部には開閉するレンズカバーが無く、レンズを守る保護ガラスを採用する。カバーの開閉によって砂やホコリが挟まる心配もなく、水滴や汚れが付いても、手軽に拭き取ることができる。

撮像素子は1/2.3型 CCDを搭載し、有効1000万画素、最大画像サイズ3648x2736ピクセルの撮影が可能だ。

次に背面を見ていこう。
背面には2.5型液晶モニター、各種操作キーなどが配置されている。
2.5型液晶モニターは約23万画素で、このサイズの解像度としては一般的だが、直線の被写体が斜めに映し出されるとジャギー(ギザギザ)が発生することもあった。
特に撮影直後に表示される、プレビュー表示は、ジャギーが目立ち表示が荒い印象を受けた。
視野角は広く、ほぼ水平に近い斜め方向からの視認性も、充分確保されているので、ハイ・ローアングルの厳しい撮影にも耐えられるだろう。
操作キーは他のOptioシリーズとほぼ同等で、キーに機能をカスタマイズできるグリーンボタンもある。Optio W60の特長として、顔認識と笑顔でシャッターが切れる、スマイルキャッチボタンが追加されている。
撮影中、ディスプレイ表示の切り替えは [OK] ボタンで可能だったが、本体にはそれらしきメニューの記載がないため操作に迷ってしまった。
また内部の防水・防塵構造の影響からか、全体的にキーやボタン類は強く押さなければならず、ボタンを押した際のクリック感も物足りない。
これは個体差かも知れないが、シャッターボタンは半押し状態から撮影までのボタンの押し込みがかなり深く、シャッターが切れるタイミングが掴みにくかった。
また、シャッターボタンを押してから撮影されるまでのレリーズタイムラグもかなりあり、シャッターチャンスを逃すことも何度かあった。アクティブな利用を想定した本機としては、似付かわしくない部分だ。
メモリーカード、バッテリーは底面から挿入する。メモリーカードは、4GBまでのSD / SDHC メモリーカードに対応する。カタログ・取扱説明書に正式な記載は無かったが、手元にあった8GBのSDHCカードでも利用することができた。ただし、利用する場合は自己責任で対応して欲しい。
メモリーカードスロットの隣には、PC/AV接続のためのUSB端子が用意されている。
メモリーカード / バッテリースロットカバーは、小さなレバーをスライドさせないと開かないようになっており、防水・防塵の面から不意に開くことがないよう工夫がされている。
カバーの内部には黒いゴムパッキンが施されており、メモリーカード / バッテリースロットを密閉し、水や砂などの侵入を防ぐことができる。そのためカバーをスライドさせるには普通よりも少し力が必要で、手が汗ばんでいると滑って開けづらいこともあった。

水深4mで連続2時間の撮影ができる、本格的な防水機能を採用

Optio W60の大きな特長の一つは、本格的な防水・防塵機能だ。
性能としては防水が「JIS保護等級8級」、防塵は「JIS保護等級5級」となっている。防水「JIS保護等級8級」は水中での利用が可能で、水中撮影用の防水ケースに匹敵し、Optio W60は水深4mまで対応する。防塵「JIS保護等級5級」は、動作に影響を及ぼすほどの粉塵は入らない(入った場合でも動作に影響しない)設計されている。
今回はその防水機能を試すべく、川のせせらぎで撮影を行った。

撮影中、最も実感したのが、防水機能による精神的安心感だ。

例えば、始めはそのつもりは無くても、川を目の前にすると足だけでも入りたくなったり、公園の噴水で子供が水遊びを始めてしまうといった状況は良くある。
そのような場合、特にアウトドアではデジカメをネックストラップで首から提げて、利用することが多いだろうが、腰をかがめたり俯いたりして、不意に水に浸かっても全く気にする必要が無く、自由に動ける。

また、防水機能を活かした撮影も可能だ。水面にレンズ部分まで沈めて水面から風景を撮影したり、水中から地上を見上げるといった、非防水デジカメでは不可能な視点での撮影が可能だ。

さらに、Optio W60は水深4mまでの撮影利用が可能なので、本格的なダイビングでも利用できる。

今回の川での利用では、気になる点もあった。利用後に底面のメモリーカード / バッテリースロットカバーをスライドして開ける際、すき間から細かい砂が侵入していたようで「ガリガリ」と擦れる音がした。カバー内部のゴムパッキンのおかげで、本体内部まで砂は侵入していなかったが、音がしたときには少し焦ってしまった。
細かな砂やホコリがある環境で利用した後には、メモリーカード / バッテリースロットカバー部に侵入した異物を、ブロアーブラシで吹き飛ばしてメンテナンスを心がけた方がよいだろう。その際、エアーの勢いで砂が内部に飛ばないよう注意も必要だ。
次ページ「シーンを自動判別オートピクチャーモード、笑顔に反応スマイルキャッチ搭載
  1 / 2
デジカメの基本から撮影転送編集プリント活用法を幅広くご提供する“カシャリ!”