エントリーモデルながら、2.5型液晶モニター、手ぶれ・被写体ぶれ軽減機能を搭載する“カシオ EXILIM ZOOM EX-Z60”

カシオ [ http://dc.casio.jp/ ]
EXILIM ZOOM EX-Z60
価格:オープンプライス 最新価格を調べる >>
発売日:2006年4月14日
カシオのデジタルカメラといえば、「薄くてスタイリッシュ」という言葉を思い浮かべるだろう。確かにそれは EXILIM シリーズを象徴している言葉だが、それだけが取り柄ではない。
過去のモデルを振り返ってみてもカードサイズとほぼ同じスリムなデジカメや、初心者にも優しい多彩なシーンモード。さらには2.5型を超える大型液晶モニターに長寿命なバッテリー、高感度による手ぶれ・被写体ぶれなど、現在のコンパクトデジタルカメラでは、当たり前となっているそれら機能をいち早く、先頭を切って搭載してきたのが EXILIM シリーズだ。

ここで紹介する EXILIM EX-Z60 は、店頭でも3万円を切る価格が付いおり、それらほとんどの特徴を手頃な価格帯で実現したエントリーモデルとなる。しかし、少し触ってみてもエントリーモデルとは言い難いほどの多機能ぶりだ。
では、その特徴的なところを中心にレビューしていきたい。

エントリーモデルとは思えない高品位な質感に、2.5型液晶モニターを搭載

まずは外観からチェック。
EX-Z60 のボディカラーは、シルバーとレッドの EX-Z60RD がラインナップされており、今回はよりスタイリッシュな印象のシルバーをお借りすることができた。

本体は前面・背面共にアルミ製で、前面のみ横方向への擦り加工が施されていることもあって、精悍な印象を受ける。さらにシルバーモデルの EX-Z60 は、「CASIO」「EXILIM」のロゴも本体と同じシルバーで処理されており、無駄を省いたシンプルなデザインは金属の削り出しのようで、クールさを醸し出している。
クールな印象を与える要因には、ボディサイズの薄さもある。過去を通じて EXILIM シリーズは、本体のスリムさが特徴であったが、EX-Z60 も薄さが重要なポイントだ。
液晶部分を含む厚みは 19.8mm と 2cm をわずかに切る程度だが、操作キー部分は 16.2mm とさらに薄い。そのため右手で構えると、ボディの薄さを特に感じられる。手に持った印象としては、見た目の割にズッシリとしている。EX-Z60 は、エントリーモデルとしての位置付けだが、適度な重さのおかげで安っぽさがない。
上下部は丸く加工されていて、手になじみやすいが、薄さとしてはこれぐらいが限度ではないか。
EX-Z60 の場合は特にグリップの要素となる突起などが一切無いので、構えている時以外で手に持っていると、ずり落ちはしないか少し不安を感じることもあった。慣れるまでは必要以上にカメラに手を密着させようと、手に力が入りすぎることもあったので、持ち歩く場合はストラップを手に巻くなど、落下防止を心がけたほうがよいだろう。
上部は、電源ボタンとシャッターボタンのみ。電源ボタンは小さく突起もほとんど無くシンプルではあるが、手探りだけでのオン/オフは判りづらく、指先では隣の [ON/OFF] の刻印の凹凸と勘違いすることがあった。

シャッターボタンは横長で、立て付けが少しフワフワしている印象だ。押す位置によっては傾きが大きくなるものの、シャッターボタンのどこを押してもちゃんと撮影されるので問題はないが、パーツの取り付けに物足りなさが感じられた。

レンズは光学3倍ズームで、デジタルとの併用で最大12倍まで可能だ。被写体に対して10〜50cm の範囲では、自動で接写モードに切り替わるオートマクロに対応している。
次に背面を見ていこう。
背面の印象は他の EXILIM シリーズと同様で、大きな液晶モニターとシンプルな操作キー構成が特徴的だ。各種設定は大きな液晶モニターを活かしてメニュー操作で行い、操作キーは必要最小限に抑えられている。
液晶モニターのサイズは、2.5型で解像度は11.5万画素。23万画素が増えているこのクラスの画質としては標準的で、特別綺麗というわけではないが、ギザギザ感やざらつきなどは見られない。
ただし、視野角(斜め方向からの綺麗に見える角度)に関してはさほど広くはなく、左右方向はまだしも、上下方向は狭く、カメラを下へ少し傾けると、明暗が反転してしまい見づらくなってしまう。

また、液晶モニターは操作キー部分に比べて厚みがあり、出っ張ったようになっているので、液晶保護フィルムを貼るなどキズへの予防が必要だろう。
EX-Z60 のキー構成はシンプルで、ズームキー、再生・撮影モードキー、 MENUキー、十字キー、BS(ベストショット)キーとなっている。
再生・撮影モードキーはそれぞれの切り替えの他に、設定により各モードでの電源オン・オフも可能だ。起動してすぐに再生モードにも入れるので、撮影済みの画像を確認したいときにも素早く閲覧することができる。

MENU キー、BS キーは、サイズが少し小さめだが、液晶モニターの厚みの傾斜にあり、突起が十分あるので手探りでも操作しやすい。
操作キーが必要最小限の構成となっているため、ホワイトバランスや露出補正などの変更は、メニューを呼び出す必要がある。しかし、EX-Z60 では左右キーにそれら機能を割り当てることが可能だ。割り当てる機能はひとつだけなので、併用する場合はやはりメニュー操作が必要だ。
利用できる外部メモリーは SD カードで、バッテリーと共に底面から挿入する。
取り出しの際には少しコツが必要で、ロック解除でバネによってバッテリーが飛び出すが、指に当たるなどして飛び出しが不十分だと、掴みにくく取り出しにくい。フタがもう少し広い角度で開けば取り出しやすくなると思う。
底面には三脚用の穴と、充電と画像転送用のコネクターもある。三脚用の穴は中心より少しずれているが、三脚の種類によってはフタとの位置関係で、セットしたままバッテリー、SD カードの交換はできない場合もあるだろう。

ピクセルサイズとプリントサイズが把握しやすい、画像サイズ設定

次に撮影モードや設定を含めた操作性を見ていこう。
EX-Z60 は、カタログによると電源投入から約1.4秒程度で撮影可能と記載されている。ただし、これはストロボ・オフの状態で、ストロボ・オンで液晶モニターがちゃんと表示されるには2秒足らず必要だ。とはいうものの、実感として起動スピードにストレスを感じるようなことはない。
EX-Z60 は最大600万画素での撮影が可能で、設定できる画像サイズは全部で6種類ある。
最大サイズの 6M は、有効画素の比率である [6M:2816×2112] と、サービスサイズの比率である [6M(3:2):2816×1872] の2種類があり、[4M:2304×1728] 、[3M:2048×1536] 、[2M:1600×1200] 、[VGA:640 x 480] と続く。
画像サイズの設定メニューでは、メガピクセル表示の他にピクセル数、プリントサイズの表示がループ表示されるので目的に応じたサイズ設定が判断しやすい。
設定できる画質は、[高精細 - F] 、[標準 - N] 、[エコノミー - E] の3種類だ。
EX-Z60 は 8.3MB の内蔵メモリーを搭載しているので、最大サイズの [6M] 、 [高精細 - F] なら2枚撮影できる。

最小限のシンプルメニューで、初心者にも使いやすい「easy」モード

EX-Z60 のメニュー表示には「easyモード」が用意されている。これはデジタルカメラの操作に慣れていない初心者向けのメニューで、撮影に必要な最小限の設定ができるモードだ。この場合、選択できる画像サイズも3種類のみで、さらに丁寧な説明文が用意されている。 メモリーカードの空き容量に応じた撮影可能枚数も、同時に表示されて判断しやすい。
ただし、「easyモード」の切り替えメニューは撮影モードの MENU 画面に現れるので、その存在に気がつかない可能性もある。これでは本末転倒なので、目に見えるところにボタンとして配置するなど見つけやすさも必要だろう。
また、「easyモード」では次に説明する様々なシーンに応じた撮影設定が可能な、「BS:ベストショット機能」を利用することはできず、完全なお任せモードとなる。
次ページ「33種類のシーンで手ぶれ・被写体ぶれにも対応する、「ベストショット」機能
  1 / 2
デジカメの基本から撮影転送編集プリント活用法を幅広くご提供する“カシャリ!”