カシオのデジタルカメラといえば、「薄くてスタイリッシュ」という言葉を思い浮かべるだろう。確かにそれは EXILIM シリーズを象徴している言葉だが、それだけが取り柄ではない。
過去のモデルを振り返ってみてもカードサイズとほぼ同じスリムなデジカメや、初心者にも優しい多彩なシーンモード。さらには2.5型を超える大型液晶モニターに長寿命なバッテリー、高感度による手ぶれ・被写体ぶれなど、現在のコンパクトデジタルカメラでは、当たり前となっているそれら機能をいち早く、先頭を切って搭載してきたのが EXILIM シリーズだ。
ここで紹介する EXILIM EX-Z60 は、店頭でも3万円を切る価格が付いおり、それらほとんどの特徴を手頃な価格帯で実現したエントリーモデルとなる。しかし、少し触ってみてもエントリーモデルとは言い難いほどの多機能ぶりだ。
では、その特徴的なところを中心にレビューしていきたい。
まずは外観からチェック。
EX-Z60
のボディカラーは、シルバーとレッドの
EX-Z60RD がラインナップされており、今回はよりスタイリッシュな印象のシルバーをお借りすることができた。
本体は前面・背面共にアルミ製で、前面のみ横方向への擦り加工が施されていることもあって、精悍な印象を受ける。さらにシルバーモデルの EX-Z60 は、「CASIO」「EXILIM」のロゴも本体と同じシルバーで処理されており、無駄を省いたシンプルなデザインは金属の削り出しのようで、クールさを醸し出している。
クールな印象を与える要因には、ボディサイズの薄さもある。過去を通じて EXILIM シリーズは、本体のスリムさが特徴であったが、EX-Z60 も薄さが重要なポイントだ。
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液晶部分を含む厚みは 19.8mm と 2cm をわずかに切る程度だが、操作キー部分は 16.2mm とさらに薄い。そのため右手で構えると、ボディの薄さを特に感じられる。手に持った印象としては、見た目の割にズッシリとしている。EX-Z60 は、エントリーモデルとしての位置付けだが、適度な重さのおかげで安っぽさがない。
上下部は丸く加工されていて、手になじみやすいが、薄さとしてはこれぐらいが限度ではないか。 |
EX-Z60 の場合は特にグリップの要素となる突起などが一切無いので、構えている時以外で手に持っていると、ずり落ちはしないか少し不安を感じることもあった。慣れるまでは必要以上にカメラに手を密着させようと、手に力が入りすぎることもあったので、持ち歩く場合はストラップを手に巻くなど、落下防止を心がけたほうがよいだろう。
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上部は、電源ボタンとシャッターボタンのみ。電源ボタンは小さく突起もほとんど無くシンプルではあるが、手探りだけでのオン/オフは判りづらく、指先では隣の [ON/OFF] の刻印の凹凸と勘違いすることがあった。
シャッターボタンは横長で、立て付けが少しフワフワしている印象だ。押す位置によっては傾きが大きくなるものの、シャッターボタンのどこを押してもちゃんと撮影されるので問題はないが、パーツの取り付けに物足りなさが感じられた。
レンズは光学3倍ズームで、デジタルとの併用で最大12倍まで可能だ。被写体に対して10〜50cm の範囲では、自動で接写モードに切り替わるオートマクロに対応している。 |
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ただし、視野角(斜め方向からの綺麗に見える角度)に関してはさほど広くはなく、左右方向はまだしも、上下方向は狭く、カメラを下へ少し傾けると、明暗が反転してしまい見づらくなってしまう。
また、液晶モニターは操作キー部分に比べて厚みがあり、出っ張ったようになっているので、液晶保護フィルムを貼るなどキズへの予防が必要だろう。 |
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EX-Z60 のキー構成はシンプルで、ズームキー、再生・撮影モードキー、 MENUキー、十字キー、BS(ベストショット)キーとなっている。
再生・撮影モードキーはそれぞれの切り替えの他に、設定により各モードでの電源オン・オフも可能だ。起動してすぐに再生モードにも入れるので、撮影済みの画像を確認したいときにも素早く閲覧することができる。
MENU キー、BS キーは、サイズが少し小さめだが、液晶モニターの厚みの傾斜にあり、突起が十分あるので手探りでも操作しやすい。 |
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操作キーが必要最小限の構成となっているため、ホワイトバランスや露出補正などの変更は、メニューを呼び出す必要がある。しかし、EX-Z60 では左右キーにそれら機能を割り当てることが可能だ。割り当てる機能はひとつだけなので、併用する場合はやはりメニュー操作が必要だ。 |
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利用できる外部メモリーは SD カードで、バッテリーと共に底面から挿入する。
取り出しの際には少しコツが必要で、ロック解除でバネによってバッテリーが飛び出すが、指に当たるなどして飛び出しが不十分だと、掴みにくく取り出しにくい。フタがもう少し広い角度で開けば取り出しやすくなると思う。 |
底面には三脚用の穴と、充電と画像転送用のコネクターもある。三脚用の穴は中心より少しずれているが、三脚の種類によってはフタとの位置関係で、セットしたままバッテリー、SD カードの交換はできない場合もあるだろう。