クールなデザインとコンパクトボディで高画質を実現する、人気シリーズ“キヤノン IXY DIGITAL 60”

キヤノン [ http://canon.jp/ ]
IXY DIGITAL 60
価格:オープンプライス 最新価格を調べる >>
発売日:2005年8月26日
多種多様なデジカメ市場においても、「IXY(イクシー)」と聞けば製品イメージが、およそ連想できるのではないだろうか?
中田英寿の広告イメージや、スタイリッシュなデザインもあってシリーズを通じて常に人気が高く、IXY DIGITAL シリーズはひとつのブランドイメージを確立している。今回は家電量販店やオンラインショップの売れ行きランキングでも、常に上位にあるコンパクトボディの IXY DIGITAL 60 をレビューしていこう。

ちなみに IXY DIGITAL 60 は「60」の数字から連想して600万画素と思いがちだが、有効500万画素だ。

コンパクトボディに大型2.5型液晶モニターを搭載

キヤノンのコンパクトデジカメには、IXY DIGITAL シリーズと PowerShot シリーズの2つのラインがあり、PowerShot シリーズは3〜12倍の高倍率なズームレンズを搭載し、より高画質・高機能を求めるユーザー向けとなる。それに対して IXY DIGITAL シリーズは、日常的にコンパクトなデジカメを持ち歩きたい、もう少しライトなユーザー向けといえる。
特に IXY DIGITAL 60 の本体サイズは、幅86mm、高さ53.5mmとほぼカードサイズでコンパクトだ。奥行も21.6mm、無駄がないデザインによってクールな印象だ。

ひとつ前のモデルである IXY DIGITAL 55 と比べると、デザインの変更はほとんど無いように感じられるが、レンズ周辺の処理が変わり光沢感が増した。さらにボディの丸みが若干取れ、ソリッドな印象が強くなった。そのためかサイズはほとんど変わっていないはずなのにレンズを収納した状態では、従来以上にフラットになったように感じられる。

手に取った印象としては見た目に比べると意外にズッシリしており、130gの数値よりも重量感がある。おそらく持った誰もが「あ、重い」と感想を漏らすだろう。これは他社のコンパクトデジカメの多くがボディにアルミを使っているのに対して、 IXY DIGITAL 60 は、より剛性と耐久性に優れたステンレスを利用しているからだ。確かに堅くて丈夫そうな印象を受け、質感も非常によい。

このあたりの質感は、キヤノンのこだわりが感じられる。
もうひとつこだわりが感じられるのは、ロゴの方向だ。ストラップを付けて首から提げた際に、ロゴが水平になるようにデザインされている。これは現在ラインナップされている IXY DIGITAL シリーズ共通のデザインでもある。

次に背面を見ていこう。
背面にはモデルチェンジのポイントとなる、2.5型液晶モニターを搭載している。液晶サイズが大きくなったわりには、よい意味で従来モデルから大きな変化を感じない。上部には光学ファインダーも残し、これまでのモデルと比べても違和感なく自然に液晶サイズだけが大きくなったような印象を受ける。液晶の画素数は約11.5万画素で、特に高精細ではないが視認性に不満はない。

もちろん液晶サイズが大きくなったことで影響を受けたところもある。それが操作キーだ。従来は十字キーの周囲にアイコンが配置されていたものが、キーの上に印刷されてスペースを節約している。 十字キー自体が縮小されたように感じるが、実は十字キーそのものの大きさは、さほど変わっていない。実際、操作してみても指の腹でも十分押すことができるし、操作性が落ちた印象もない。

その十字キーには、ツヤなしの表面にツヤありでアイコンが印刷されている。アイコンが密集しているわりには雑然とした印象は受けないが、角度によっては見え辛いこともあるので、ブラックインクでの印刷に比べて視認性は若干落ちたように感じる。 ここには新しく手ぶれを防ぐ手段として、ISO感度の切り替え機能が追加されている。従来は測光モードの切り替えだったが、一般的なユーザーなら測光よりは、感度変更の方が利用価値はあるだろう。

撮影モード切替のスライダは横から縦方向になった。構えたときには親指での操作となるが、従来の横方向と比べて不都合はないだろう。上部は長押しでオン・オフになる電源ボタン、シャッターボタン、その周囲にズームレバーがある。このシャッターボタンの周囲にズームレバーというのも今ではどのメーカーでも採用しているが、IXY DIGITAL シリーズはかなり昔から採用していたように記憶している。
バッテリーとSDメモリーカードは本体の底面から挿入する。バッテリーは本体サイズに合わせて薄く、撮影可能枚数は約150枚(CIPA準拠※)となっている。200枚以上が撮影可能な長寿命バッテリーを採用するデジカメが多くなる昨今では、少し寂しくなる枚数だ。なんとか200枚前後は撮影可能な程度にパワーアップを望みたい。
※CIPA規格:カメラ映像機器工業会(Camera & Imaging Products Association)が定める電池寿命測定方法についての統一規格。

初めてでも迷いがなく、把握しやすいメニュー構成

上部の電源ボタンを押して撮影可能になるまでは、1秒程度。カタログ値では1.3秒となっていて、上位機種の IXY DIGITAL 700 の0.9秒と比べても遅いと感じることもない。
IXY DIGITAL 60 は、同じキヤノンの一眼レフでも採用されている映像エンジン「DIGICII」が搭載されている。「DIGICII」とは、カメラの起動時間やAFスピード、高速連写、再生時の画像表示などを大幅に向上させる画像処理プロセッサーで、これにより全体の動作はキビキビしている。

静止画撮影、動画撮影、再生の切り替えは背面のモード切替スライダで行う。撮影モードではさらに、オート、マニュアルと、ポートレートなどシーンモードに切り替えることができる。オートモードでは画質、画像サイズ、ストロボのオン・オフ、マクロの設定程度しか変更できない。
マニュアルモードで [FUNC.SET] ボタンを押すと撮影時の詳細な設定を行うメニューが表示される。
メニューはモニターの左と下へL字型に表示され、映っている被写体を隠すことはない。オートホワイトバランスや露出補正など色や明るさが仕上がりに影響する設定も、変化の様子をモニターで確認しながら行える。当たり前のようだが、開いたメニューを閉じなければ変化の様子を確認できないデジカメも意外とあるのだ。

シーンモードやISO感度などを切り替えた際には、そのモードを表すアイコンが液晶モニターに数秒間、大きく表示されてから右上に縮小格納される。再生モードから撮影モードへの切り替えた際にもアイコンが大きく表示されるので、切り替えた際のカメラの状態を把握しやすい。

画面表示では新たにグリッド表示が可能となった。水平・垂直を把握しやすく構図も決めやすい。IXY DIGITAL 60 は手ぶれ補正機能を持たないが、撮影時にはシャッタースピードと手ぶれ警告表示もされる。警告が出ればISO感度をアップさせることで対応は可能だが、初心者ではその判断もできないユーザーも多い。今回のモデルチェンジで手ぶれ補正機能を期待したが、搭載はされなかった。
撮影時の周囲の環境とシャッタースピードの数値や手ぶれ警告が表示される状況を気にしていれば、手ぶれしやすい状況が自分でも判断できるようになるだろう。
画質は、[スーパーファイン] [ファイン] [ノーマル] の3種類があり、サイズは、[L:2592 x 1944] [M1:2048 x 1536] [M2:1600 x 1200] [S:640 x 480] [L判印刷] から選択できる。ただし [L判印刷] のサイズは、1600 x 1200ピクセルで [M2]と同サイズとなるが、ピクセル数とプリントサイズの関係に馴染みがないユーザーにとっては、[L判印刷] の方が理解しやすいだろう。[L判印刷] でシャッターを半押しすると、L判用紙の比率にあわせて画面の上下がマスクされるようになっていて、 L判用紙プリントではカットされてしまう部分が把握できる。
画質は3種類(図左)、画像サイズの[M2]と[L判印刷](写真右)は、同じ1600 x 1200ピクセルとなる。
液晶モニターは、背面の [DISP.]ボタンを1秒以上押し続けることで、明るさが最大に設定されるLCDブースターを採用している。これで屋外で太陽の光が眩しいときでも画面が見やすくなる。
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