キヤノンのコンパクトデジカメには、IXY DIGITAL
シリーズと PowerShot シリーズの2つのラインがあり、PowerShot シリーズは3〜12倍の高倍率なズームレンズを搭載し、より高画質・高機能を求めるユーザー向けとなる。それに対して
IXY DIGITAL シリーズは、日常的にコンパクトなデジカメを持ち歩きたい、もう少しライトなユーザー向けといえる。
特に
IXY DIGITAL 60 の本体サイズは、幅86mm、高さ53.5mmとほぼカードサイズでコンパクトだ。奥行も21.6mm、無駄がないデザインによってクールな印象だ。
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ひとつ前のモデルである IXY
DIGITAL 55 と比べると、デザインの変更はほとんど無いように感じられるが、レンズ周辺の処理が変わり光沢感が増した。さらにボディの丸みが若干取れ、ソリッドな印象が強くなった。そのためかサイズはほとんど変わっていないはずなのにレンズを収納した状態では、従来以上にフラットになったように感じられる。 |
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手に取った印象としては見た目に比べると意外にズッシリしており、130gの数値よりも重量感がある。おそらく持った誰もが「あ、重い」と感想を漏らすだろう。これは他社のコンパクトデジカメの多くがボディにアルミを使っているのに対して、
IXY DIGITAL 60 は、より剛性と耐久性に優れたステンレスを利用しているからだ。確かに堅くて丈夫そうな印象を受け、質感も非常によい。 |
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このあたりの質感は、キヤノンのこだわりが感じられる。
もうひとつこだわりが感じられるのは、ロゴの方向だ。ストラップを付けて首から提げた際に、ロゴが水平になるようにデザインされている。これは現在ラインナップされている
IXY DIGITAL シリーズ共通のデザインでもある。 |
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もちろん液晶サイズが大きくなったことで影響を受けたところもある。それが操作キーだ。従来は十字キーの周囲にアイコンが配置されていたものが、キーの上に印刷されてスペースを節約している。
十字キー自体が縮小されたように感じるが、実は十字キーそのものの大きさは、さほど変わっていない。実際、操作してみても指の腹でも十分押すことができるし、操作性が落ちた印象もない。 |
※CIPA規格:カメラ映像機器工業会(Camera & Imaging
Products Association)が定める電池寿命測定方法についての統一規格。
上部の電源ボタンを押して撮影可能になるまでは、1秒程度。カタログ値では1.3秒となっていて、上位機種の
IXY DIGITAL 700 の0.9秒と比べても遅いと感じることもない。
IXY DIGITAL 60 は、同じキヤノンの一眼レフでも採用されている映像エンジン「DIGICII」が搭載されている。「DIGICII」とは、カメラの起動時間やAFスピード、高速連写、再生時の画像表示などを大幅に向上させる画像処理プロセッサーで、これにより全体の動作はキビキビしている。
静止画撮影、動画撮影、再生の切り替えは背面のモード切替スライダで行う。撮影モードではさらに、オート、マニュアルと、ポートレートなどシーンモードに切り替えることができる。オートモードでは画質、画像サイズ、ストロボのオン・オフ、マクロの設定程度しか変更できない。
画質は、[スーパーファイン] [ファイン] [ノーマル]
の3種類があり、サイズは、[L:2592 x 1944] [M1:2048 x 1536] [M2:1600 x 1200]
[S:640 x 480] [L判印刷] から選択できる。ただし [L判印刷] のサイズは、1600
x 1200ピクセルで [M2]と同サイズとなるが、ピクセル数とプリントサイズの関係に馴染みがないユーザーにとっては、[L判印刷]
の方が理解しやすいだろう。[L判印刷] でシャッターを半押しすると、L判用紙の比率にあわせて画面の上下がマスクされるようになっていて、
L判用紙プリントではカットされてしまう部分が把握できる。 |
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画質は3種類(図左)、画像サイズの[M2]と[L判印刷](写真右)は、同じ1600
x 1200ピクセルとなる。 |
液晶モニターは、背面の [DISP.]ボタンを1秒以上押し続けることで、明るさが最大に設定されるLCDブースターを採用している。これで屋外で太陽の光が眩しいときでも画面が見やすくなる。