高画質有効830万画素と、超高感度ISO2000で手ぶれ・被写体ぶれに強いコンパクトデジカメ“富士フイルム FinePix F40fd”

富士フイルム [ http://fujifilm.jp/ ]
FinePix F40fd
価格:オープンプライス 最新価格を調べる >>
発売日:2007年2月
ここ数年のコンパクトデジカメ市場のトレンドといえば、手ぶれ・被写体ぶれ補正だろう。軽量なコンパクトデジカメでは手ぶれしやすく、光学式・高感度ISO式など仕組みは様々だが、エントリーモデルからハイエンドまで搭載が進み、一段落といったところだ。

そして次の流れとして注目度が増しているのが、顔認識機能だろう。手ぶれに次いで失敗が多いのがピンボケ写真で、特に人物撮影の際には顔ではなく背景にピントがあってしまうケースもよくある。そんな時に顔の位置を自動で検出して、最適なピントと明るさで撮影してくれるのが、顔認識機能だ。

FinePix シリーズでは、FinePix Z5fd でいち早く顔認識機能を搭載していた。CM などでも「顔キレイナビ」として大々的に PR されているので、顔認識機能といえば「顔キレイナビ」の言葉が思い浮かぶ人もいるかもしれない。ここで紹介する FinePix F40fd も「顔キレイナビ」を搭載し、FinePix シリーズ のお家芸とも言える高感度撮影にも対応しいる。また、有効830万画素での高画質な撮影が可能で、スリムなボディを持つタイプとしては最上位モデルとなる。

曲線を多用した、丸みのある親しみやすいスリムボディ

まず、外観からチェックしよう。
FinePix F40fd は、製品名からも判るように F シリーズとなる。Z シリーズがスクウェアなボディデザインを踏襲しているのに対して、F シリーズは過去を通じて何度かボディデザインが大きく変わっている。今回の FinePix F40fd も、デザインテイストは過去のどの FinePix シリーズにも属さず、新たに起こされたデザインとなる。細かい曲線が巧みに利用された丸みのあるボディで、見た目の第一印象では全体的に柔らかく、女性的な雰囲気が漂う。
中身は830万画素を持ち高画質な撮影が可能だが、ハイエンドな印象はない。後で説明するように背面は黒く処理されており、前面・背面とでは印象が大きく異なる。曲線の多様や背面の印象など、人によっては好みが別れるデザインかもしれない。本体のほとんどはアルミ製でひんやりとした質感で落ち着きがある。金属部分は擦り加工の艶消しで、指紋も付きにくい。
グリップ部分の膨らみは曲線を用いたデザインが特徴的で、電源投入時には一部が赤く点灯する。曲線全体が半透明の樹脂製なので、過去の FinePix にあったようなブルーに発光するようなギミックを期待したがそうではなかった。
見た目で気になったのが、レンズ周辺部分のサークルのサイズが大きく、ボディ全体を大きく感じさせているように思われることだ。さらにレンズ周辺部分がメタリックな処理がされているため、見た目に重そうにも見える。実際には本体のみの重量は155gと、このクラスのコンパクトデジタルカメラとしては特に重いわけではないのだが、見た目で損をしているように感じられる。
上部は電源スイッチとシャッターボタン、ズームレバーとシンプルな構成。電源スイッチを押してから撮影可能になるまでは、約1秒程度で待たされることはない。ズームの速度もストレスなく操作できる。
左側面には、AV/USB端子、AC端子があり、高速赤外線通信(IrSimple/rSS)も搭載している。高速赤外線通信は、もう一台の FinePix F40fd との画像の送受信や、同社のケータイプリンタ「Pivi」からワイヤレスでプリント可能で、対応する携帯電話であれば画像のやりとりも可能だ。
レンズ部分は光学3倍ズームレンズを搭載し、CCD に1/1.6型 スーパー CCD ハニカム HR を採用している。スーパーCCDハニカムは高感度撮影においても、ノイズが発生しにくいなどのメリットがあり、FinePix シリーズが光学式ではなく、高感度ISOによるぶれ軽減を採用しているのもこのためだ。FinePix F40fd では、さらに進化した第6世代となる「スーパーCCDハニカム VI HR」が搭載されている。
次に背面を見ていこう。
背面には撮影モードダイヤル、十字キーなどが配置されている。
背面は、ほぼ全面がブラックで処理され、前面とは異なった印象を持つ。
個人的には撮影時や画像プレビューの際に、液晶周辺の余分な反射を吸収し見やすくなるので、これはこれでアリだと思うのだが、ボディ全体の統一感を重視するなら敬遠されるカラーリングだろう。キヤノンの IXY DIGITAL 800 IS も背面の一部がブラックだったが不評な意見が多かったようだ。 液晶モニターは約23万画素の2.5型を採用し、画像プレビューの際も高画質に再生できる。まれに直線のものが斜めに映し出されると、ジャギー(ギザギザ)が目立つことがあり気になった。
画像サイズは、[3296×2472ピクセル] [3504×2336ピクセル(3:2)] [2304×1728ピクセル] [1600×1200ピクセル] [640×480ピクセル] での撮影が可能で、サイズの変更は「フォトモード」である [F] ボタンで設定できる。 [F] ボタンではほかに節電などのパフォーマンス設定や ISO感度、画像の色合いも変更できる。
人物撮影時に顔の位置を自動で検出してピントを合わせる「顔キレイナビ」機能は人型をしたアイコン [顔キレイナビ] ボタンで利用可能となる。

メモリーカード、バッテリーは底面から挿入する。FinePix F40fd では記録メディアとして、従来からの xDピクチャーカードに加えて、SDメモリーカードも利用可能となった。最近では既に 512MB〜1GBの容量が大きなメモリーカードを所有しているユーザーも多く、他社からの買い換えでも手持ちのSDメモリーカードがそのまま使えるのは有り難い。本体のスロットはひとつで、xDピクチャーカード、SDメモリーカード共に2GBまで対応するデュアルスロットとなっている。試しにたまたま手元にあった512MBのSDメモリーカードを挿入したが、問題なく利用できた。
さらに2GBのSDHCメモリーカード(クラス6)を挿入してみたが、カードエラーとなったのでSDHCメモリーカードには未対応のようだ。(※ファームウェアのアップデートにより対応
本体にも約25MBのメモリーが内蔵されており、最大サイズの [3296×2472ピクセル] では、6枚の撮影が可能だ。

多彩な撮影が楽しめるシーンポジション、即座に切り替え可能なモードダイヤル

次に操作面を見ていこう。
これまでの FinePix シリーズは、操作キーの数が少なく見た目のシンプルさは良かったものの、モードの切り替えなどもメニュー画面を呼び出さなければならず操作性ではもう一歩だった。このクラスのコンパクトデジカメでは、シーンに応じた撮影モードの充実が図られる傾向にあり、たくさんのシーンモードの中から希望の設定が選びやすいかどうかがポイントとなる。
この課題を FinePix F40fd では、回転するモードダイヤルの採用で解消している。撮影モードでは、高感度ISOにより手ぶれ・被写体ぶれを軽減する [ぶれ軽減]、ストロボなしで自然な明るさの撮影が可能な [ナチュラルフォト]、さらにストロボ有無の2枚を自動で撮影してくれる [高感度2枚撮り] などが利用できる。各モードを切り替えた直後、液晶モニターにはモードの特長を説明してくれ、どれを選ぶべきか判りやすい。

各シーンの設定時にも、特長の解説が参照できる。
様々なシチュエーションから選択できる [シーンポジションモード(SP)] は、[人物] [風景] [スポーツ] [夜景] [花火] [夕焼け] [スノー] [ビーチ] [水中] [美術館] [パーティー] [花の接写] [文字の撮影] の13種類が用意されている。これらモードは [SP1] [SP2] に、それぞれ2つのシーンポジションを設定しておける。 例えば、旅行で人物と風景の撮影が多いときは [SP1] に [人物] 、[SP2] に [風景] と設定しておくと、ダイヤルの回転ですぐに切り替えられる。
本来、シチュエーションに最適な設定が簡単にできるはずのシーンモードが、種類が増えすぎたために選びにくくなっている状況は他社のデジタルカメラにも起きている。よく利用するシーンモードを2種類に絞って切り替えられるのは思いのほか便利で、撮影の時に「ちょっと待って!」とメニュー操作に手間を取られることも少なくなるだろう。
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