リコー GX200 レビュー

広角24mm、多岐にわたるカスタマイズが可能な、高級コンパクトデジタルカメラ“リコー GX200”

GX200 リコー [ http://www.ricoh.co.jp/ ]
 GX200
 価格:オープンプライス 最新価格を調べる >>
 発売日:2008年7月 4日
コンパクトデジタルカメラの中でも、高品質を重視しマニアに人気のカテゴリーとして「高級コンパクト」がある。各カメラーメーカーから高級コンパクトはラインアップされているが、高級コンパクトと言えば、リコーのモデルを思い浮かべるユーザーも多いのではないだろうか。
そのリコーの高級コンパクトは、単焦点レンズを搭載するGRシリーズと、ズームレンズを搭載するGXシリーズがラインナップされ、どちらもプロカメラマンやハイアマチュアなどマニアックなユーザーに人気だ。
今回はGX200の液晶ビューファインダーVF-1がセットになった、GX200 VF KITをお借りすることができた。

大きなグリップで、安定感のある横長ボディ

GX200のボディデザインは、基本的に前モデルGX100のそれを踏襲している。シルバーを基調とした、いわゆるクールやオシャレを前面に押し出した一般的なコンパクトデジカメとは一線を画したデザインで、コンパクトフィルムカメラを彷彿とさせる、アナログ的な雰囲気が漂う。
その点はマニア心をくすぐるポイントのひとつで、アナログ的な雰囲気が一般的なコンパクトデジカメにはないコダワリ感を与えている。
GX200ボディ前面 ボディの形状は大きなグリップが特長のやや横長。グリップ部は、一眼レフで採用されることが多い、ゴム製樹脂がコーティングされており、手に馴染みやすい。大きなグリップのおかげで、胴沈式のズームレンズがせり出しても、安定したホールドが可能だ。
本体重量は約208g(バッテリー、SDメモリーカード含まず)とやや重く、手に持つとズッシリとしているが、高級感とバランスが取れた重さだ。
同社のコンパクトデジカメ R8同様、今回のモデルからモデル名から「Caplio」のブランド名が外されている。本体への刻印も「RICOH」「GX200」のみで、今後は「リコーのGX」というブランディングの定着を、より推し進めてゆくようだ。

ボディ上部の右には電源ボタン、シャッターボタン、モードダイヤル、シャッタースピードなどを設定するアップダウンダイヤルがあり、左にはストロボスイッチ、機能を割り当てることができるFn1(ファンクション)ボタン、ホットシューがある。
いずれもレイアウトに無理を感じるところはなく、右手・左手で自然な操作が可能だ。慣れれば目視しなくても操作できるだろう。
GX200ボディ上部

上部のホットシューには、液晶ビューファインダーVF-1をはじめ、外付けのストロボなどアクセサリーを取り付けることができる。ホットシューには専用のカバーが付属しており、利用しないときは接点を保護することができる。
液晶ビューファインダーVF-1はチルト機構付きで、上から覗きこんでのローアングル撮影や、三脚に固定してウエストレベル(腰の位置)撮影時に無理なくファインダーを確認することができる。VF-1の視認性は良く、本体の液晶モニターに表示される内容をそのまま確認可能で、晴天時など屋外で液晶モニターが見えづらい場合でも、視認性を確保することができる。VF-1には、持ち歩きに便利な専用ケースが付属する。
液晶ビューファインダーVF-1
GX200は今回お借りしたVF-1が付属するGX200 VF KITモデルと、付属しないGX200モデルがラインナップされている。店頭価格では、GX200 VF KITがおよそ7万円台半ば、付属しないGX200モデルが6万円台前半で約15,000円程度の差がある。
VF-1はオプションで追加することも可能で、店頭では20,000円程度で入手できる。価格的にはGX200 VF KITを購入した方がお得で、あれば撮影の幅が広がるのは確かだ。ただ、決して安価な物ではないので、自分の撮影スタイルを吟味してチョイスして欲しい。
GX200ストロボ ストロボはポップアップ式で、上部のOPENスイッチをスライドさせると現れる。ストロボが発光するタイミング
を、露光時間の開始(シャッターが開いた)直後の「先幕」、露光時間の終了(シャッターが閉じる)直前の「後幕」を設定することができる。また、マニュアル発光のほか、「フラッシュ調光補正」を搭載し、発光量を−2.0EV〜+2.0EVの間で、1/3EV間隔で設定することができる。
GX200レンズ レンズは広角24mmから72mm(35mm判カメラ換算)までの、光学3倍ズームを搭載する。
画素数が従来の有効1001万画素から有効1210万画素にアップしたことに伴い、撮像素子も1/1.75型CCDから1/1.7型CCDに変更されている。また、手ぶれ対策として、CCDシフト式による手ぶれ補正機能が搭載されている。
レンズにカバーは搭載されておらず、取り外し式のレンズキャップが付属する。レンズカバーを内蔵する一般的なコンパクトデジタルカメラに慣れていると、カバーの脱着が面倒に感じられ、外したレンズキャップの持ち歩きも気になるところだ。取扱説明書ではヒモやストラップを使って、レンズキャップを本体に繋げることを推奨している。
それ以外には、レンズのせり出しに応じてヒンジにより開閉する、自動開閉式レンズキャップ LC-1 がオプションで用意されている。LC-1はGX200本体のシルバーのリングキャップを外して取り付ける。LC-1は、付属のレンズキャップよりも使い勝手は良く、開閉時のギミックが楽しい。
自動開閉式レンズキャップ LC-1
次に背面を見ていこう。
背面は2.7型液晶モニター、ズームキー、再生モードボタン、各種操作キー、ADJ.(アジャスト)レバー等がある。右手で構えたときに背面の親指が当たる部分には、滑り止めとしてグリップと同じゴム樹脂が貼られている。
初めて手にした印象では、ズームキーが右端に寄っているように思えたが、数日触っていると気にならなくなった。横長ボディということもあり、キー周辺にはスペースが充分確保され、操作感もストレスがない。
GX200背面 液晶モニターの解像度は約46万画素と高精細で、建築物などの直線で構成された被写体でも、ジャギー(ギザギザ)にならず滑らかな表示が可能だ。
また視野角も広く、ほぼ水平に近い角度であっても、表示内容を確認することができる。
再生モードでは、カメラの縦位置・横位置を感知して、正しい位置で確認できるよう画像が自動的に回転表示される。
液晶モニターの輝度調整をワンタッチで変更できる機能はなく、セットアップメニューで行う。
液晶ビューファインダーVF-1装着時に、VF/LCDボタンを押すと液晶モニターと液晶ビューファインダーの表示切替が可能で、装着していないときは液晶モニターオン・オフとなる。
GX200バッテリー挿入 バッテリーとメモリーカードは本体の底面から挿入する。最大2GBのSDメモリーカードと、最大16GBのSDHCメモリーカードに対応する。

本体には約54MBの内蔵メモリーが搭載され、最大サイズの RAW 12M(4000×3000 ピクセル)で約2枚、F4000 12M(JPEG:4000×3000 ピクセル)で約11枚、L判プリントサイズ相当のN1280 1M(1280×960ピクセル)で、約133枚の撮影が可能だ。GX200の特長のひとつでもあるRAWを多用するなら、大容量のSDHCカードを利用しよう。

側面カバーを開けると、付属ケーブルを接続できるUSB端子が用意されている。また、付属のAVケーブルによるテレビ出力用のAVアウト端子も装備する。

ストラップ用の穴はボディ側面の上下に2箇所あり、付属のハンドストラップのほかに、オプションの2点吊り下げネックストラップ ST-2 も取り付けられる。
GX200側面端子

広角24〜72mmの光学3倍ズーム、ワイコン・テレコンで多彩な撮影が可能

GX200は広角24〜72mmの光学3倍ズームを搭載する。3倍というとズーム比率では平凡に感じられるが、広角レンズの採用が広がるコンパクトデジタルカメラの中でも、広角24mmが可能なモデルは少ない。
また、GX200にはオプションとして、19mm相当の広角撮影が可能なワイドコンバージョンレンズ DW-6と、135mm相当の望遠撮影が可能なテレコンバージョンレンズ TC-1が用意されている。
フード&アダプター HA-2装着と、ワイドコンバージョンレンズDW-6装着
フード&アダプター HA-2装着(左)、ワイドコンバージョンレンズDW-6装着(右)
これらコンバージョンレンズの取付には、フードが付属するアダプター HA-2が別途必要となり(写真左)、GX200本体のリングキャップを取り外し、アダプター先端のフードを外して取り付ける格好となる(写真右:DW-6取付)。コンバージョンレンズを利用したいユーザーは、アダプターの購入も忘れないよう注意しよう。
今回はGX200の24mm、DW-6・TC-1利用による撮影と、一般的なコンパクトデジカメで採用の多い、28mm、35mmの比較をしてみた。
GX200:24mm
GX200:24mm
GX200:24mm+DW-6
GX200:24mm+DW-6
28mm
28mm
35mm
35mm
24mmは、28mmと比較してもワイド感があるが、さらに19mm相当の効果が得られるDW-6の広がりは圧巻で、同じ位置で撮影したとは思えないほどの差がある。
望遠では画像の中央部分を切り抜いて、望遠効果が得られる「リサイズズーム」が利用できるので、これも合わせて比較してみた。
リサイズズームは画像サイズが小さくなるが、デジタル処理は行わないので高画質な撮影ができる。設定メニューでリサイズズームをオンにすると、ズームレバーの操作は、光学ズーム域一杯までレバーを動かし、さらにレバーを動かすとリサイズズームに切り替わるので、どの範囲で画像サイズが小さくなるのか判断しやすい。
テレコンバージョンレンズ TC-1装着
テレコンバージョンレンズ TC-1装着
光学24mm
光学24mm
光学72mm
光学72mm
光学72mm+ TC-1
光学72mm+ TC-1
リサイズズーム(640×480ピクセル)
リサイズズーム(640×480ピクセル)
リサイズズーム+ TC-1(640×480ピクセル)
リサイズズーム+ TC-1(640×480ピクセル)
コンバージョンレンズ設定

これらコンバージョンレンズを利用する場合は、本体側でどちらのレンズを利用するのかを設定しておかなければならない。設定をしていなくても撮影はできるが、撮影情報が記録されるExifに誤ったレンズ情報が記録される。
毎回メニューを開いて設定するのが面倒なら、[起動時選択] を選んでいくと良いだろう。これは、コンバージョンレンズを装着した状態で電源をオンにした時と、コンバージョンレンズをカメラに装着したときに、設定メニューに入らなくても、どちらのレンズを装着したのか選択できる画面が表示されるようにできる。

多岐にわたる高いカスタマイズ性で、自分専用のカメラにできる

続いて撮影機能を中心に、操作面をみていこう。
GX200は、自分好みにカスタマイズできる機能を豊富に備えているのが特長だ。
ADJ. (アジャスト)レバー まず、リコーのデジタルカメラではお馴染みの ADJ. (アジャスト)レバーを搭載する。これは普通なら撮影メニューから呼び出さなければならない機能を、ワンボタンで即座に呼び出すことができるダイレクトキーのようなものだ。
ADJ.レバーに登録することができるのは4つで、露出補正、ホワイトバランス、WB補正、ISO、画質、フォーカス、画像設定、測光、連写、オートブラケット、調光補正、マニュアル発光から選択できる。実際にはADJ. (アジャスト)レバーを押すと、5つの機能が表示されるが、右端の「AE/AFターゲット」は固定で変更できない。
ADJ.レバーのカスタマイズ性は良しとしても、メニュー画面では左右の移動しかできず、レバーとしての操作性では中途半端に感じられる。ADJ.レバーでメニューを呼び出しても、項目の上下移動には上下キーを操作する必要があるので、多少操作に戸惑うことがある。R8で採用したような、ジョイスティック感覚で操作できるキーがあっても良いのではないだろうか。
ADJ.レバーのカスタマイズ
またファンクションキーとして、上部のFn 1キーと、背面のFn2キー(左方向キー)にも機能を割り当てることができる。こちらはAF/MF(AFロック兼用)、スナップ/AF、AEロック、JPEG/RAW、カラー/白黒、カラー/白黒(TE)、ターゲット移動、各種撮影設定メニュー(露出補正、ホワイトバランス、WB補正、ISO、画質、フォーカス、画像設定、測光、連写、オートブラケット、調光補正、マニュアル発光)が登録可能だ。
さらにモードダイヤルのマイセッティングモードには、いま使っている設定を、そのまま登録することが可能で、よく利用するセッティングを3つ登録することができる。
ADJ.レバー、ファンクションボタン、マイセッティングモードと、カスタマイズできる範囲はとても多く、自分専用のカメラに仕立て上げることができる。
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