高感度2枚撮り機能、手ぶれ・被写体ぶれに強い、500万画素コンパクトデジカメ“富士フイルム FinePix Z3”

富士フイルム [ http://fujifilm.jp/ ]
FinePix Z3
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発売日:2006年6月
トイカメラは別として画質のレベルでは、いま市場に出回っているデジタルカメラのどれを選んでも大きな不満を感じることはなく、画素数アップに一般的なユーザーは、ほとんど興味を示さなくなっている。手ぶれ・被写体ぶれ軽減など注目すべき点はあるものの、ここ1年ほどで各メーカーからも出揃った感もあって、コンパクトデジタルカメラは差別化が難しい傾向にある。

次の段階としては、携帯電話がそうであるように性別・世代の違いによるターゲットの絞り込みに向かいつつあるように感じられる。ここで紹介する FinePix Z3 も、カラーラインナップや、CMキャラクターに人気モデルの蛯原友里を起用するなど、女性にターゲットを絞ったデジタルカメラだ。FinePix Z シリーズとしては3代目となる FinePix Z3 が、女性ユーザーを取り込みつつ、さらにどのような進化を遂げたのか見ていきたい。

エッジに丸みを持たせて、オシャレ度がアップしたスリムなボディ

まず、外観からチェックしよう。
ボディデザインの基本は歴代の Z シリーズを踏襲している。電源オン・オフと連動する前面カバーも健在だ。しかし、エッジに丸みを持たせていたり、前面カバーも角丸に処理されるなど細かい部分に変更が加えられている。
見た目の印象では FinePix Z2 のようにエッジが感じられるクールさよりも、オシャレさが醸し出されている。 前モデルの FinePix Z2 でも、女性ユーザーからの支持が多かったようで、今回はボディカラーのバリエーションがシルバーの他に、ピンクレッドブルーがラインナップされていることからも、より女性を意識していることがうかがえる。
本体はアルミ製で、シルバーモデルは前面、背面ともに擦り加工が施されている。指で触っても指紋が残ることはなく、スベスベした感触で質感も高い。シルバー以外のモデルでは、表面に光沢があるなど処理が異なるので、店頭で確認してほしい。持った印象は若干の重みがあり、見た目がシンプルなので思ったよりは重く感じるかもしれない。
前面カバーは従来に比べ、少し膨らみ加えられている。これはデザイン的な要素もあると思うが、構えたときにグリップとして指へのフィット感がアップしている。そのぶんボディの奥行きが従来の18.6mm から、20.0mm にアップしてしまったが、気になるほどの差はない。
細かいことだが、カバーの「FINEPIX」のロゴが印刷なので、使い続けると指と当たることで消えてしまわないか少し気になる。

レンズ部分は従来同様、本体内部でレンズが縦に並んで駆動し、正面から入った光を90度屈曲させる「屈曲光学式」を採用している。光学3倍ズームレンズ、デジタルズームとの併用で最大17.1倍までのズームが可能だ。
CCD に 1/2.5型 スーパーCCDハニカムHR を搭載している点も、FinePix Z2 から変化はない。
次に背面を見ていこう。
液晶モニターは2.5型、解像度は約23.2万画素。大きさとしては充分で、数値的には高精細な部類といえる。ただ、まっすぐなものが画面に対して斜めに写り込むとジャギー(ギザギザ)を感じることがある。それとコントラストは充分なのだが、視野角(綺麗に見える上下左右の角度)に関しては広いとは言えず、額の斜め上くらいで構えても色の反転が見られる場合がある。
液晶モニターの表面は、アクリルに比べてキズに強い強化ガラスが使われているので、指紋で汚れてもハンカチなどで拭いてもキズがつきにくい。
ボタン類は十字キー、メニューなどの他に、撮影後の画像を表示できる再生ボタンなどがある。
[F] ボタンは、画像サイズ、ISO感度、画像の色合いを変更できる「フォトモード」ボタンだ。FinePix Z3 の最大画素数は、504万画素、利用できる画像サイズは、[2592×1944ピクセル] [2736×1824ピクセル〈3:2〉] [2048×1536ピクセル] [1600×1200ピクセル] [640×480ピクセル] の5種類となっている。
さらに FinePix Z3 では、最高感度ISO1600 による手ぶれ・被写体ぶれ軽減に対応しており、ワンタッチで高感度撮影が可能になる「ブレ軽減モード」スイッチが用意されている。従来は撮影モードの切り替えによって、ぶれ軽減が自動で適用されていた。それはそれでユーザーが意識せずに済んだのだが、逆にぶれ軽減が働いているのかどうか判りづらい面もあった。専用ボタンができたことで、ユーザーが意識しながら、ぶれ軽減を適用できて判りやすい。
FinePix Z3 ではメモリーカードに xDピクチャーカードを使い、バッテリーと共に本体の底面からセットする。バッテリーはフル充電で、公称約200枚(CIPA準拠※)の撮影が可能。従来の約170枚よりもアップしている。さらに、10MBのメモリーを内蔵しているので、最大サイズの 「5Mファイン(2592×1944ピクセル)」 で、3枚撮影することが可能だ。
※CIPA規格:カメラ映像機器工業会(Camera & Imaging Products Association)が定める電池寿命測定方法についての統一規格。
前モデルの FinePix Z2 では、本体に三脚用の穴がなく角度を付けて固定するのが困難であった。FinePix Z3 からは付属するクレードルの裏に三脚用の穴が用意され、クレードルごと三脚に固定できる。クレードルにセットした場合、本体の前面カバーで電源オン・オフはできず、クレードルの電源ボタンで操作する必要がある。
ただ、急角度での固定は厳しく、見た目に違和感が無くもない。それに外出時に三脚とクレードルも持参するのは面倒で、やはり本体側に穴が欲しい。もっとも、コンパクトデジタルカメラを持つ女性ユーザーで三脚を持参するケースはほとんど無いようで、FinePix Z3 が得意とする高感度撮影であれば、三脚が無くても撮影できる守備範囲は広いという判断なのかもしれない。

高感度に強い「スーパーCCDハニカム HR」、ノイズ低減機能「リアルフォトエンジン II」

続いて機能面を見ていこう。
FinePix シリーズは、従来から高感度による手ぶれ・被写体ぶれ軽減を採用してきた。これは同シリーズが採用する CCD「スーパーCCDハニカム HR」が高感度撮影においてもノイズの発生が少ない特長を持っているからだ。さらに FinePix Z3 では、CCD からの信号を画像信号とノイズ信号に分離し、さらにノイズ低減処理を行う独自のダブルノイズリダクション方式を採用している。同機能は FinePix Z2 にも搭載されており、FinePix Z3 では第2世代へと進化させた「リアルフォトエンジン II」を搭載している。
FinePix Z3 では、最高感度 ISO 1600 での撮影が可能で、ISO 1600 を手動で設定可能なのはマニュアルモードのみで、他のモードではお任せとなる。撮影状況にもよるが、マニュアルモード以外では ISO1600 まで選択されることはそれほど多くはなく、 ISO800 までで撮影されることが多かった。ISO1600 ではさずがにノイズの発生が感じられるが、ISO800 であればノイズ感もほとんど無く、ぶれもない使い勝手のよい感度といえる。他社の高感度を謳うデジタルカメラと比較しても、ザラつきやぼやけが少なく輪郭もシッカリしており、「スーパーCCDハニカム HR」と「リアルフォトエンジン II」とが相まって、充分実用に耐えられるレベルだ。L判サイズのプリントではノイズ感は全く感じられず、ましてブログ掲載用に縮小する用途であれば全く問題ない。
ここでは他社デジタルカメラとの比較のため、ISO800 で撮り比べてみた。ディテールの描写がシッカリしているのが判る。
FinePix Z3(ISO800) 他社デジタルカメラ(ISO800)
さらに、FinePix Z3 では高感度撮影時のストロボ発光が、より自然な光量に自動調整される「 i フラッシュ」機能も搭載している。これは暗い場所での人物撮影であっても、背景が黒くつぶれることもなく、同時に人物もストロボの光が強すぎて肌が白飛びするのを防いでくれる。
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