リコー R8 レビュー

デザイン一新、広角・高倍率ズーム搭載、多機能コンパクトデジタルカメラ“リコー R8”

 リコー [ http://www.ricoh.co.jp/ ]
 R8
 価格:オープンプライス 最新価格を調べる >>
 発売日:2008年3月 7日
コンパクトデジタルカメラの中でも機能の豊富さではトップクラスで、ファンも多いリコーのデジタルカメラ。以前に Caplio R7 をレビューした際、発売から時間が経過していたにもかかわらず、その後のページ参照数はかなり多く、根強いファンの存在をあらためて感じさせられた。
今回ご紹介するのは、その Caplio R7 の後継モデルとなる、広角・高倍率ズームが特長のコンパクトデジタルカメラ リコー R8 だ。R8 からはシリーズとしての名称「Caplio」が外され、単に「R8」と呼ばれることとなった。
これまで使い続けてきたネーミングの変更からも意気込みが感じられるが、特長的な機能や強化されたポイントを中心にレビューして行こう。

コンパクト高級機の雰囲気が漂う、落ち着きのあるデザインへフルモデルチェンジ

まず、本体デザインをチェック。
R8 は名称の変更と共に、ボディデザインも一新された。本体カラーはブラックとシルバーの2色がラインナップされており、今回はブラックをお借りすることができた。
ブラックモデルは、いわゆるデジカメらしいボディデザインであった Caplio シリーズの後継モデルと言うよりも、どちらかというと高級コンパクトデジタルカメラ GR DIGITAL II の流れを汲んだ、落ち着きのある雰囲気が漂っている。
長方形の箱に円筒形をくっつけたクラシカルな印象の形状は、決して「クール」「スタイリッシュ」ではないものの、道具としての存在感と信頼感がある。
ブラックモデルのボディは艶消しの黒いアルミニウムで、ひんやりとして質感が良い。
「R8」のエンブレムのみシルバーで主張しているものの、「RICOH」ロゴやその他の機能をPRする文字はグレーで抑えられていることから、今後は「R8」と聞けば、およそどんなカメラか思い浮かぶようなブランドイメージの浸透を狙っているのではないだろうか。
最近のコンパクトデジタルカメラとしては珍しく、その存在を意識させるグリップ部分には、ゴムに似たシットリとした素材がコーティングされており、手に馴染みやすい。
全体的にデザイン、質感共にモノとしての満足度が高い仕上がりだ。

本体重量は191g(バッテリー、SDカード含む)と、このクラスのコンパクトデジタルカメラでは若干重い部類に入るが、実際に手に持った感じでは見た目から受けるほどの重量感はない。見た目の存在感からすれば、逆にもう少し重量があっても良いかなと思ったほどだ。
唯一気になったのがストロボの位置だ。ストロボの位置がグリップに近いので、右手で構えたときに指がストロボを隠してしまう可能性がある。
慣れれば問題ないかもしれないが、手の大きな男性だと影響がありそうだ。触り始めのうちは、ストロボ発光の妨げにならないよう指の位置は意識したほうが良いだろう。
上部には電源ボタン、ズームレバー、シャッターボタンがあり、あらたにモードダイヤルが追加された。
モードダイヤルではオート、マイセッティング、ムービー、シーンモードの切替ができる。マイセッティングは自分好みの静止画・動画撮影の設定を登録できるモードで、2通りのセッティングが登録可能だ。
ダイヤルは360度回転できるようになっているので、切替の時に回転が行き過ぎることもあるが、慣れれば支障はないだろう。
シャッターボタンは半押し状態から、最速でレリーズタイムラグ約0.011秒での撮影が可能だ。(手ぶれ補正、ストロボオフの場合)
レンズは従来と同様に、広角28mmから200mm(35mm判カメラ換算)までの、光学7.1倍ズームを搭載する。
画素数が有効815万画素から有効1000万画素にアップしたことに伴い、CCD も1/2.5型から1/2.3型に変更されている。また、CCDには手ぶれ対策として、CCDシフト式による手ぶれ補正機能が搭載されている。
次に背面を見ていこう。
背面は2.7型液晶モニター、再生モードボタン、各種操作キー、ジョイスティックのように扱えるADJ.(アジャスト)ボタンがあり、すっきりした印象だ。
液晶モニターは他社でもまだ採用が少ない、解像度約46万画素の2.7型を搭載している。コンパクトデジタルカメラでは液晶モニターの大型化、視野角の広さが進み、現在では高解像度化に向かいつつあり、R8 もいち早く対応しているのは嬉しい。
解像度約46万画素の表示は滑らかで、直線の被写体が斜めに映し出されてもジャギー(ギザギザ)が現れることはない。
また、前モデルでは撮影画像が液晶のドットと干渉して、モアレやギラギラした表示になることがあったが、これも解消されている。
上下左右方向からの視野角も広く、かなりきつい角度まで傾けると見えづらくなるが、日常利用の範囲では充分な視認性が確保されている。
撮影中に [DISP.] ボタンを押し続けると、画面の明るさを最大にアップして、屋外の明るい場所でも表示を見やすくできる。
バッテリーとメモリーカードは本体の底面から挿入する。最大2GBのSDメモリーカードと、8GBのSDHCメモリーカードに対応する。

本体には24MBの内蔵メモリーが搭載され、最大サイズの 3648×2736 ピクセルで約6枚、L判プリントサイズ相当の1280×960ピクセルであれば、約58枚の撮影が可能だ。

側面カバーを開けると、付属のUSBケーブルを接続できるUSB端子が用意されている。また、付属のAVケーブルによるテレビ出力用のAVアウト端子も装備している。

ストラップ用の穴はボディ側面の上下に2箇所あり、付属ストラップのほかに、オプションの2点吊り下げネックストラップ ST-2 も取り付けられる。

対応範囲が広がり、操作性が向上したADJ.(アジャスト)ボタン

続いて撮影機能を中心に、操作面をみていこう。
上部の電源ボタンをオンにしてから、撮影可能になるまでは約1秒程度。前モデルでは起動時のレンズがせり出すモーター音が騒がしかったが、R8 では抑えられていて特に気にならない。

R8 の操作上の大きなポイントのひとつは、ジョイスティック感覚で扱える ADJ.(アジャスト) ボタンの改良だ。前モデルでは ADJ. ボタンとは別に、メニュー移動のための上下左右方向キーもあったため、どのメニューでどちらのキーが有効なのかわかりにくかった。
R8 では方向キーが廃止され、その役割は ADJ. ボタンに集約された。ボタンサイズも若干大きくなり、操作性が格段に向上している。

ADJ. ボタンの左方向へのクリックでマクロ、右方向へのクリックでストロボの設定が行え、上下方向へ少し長めにクリック、もしくは OK (決定)クリックをすると、露出補正やホワイトバランスなどの設定を、オンスクリーン表示で呼び出すことができる。

呼び出す機能はカスタマイズが可能で「露出補正」「ホワイトバランス」「ISO」「画質」「フォーカス」「シャープネス」「測光方式」「連写」「オートブラケット」の中から、最大4つまで設定できる。

ユニークな構図が楽しめる「アスペクト比1:1」モード

R8 は画素数が従来の有効815万画素から有効1000万画素にアップしたことに伴い、設定できる画像サイズも従来の6種類から8種類に増えている。
なかでもユニークなのが縦横の画面比率が1:1になる、「アスペクト比1:1」モードの搭載だ。
これはアナログカメラでは35mmフィルムよりも大きな、ブローニーフィルムを使った中判カメラで利用できる「6×6サイズ」に似た、画面が正方形になるモードだ。同じリコーの高級コンパクトデジタルカメラ GR DIGITAL II にも採用されているが、採用しているコンパクトデジタルカメラは珍しい。画面比率が正方形の写真はハイアマチュア、プロカメラマンの作品展などで見かけることができる。
画像サイズの設定で、[F1:1(7M)] を選ぶと 2736 x 2736 ピクセルでの撮影が可能になり、液晶モニターは左右が黒い帯に覆われ正方形の表示となる。 それ以外は通常の撮影と大きな違いはない。
そのため単に長方形の画面が正方形になるといってしまえばそれまでだが、撮影後に画像編集ソフトで正方形に切り抜くのとは感覚が全く異なり、撮影中は正方形の構図に被写体を収めようと「構図を探る」ということを強く意識させられる。そしてそれがとても新鮮で楽しいのだ。
被写体によっては、長方形よりも正方形に収めた方がシックリくる物も少なくなく、見慣れた風景でも正方形に収めることで新しい発見があるかもしれない。
また設定しているオリジナルの高画素画像サイズと一緒に、L判プリントやブログ掲載用として 1280 ピクセル以下の、小さい画像サイズでも自動撮影する「デュアルサイズ記録」を搭載する。

広角28mmから望遠200mm、光学7.1倍ズームを搭載

R8 は 28mm〜200mm までをカバーする光学7.1倍ズームレンズを搭載している。最近ではコンパクトデジタルカメラでも4〜5倍までカバーするモデルが増えているが、コンパクトサイズで 7.1倍までカバーできるものはそれほど多くはない。
R8 では光学7.1倍加え、画像の中央部分を切り抜く、疑似ズーム機能「オートリサイズズーム」で5.1倍、光学ズームとの併用で 1010mm 相当となる最大36.2倍まで対応する。

[光学1倍:28mm 相当]

[光学7.1倍:200mm 相当]

[オートリサイズズーム:1010mm 相当]
ズームレバーの操作は、光学ズーム域一杯までレバーを動かし、さらにレバーを動かすとオートリサイズズームに切り替わる。そのためズーム操作中に、これ以上は画像サイズが小さくなるという範囲が判断しやすい。
オートリサイズズームを利用した最大36.2倍では、画像サイズが 640×480 ピクセルになる。これは画像を切り抜くだけなので、拡大処理などによる画質の劣化は起きない。
ズーム操作時には、7段階の焦点距離(32、35、50、85、105、135、200mm)ごとにズームが一旦停止する「ステップズーム」も利用できる。
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