オリンパス E-PL1s レビュー

軽量・コンパクトでカジュアルに持ち歩ける世界最軽量
マイクロフォーサーズ デジタル一眼“オリンパス E-PL1s”

 オリンパス [ http://www.olympus.co.jp/ ]
 E-PL1s
 価格:オープンプライス 最新価格を調べる >>
 発売日:2010年12月4日
2008年の規格発表以降、徐々にその地位を確実なものにしているのが、マイクロフォーサーズシステムのレンズ交換式デジタルカメラだ。それまで高画質ながらも大きく重い印象が強かったデジタル一眼が、マイクロフォーサーズシステムの登場により日常持ち歩けるカメラとして広い支持を得ている。オリンパスではペンシリーズとして展開され、クラシカルデザインのペン E-P1と E-P2、カジュアル指向のペン ライト E-PL1 が存在する。今回取り上げる E-PL1s は、モデル名からもわかるように E-PL1 のマイナーチェンジモデルだ。従来の親しみやすい印象はそのままに、どんな特長を持つのかレビューしていきたい。

前モデルのデザインを踏襲、超軽量でオシャレなボディデザイン

まず、外観からチェック。
マイナーチェンジモデルとなる E-PL1s だが、その変更のほとんどが内部のブラッシュアップによるところで、前モデルの E-PL1 からボディデザインに大きな変更はない。重量も約296gと同じだ。もっともこれは本体のみの話で、今回お借りしたダブルズームキットに含まれる新しい交換レンズは従来よりも軽量化が図られ、これらとの組み合わせでは印象は大きく異なる。交換レンズを含めた印象に関しては後述しよう。
E-PL1s のカラーラインナップは従来と若干異なり、レッド、ホワイト、ブラックとなる。
左からレッド、ホワイト、ブラック
E-PL1s のボディデザインは女性が持つことを意識されていて、いかにもデジタル一眼的な印象ではなく、スッキリとしてオシャレな雰囲気が漂っている。特に今回お借りしたホワイトモデルは、カラーの効果もあり初心者ユーザーでも抵抗感無く手にすることができる。軽量化を求めると樹脂製パーツの使用頻度が高くなるが、適材適所で使われ触っても質感が落ちる印象は受けない。
一般的にコンパクトデジタルカメラに比べると、デジタル一眼はまだまだ無難なブラックが好まれる傾向にある。しかし、マイクロフォーサーズ機ならではのフットワークの良さを楽しむなら、敢えてホワイトやレッドを選択する方が、よりワクワク感はアップするだろう。そんなカジュアル路線の E-PL1s だが、グリップはオマケ程度の飾りではなく、シッカリとしていてホールドしやすい。下手をするとマニア好みの E-P2 よりも持ちやすいくらいだ。しかし逆に、デジタル一眼に慣れないカジュアルユーザーを対象とする E-PL1s の方が、グリップがシッカリしていて手ブレやアクシデント防止の面からも良いだろう。
上部には電源ボタン、シャッターボタン、モードダイヤルが並ぶ。それぞれはサイズと高さが異なり、誤って押し間違うこともほとんどない。モードダイヤルは大きく、親指だけでも回転することができる。
さらにアクセサリー類をセットできるホットシューと、電子ビューファインダーを装着できるアクセサリーポート、スライドスイッチでポップアップする内蔵フラッシュを搭載する。フラッシュはパンタグラフのような機構で高い位置から発光が可能だ。これによりレンズ鏡胴やフードによってフラッシュ光が遮られてしまう「ケラレ」が起きにくい。
次に背面を見ていこう。背面には2.7型液晶モニターと、各種操作キーがレイアウトされている。
液晶モニターは、解像度23万画素のハイパークリスタル液晶モニターを搭載。視野角は広く、ほぼどの方向からでも表示内容を確認できる。オリンパスのデジタル一眼で、角度を自由に変えられるバリアングル液晶モニターを採用するのはフォーサーズ規格のE-シリーズのみ。サイズとの兼ね合いもあるのだろうが、子供やペット、小物の撮影が多いと思われる女性のユーザーを意識するマイクロフォーサーズ機こそ、ローアングル撮影に有利なバリアングル液晶モニターを採用して欲しいと思う。
背面の操作系も前モデルの E-PL1 と大きな変更はなく、全体のカジュアルな印象に比べると、やや旧態依然とした感がある。というのも、メニュー切り替えや各種設定の数値変更などは上下左右キーを複数回押す必要があり、まどろっこしく感じる。例えば後述する「ライブガイド」のようにメニュー画面で表示されるスライダを操作する場合に、ついスライダーを直接動かしたくなる衝動に駆られるのだ。必ずしもタッチパネルが良いという意味ではなく、見た目の軽快さと操作性に少なからずギャップを感じてしまうのだ。E-P2 のような回転式のホイールキーやダイヤルボタン、もしくは他社に見られるジョイスティックのようなスムーズに入力できる操作性が欲しいところだ。
本体側面には付属のAVケーブルとUSBケーブルが接続可能な専用マルチコネクターと、ハイビジョン出力が可能なminiHDMI端子が搭載されている。AVケーブルとUSBケーブルは付属、HDMI端子の利用には別売りのHDMIミニケーブルが必要だ。
バッテリーとSDメモリーカードは本体グリップ部の底面から挿入する。容量2GBまでのSDメモリーカード、4〜32GBのSDHCメモリーカードに対応し、次世代規格のSDXCメモリーカードには対応しない。バッテリカバーの裏には、バッテリーとメモリーカードの挿入方向を記した図が大きく入っていて、入れ間違えないよう配慮されている。

E-PL1s は1,230万画素のハイスピードLive MOSセンサーを採用し、最大画像サイズ4032×3024ピクセルの撮影が可能だ。撮像素子は撮影時の手ブレのぶれ幅をシフト駆動で相殺する「ボディ内手ぶれ補正」を内蔵するため、レンズを交換しても手ブレ補正を利用することができる。動画撮影では、画像処理による「電子手ぶれ補正」が働く。E-PL1との違いとして、高感度撮影が従来のISO3200から新たにISO6400へ対応した。

さらに軽量・コンパクトさを追求した、ズームレンズ二本

今回は交換レンズとして、ダブルズームキットに同梱されているマイクロフォーサーズ規格準拠の標準ズームレンズ M.ZUIKO DIGITAL 14 - 42mm F3.5-5.6 U(35mm換算で28 - 84mm相当)と、望遠ズームレンズ M.ZUIKO DIGITAL ED 40 - 150mm F4.0-5.6(35mm換算で80 - 300mm相当)をお借りした。
前者は E-PL1s と同時発売、後者は10月に発売されたもので、E-PL1s との利用を主眼に置いていると思われるレンズだ。驚くのはその軽さとコンパクトさで、M.ZUIKO DIGITAL 14 - 42mm F3.5-5.6 Uが112g、M.ZUIKO DIGITAL ED 40 - 150mm F4.0-5.6 が190gと非常に軽い。本体重量が 296g の E-PL1s と組み合わせても、どちらも 500g を切る。試用の際は二本のレンズを肩掛けのバッグに入れて持ち歩いたが、レンズ二本の重量感をことさら意識することはなかった。
これらレンズを装着した E-PL1s を持ち歩いている時の感覚は、サイズ的には及ばないが重量的にはコンパクトデジタルカメラに近いものを感じた。片手でぶらんと下げていても手がだるくならず、ホールドしようと持ち上げる際にも苦にならない。コンパクトデジタルカメラに比べグリップが大きいので、安定して撮りやすいくらいだ。デジタル一眼を持ち歩いているというような気負いもなく、公園をちょっと散歩するときでも気軽に持ち出せる軽快感がたまらないレンズだ。
M.ZUIKO DIGITAL 14 - 42mm F3.5-5.6 Uは従来の標準ズームレンズ M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 から約25%の軽量化を果たし、「MSC(Movie&Still Compatible)機構」の採用により、AF時の高速化と静音化を実現している。

M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 は E-P2 レビューの際、AF駆動音が気になり動画撮影向きとはいえなかったが、M.ZUIKO DIGITAL 14 - 42mm F3.5-5.6 Uではこの問題が解消されて駆動音がほとんど気にならない。AFも以前は合焦に少しもたつきを感じる時があったが、今回はストレスを感じることはほとんど無かった。鏡胴部のロックスイッチにより、未使用時にはコンパクトにできる仕組みが受け継がれている。


M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6
(広角端:14mm)

M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6
(望遠端:42mm)

M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0-5.6
(広角端:40mm)

M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0-5.6
(広角端:150mm)
M.ZUIKO DIGITAL ED 40 - 150mm F4.0-5.6は、35mm換算で最大300mm相当ということもあり、レンズのせり出し量はかなり大きくなるが、レンズ本体の軽量化もありホールドバランスが崩れることがない。E-PL1s 内蔵の手ぶれ補正機能とも相まって、300mm相当でも手持ち撮影が可能だ。これらレンズが軽量化のため、パーツに樹脂を多用していることに閉口する向きもあるかもしれないが、複数のレンズを持ち歩いても苦にならないフットワークの良さは大きなアドバンテージだ。
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