有効800万画素CCDと、手ぶれ・被写体ぶれと逆光にも強い
コンパクトデジカメ“オリンパス μ830”

 オリンパス [ http://www.olympus.co.jp/ ]
 μ [ミュー] 830
 価格:オープンプライス 最新価格を調べる >>
 発売日:2007年9月中旬
「オリンパスのμ(ミュー)」といえば、フィギュアスケーターの浅田舞さん、真央さん姉妹の CM でお馴染みのコンパクトデジタルカメラだ。 スリムでコンパクトなボディは定評があり、特に女性ユーザーからの人気が高い。
ここでは μシリーズのニューモデルとして登場した、μ830 を紹介する。

“Arc & Wedge”デザインのスタイリッシュなボディ

まず、外観からチェック。
本体は前モデルの μ780 のボディデザインから、ほとんど変更はなく、形状は「円弧(Arc:アーク)」と「くさび(Wedge:ウェッジ)」をコンセプトに、曲線と直線で構成されている。特に過去のμ7xx シリーズから続く、本体の厚みが左右で異なるくさび形のデザインが特徴的だ。
カラーバリエーションは、シャンパンシルバー、ピアノブラック、パーシモンオレンジ、ブリティッシュグリーンで、従来は渋めのラインナップであった μ780 に比べ、明るめでビビッドなラインナップになった。
今回お借りしたシャンパンシルバーは、明るめのシルバーで、表面の光沢感もあって女性的で上品な雰囲気が漂っている。前面カバーは光沢はあるが指紋が付きにくく、その上品さが損なわれることはない。写真ではブルーに見える「OLYMPUS」ロゴは、反射によって色が変化する。

限定カラーモデルとして、イメージキャラクターである、フィギュアスケーターの浅田舞さん、真央さん姉妹の、お気に入りカラーを採用した μ 830 パールアメジストと μ 830 シャイニーピンクもある。販売台数は μ 830 の製品名にちなみ、合計で8300台(各色4150台)となっている。

μ830 は従来のμシリーズ同様、生活防水に対応している。防水は JIS 保護等級4相当とよばれるレベルで、 水しぶきや少しくらいの雨であればほとんど影響はない。ただし海水など塩分を含んだ水分は厳禁で、水に漬かるような水中撮影はできない。
水中撮影を目的にするなら、防水効果が高く水中3m まで対応するμ790SW や、水中10m防水に対応する μ795SW を選ぼう。
レンズは光学5倍ズームレンズを搭載し、焦点距離は 35mmカメラ換算で、36mm〜180mm をカバーする。
画素数は μ780 の有効710万画素から、有効800万画素にアップしている。
CCD サイズは 1/2.33型から1/2.35型へと僅かに変更されているが、画質面で大きな差は感じられないだろう。
次に背面を見ていこう。
背面はメタリックグレーで、前面とはツートンカラーになっている。
液晶モニターは、解像度23万画素の2.5型ハイパークリスタル液晶モニターを搭載。視野角(綺麗に見える角度)は広く、上下左右・斜めのどの方向からでも明暗の反転もなく、綺麗に確認できる。
しかし、晴天時の明るい屋外では見えづらくなることがあった。できれば、一時的にモニターの明るさをアップして見やすくなる機能も欲しい。薄暗い環境では、明るさをアップして被写体を確認できる「ブライトキャプチャー」機能を搭載している。
ボタン類はズームレバー、モードダイヤル、上下左右方向キー、各種ボタンからなる。
ボタン類にはバックライトが採用されており、電源投入時やモード切替時、ボタン操作を行ったときに点灯する。バッテリーへの影響は気になるが、このクラスのコンパクトデジタルカメラには、なかなか無い親切な機能だ。
上下方向キーとその上下に隣り合う [MENU] や [DISP] ボタンとの間隔が狭く、上(露出補正)もしくは下(セルフタイマー)方向を押すときに指が当たることがある。しかし、それらボタンは真ん中に溝があり、指が当たっても余裕があり作動しない。
上部には電源ボタン、シャッターボタンと手ぶれ補正ボタンがある。左の写真でも判るように、レリーフ処理されている電源ボタンの [POWER] の文字、手ぶれ補正ボタンのアイコンは角度によっては見えづらく判読しにくい。 ボタンの形状が異なるので慣れれば問題ないかもしれないが、触りはじめには迷うこともあった。

メモリーカードとバッテリーは底面から挿入する。蓋には防水用のゴムパッキンが施されているので、開閉時は抵抗があり若干堅めだ。

利用できる メモリーカードは最大2GBまでの xD ピクチャーカードに対応する。xD ピクチャーカードを採用するデジタルカメラは少数派となってしまったので、他機種からの買い換えで容量が大きな SD メモリーカードをすでに持っている場合だと、規格の違いで μ830 の購入を躊躇することも考えられる。できれば富士フイルムの FinePix シリーズのように、xD ピクチャーカード、SDメモリーカードのデュアルスロットの採用も検討して欲しい。本体にも約14.8MBのメモリーが内蔵され、最大サイズの 3264 × 2448 ピクセル(SHQ)で約3枚、L判サイズとなる1600×1200ピクセル(SQ2)にサイズを落とすことで、約23枚の撮影が可能だ。

本体側面には USB 端子が搭載されており、ここも防水のため端子の位置は少し奥まっていて、蓋にはゴムパッキンが施されている。

撮影に応じた設定が簡単にできる、22種類のシーンモードを搭載

μ830 は電源投入から約2秒程度で撮影可能となる。ストレスを感じるほどではないが、最近の起動が高速なデジタルカメラからの買い換えでは、少し待ち時間を意識するかもしれない。
モードダイヤルの回転や切替、メニュー操作でもたつきを感じることはない。
μ830 は、シーンごとに最適な設定が簡単にできる、シーンプログラムモードを搭載している。
利用できるシーンプログラムは、[ポートレート] [風景] [風景&人物] [夜景] [夜景&人物] [スポーツ] [屋内撮影] [キャンドル] [自分撮り] [寝顔] [夕日] [打ち上げ花火] [料理] [ガラス越し] [文章] [オークション] [ショット&セレクト1] [ショット&セレクト2] [ビーチ&スノー] [水中ワイド1] [水中ワイド2] [水中マクロ] の、22種類。これらシーンプログラムを選択すると、各シーンの解説が表示される。
[水中ワイド1] [水中ワイド2] [水中マクロ] の利用には、水中撮影用の防水プロテクター PT-039 が必要だ。

撮影イメージを比較してから撮影できる「パーフェクトショットプレビュー」

μ830 には撮りたい写真の項目を選ぶことで、最適な撮影設定ができるガイドモードが搭載されている。
ガイドモードでは14の項目があり、いずれも「こう撮りたい」といった目的から最適な設定ができるように導いてくれる。
なかでもユニークなのが、「パーフェクトショットプレビュー」機能だ。これは 2〜4画面のマルチ表示でズーム倍率や露出補正や色合いの違いなど撮影イメージを並べて、事前にシミュレーションしてから設定できる機能だ。

例えば露出補正では、±1/3刻みで13通りの明暗の状態を表示してくれる。その中から最適と思う明るさのものを選べばその補正値が適用されるので、あとはシャッターを切るだけだ。
設定が異なるものを撮影前に並べて確認できるので、念のために何枚も撮影する必要がなく、無駄なカットも減らすことができるだろう。
逆にそれらマルチ表示から複数を選んで、設定の異なる写真を連続撮影してくれる機能があっても面白いかもしれない。

パーフェクトショットプレビューは便利だが、4枚のマルチ表示では各表示が小さくなってしまうは少し物足りなく感じた。マルチ表示の各コマをもう一回り拡大するか、3.0型のモニターなら視認性はもっと良くなるだろう。

顔検出、さらに逆光にも強い「フェイス&バックコントロール」

コンパクトデジタルカメラの撮影用途として一番多いのは、人物撮影だろう。ここ1,2年で急速に普及した顔検出機能に見られるように、最近のコンパクトデジタルカメラでは人物をいかに失敗なく撮影するかに重点が置かれている。
それは μ830 でも例外ではなく、最適な状態で人物撮影が行える機能が搭載されている。
まず、撮影メニューの[AF方式]を[顔検出]に設定すると、顔検出機能が働きグリーンの枠が表示され、顔を追随する。μ830 は、最大で3人までの顔検出が可能だ。他社では10人以上対応するものもあるが、日常の利用なら3人でも充分だろう。μ830 に搭載されている顔検出機能は精度が高く、少しうつむき加減や、斜め方向を向いていても検出できた。
人物の後ろに太陽があるような逆光状態では、手前の人物が暗くならないよう背景と人物の明るさを調整してくれる逆光補正機能「シャドー・アジャストメント・テクノロジー」を搭載している。
μ830 では、先の顔検出機能とシャドー・アジャストメント・テクノロジーを組み合わせた機能を「顔検出パーフェクトショット」と読んでいる。顔検出パーフェクトショットは必ずしも人物撮影だけでなく、逆光状態の建物や風景でも利用することができるので、利用範囲は広い。


顔検出パーフェクトショット:オフ


顔検出パーフェクトショット:オン
気になったのは、顔検出機能の設定が撮影メニューの[AF方式]と、背面ボタンの2つ存在することでややこしく感じたことだ。前者は顔検出のみ、後者は顔検出+逆光補正なのだが、ボタン操作で顔検出のみ、顔検出+逆光補正が切り替えられ方が良いのではないか。また、顔検出をオンにしていても撮影モードを切り替えるとオフになってしまい、再度設定しなければならない。どちらも人物撮影である、シーンプログラムの [ポートレート] から [風景&人物] に変えただけでも、オフになってしまうのは面倒だ。
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