顔の位置を自動認識してキレイに撮影できる、「フェイスクリアー機能」搭載“ニコン COOLPIX S3”

ニコン [ http://www.nikon.co.jp/ ]
COOLPIX S3
価格:オープンプライス
発売日:2005年9月23日
今回取りあげる COOLPIX S3 は、ニコンの COOLPIX(クールピクス)シリーズの中でも、Sシリーズに分類される。この「S」は、ユーザーの「スタイル」に合わせた「個性的」なモデルであることを表している。 COOLPIX S3 には3色のラインナップがあり、今回は落ち着きのあるカラー、ノーブルワインをお借りすることができたのでレビューしていきたい。

女性ユーザーを意識した、スタイリッシュで丸みのあるデザイン

まずは外観からチェック。
COOLPIX S3 の本体デザインは先の COOLPIX S1 から形状やボタンの位置などに大きな違いはなく、本体前面の「COOLPIX S3」の文字でわずかに違いがわかる程度だ。

しかし COOLPIX S3 ではカラーラインナップが若干異なり、写真にあるノーブルワインと、クリームホワイト、フロストシルバーの3色で、ブラックとメタリックなシルバーであった COOLPIX S1 よりも、より女性ユーザーを意識したカラーリングであることが伺える。最近ではデジカメ売り場でも女性の姿をよく目にするが女性の場合、デザインや色を重視する傾向が強い。

ノーブルワインは暖かみがあり、丸みを帯びた本体デザインと相まってメカっぽさがなく、店頭でも女性に特に支持されるカラーだろう。本体はアルミと部分的にプラスチックを併用しているが、塗装も綺麗で光沢感があり落ち着きと高級感を醸し出している。持った感じはズッシリするが、逆に軽すぎると安っぽく感じられるので高級感を裏切らない適度な重さといえる。
正面からのサイズはカードサイズよりも3〜5mm程度大きいくらいで非常にコンパクトだ。

レンズには電源オン/オフに連動するシャッターがある。

COOLPIX S3 は、起動してもレンズ部分が前面にせり出すタイプではないので一見するとズーム機能が付いていないように思われるが、ズームレンズが本体内部で駆動するタイプの光学3倍ズームを搭載している。レンズは色収差を低減させるニッコール ED(特殊低分散ガラス)レンズを採用している。
その他、本体には目立った突起がなく、胸ポケットやバックやケースにもスムーズな出し入れが可能だ。

背面には2.5型液晶と操作ボタンが並ぶ。今では2.5型液晶も珍しくなくなったが、やはり大きい。視認性も十分で再生モードでも発色がよい。
少し気になったのはレンズがカメラ本体の中央よりも上部にずれているために、とっさにカメラを構えた場合に撮りたい物と液晶画面に映っている景色とのズレがあるので戸惑うことがあった。この手のスリムなデジカメではよくあることなので、気にするほどではないと思うが。

上部には動画撮影および音声のみの録音にも利用できるマイク、電源ボタン、シャッターボタンが並び、コーナーにはストラップが取り付けられる。電源ボタンは長押しでオンになるが、周囲から少し奥まっているので、誤って電源が入ってしまうことはないだろう。
バッテリーは本体底面から挿入する。使用するメモリーカードはSDカードで、こちらは本体サイドから挿入する。最近ではどちらも下部から挿入するデジカメが多いが三脚を取り付けた場合でも、メモリーカードの出し入れが手軽にできるのは便利だ。
ただ、底面のバッテリー挿入口のフタの開閉、バッテリーの挿入が“スムーズ”というよりは“堅い”印象を受けた。これは個体差の問題かもしれないが。
COOLPIX S3 は本体内に約12MBのメモリーを内蔵しているので、SDカードが無くても600万画素で7枚程度の撮影が可能だ。最近ではSDカードを付属せずにメモリーを内蔵するデジカメが増えてきたが、16MB程度のメモリーカードが付属しても別途容量が大きなメモリーカードを購入して、付属のカードは使わないことも多いので、内蔵している方がいざという時に利用できてよいと思う。

一見すると戸惑ってしまう、微妙な位置関係のアイコンとボタン

次に撮影モードや設定を含めた操作性を見ていこう。
起動は上部の電源スイッチを長押して、約1秒で液晶モニターが表示、撮影可能となるので特にストレスを感じることはない。
背面の操作ボタンはアイコンとの距離とサイズが微妙で、一見するとどのアイコンがどのボタンに該当するのか判断しづらい印象を受ける。

慣れれば気にならないのかもしれないが、使い始めには少し戸惑ってしまった。一応は丸ボタンは役割ごとにサイズが違うのだが、微妙な違いで機能ごとに形状を変える、もしくはボタンにアイコンを印刷するなど整理が必要ではないか。

撮影モードの切り替えは、下部にある撮影モードセレクターのスライドで行う。レバーは突起が小さいので指の腹よりもツメを引っ掛けてスライドさせるほうが操作しやすい。実際は、撮影モードが豊富なシーンモード(スライド中央 [SCENE] )での撮影で事足りると思うのでスライドの切り替えは少ないかもしれない。

COOLPIX S3 の画像モードはシンプルだ。通常、別々に設定する画像サイズと画質(圧縮)モードが一体になった5種類の中から選択するようになっていて、最大サイズの [6M(600万画素)] のみ圧縮率が異なる [高画質] と [標準] の2種類が用意されている。これを物足りないと思うかどうかだが、逆に設定が多すぎてもどれが最適なのか判らない初心者には迷わずにすむ割り切りだ。
ただ、[TV]、[パソコン] とするのなら、[エコノミー]、[標準]ではなく [L判]、[A4用紙] というような最終目的での表示の方が、より伝わりやすいと思う。

お任せ撮影もコダワリ撮影もできる「オート撮影」モード

COOLPIX S3 の撮影モードは、「オート撮影」「シーンモード(SCENE)」「動画撮影」の3つがあり、背面下部のスライダで切り替える。

スライダのグリーンのカメラアイコンが「オート撮影」で、ストロボのオン/オフ、マクロモードの切り替えなど文字通り、ほとんどカメラにお任せのオート撮影ができる。

さらにここで [MENU] ボタンを押すと、画像サイズの他にホワイトバランスや露出補正などのメニューが表示される。その他、「連写」やビビッドカラー、セピアなど色変更をしながらの撮影が可能な「ピクチャーカラー」、連続撮影した複数画像の中から手ぶれの影響が少ない適正な露出の画像を自動で選択して保存してくれる「BSS(ベストショットセレクター)」「AE-BSS」などが利用できる。
デジカメに慣れていないならオート撮影で、慣れてきて露出補正やコダワリ撮影をしたくなったら [MENU] ボタンを押してアレンジするというスタイルだ。
また、感度はオートか ISO50 から最高で ISO400 まで設定可能だ。

理想的な構図で撮影ができる「アシスト機能」つき「シーンモード」

COOLPIX S3 には「シーンモード」があり、あらかじめ用意された様々な状況に対応する撮影モードを利用することができる。モードはポートレートや風景、パーティー、打ち上げ花火、水中など13種類用意されており、ポートレート、風景、スポーツ、夜景ポートレートにはさらに細かな状況に対応した数種類の「アシスト機能」が搭載されている。

このアシスト機能を選択すると、液晶モニターには撮影する被写体をサポートする枠が表示され、この枠に当てはめることで収まりのよい構図と共に撮影環境に応じたピントと露出で撮影することができる。

特にポートレートや人物と風景の撮影の場合は、人物が画面の中央から外れていても人物にピントがあった撮影が可能でピンぼけによる失敗がない。各モードの選択時にズームレバーの [ T ](テレ)側を押すと、モードの解説を参照することができる。
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