キヤノン PowerShot G10 レビュー
クラシカルなボディが魅力の、広角28mm搭載ハイエンドコンパクト“キヤノン PowerShot G10”
キヤノンの コンパクトデジタルカメラにはコンパクトでスタイリッシュなデザインが特長の IXY シリーズと、高倍率ズームやマニュアル撮影が可能な PowerShot シリーズがある。今回取り上げる PowerShot G10 は後者 PowerShot シリーズのフラッグシップモデルで、いわゆるハイエンドコンパクトと呼ばれるカテゴリーに属する。シリーズを通じて採用されるアナログ的なスタイリングと高機能さに根強いファンも多い。
アナログライクな2段ダイヤルが特長の、クラシカルな雰囲気が漂う高品位ボディ
まず、本体ボディデザインをチェック。
ボディはコンパクトデジタルカメラと呼ぶにはかなりの大柄で、アナログカメラのようなごつごつした印象だ。このスタイルの基本は PowerShot G7からで、それ以前は特筆するようなスタイリングではなかったが、PowerShot G7以降はアナログ的なボディデザインが踏襲されている。
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アナログ的なデザインは見た目の形状だけでなく本体の表面に施されたレザートーン塗装からも感じられ、質感へのコダワリが感じられる。本体重量は約350g(本体のみ)で、本体の黒さと質実剛健なイメージもあり手に持つとズッシリとくる。しかしラバー素材を用いた大きなグリップ部のホールド感は高く、片手で下げてもシッカリと保持することができる。レンズ周辺のリングはオプションのリングアクセサリー(ブルー、オレンジ、シルバーの3種類)に交換可能だ。 |
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上部にはシャッターボタン、ズームレバー、電源ボタン、2段で構成されたISOダイヤルとモードダイヤル、露出補正ダイヤル、アクセサリーシューがある。特に目に付くのが回転式2段のISOダイヤルとモードダイヤルで、アルミ削り出しの質感は高く、ボディ全体から醸し出されるアナログ的な印象のポイントとなっている。またシャッターボタン、ズームレバーもどことなく懐かしさを感じさせる形状をしている。 |
さらに反対側には露出補正ダイヤルを搭載。一般的なコンパクトデジタルカメラでは露出補正を利用する場合、モニター上でメニューを開いて煩雑な操作が必要なケースが多いが、ダイヤルの採用により視認性が高く即座に変更することができる。 |
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上部のアクセサリーシューの規格は前モデルのPowerShot G9と同じく同社デジタル一眼レフカメラ EOSシリーズと共通で、EOS 向けにラインナップされている多彩な外付けストロボを装着することができる。その場合、カメラ本体の液晶モニターで外部ストロボの設定をすることが可能だ。
また視度調整が可能な光学ファインダーを採用する。 |
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レンズは広角28mmを搭載し、35mm判換算で28〜140mm相当の光学5倍ズームとなる。前モデルPowerShot G9と比較すると、35〜210mm相当から広角よりにシフトしたのは嬉しいが、光学6倍からダウンしたのは残念だ。
撮像素子は1/1.7型CCDを搭載し、有効1,470万画素の最大記録サイズは4416×3312ピクセルが可能だ。
最大記録サイズのみRAW(CR2)記録に対応し、JPEGとの同時記録も可能だ。 |
次に背面を見ていこう。
背面には光学ファインダー、3.0型の液晶モニター、操作キーが並び、各種設定で利用できる回転するコントローラーホイールが目を引く。
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大型の3.0型液晶モニターは「クリアライブ液晶 II」と呼ばれ、傷やホコリにも強い加工が施されている。表示は明るく視野角も広い。上下左右・斜めとほぼどの方向からでも視認性が確保されている。液晶モニターの解像度は約46.1万画素で、サイズが大きくとも画像のエッジがギザギザになることもなく、きめ細かな表示が可能だ。撮影時のみならず再生時の画像を鑑賞する場合でも、満足度の高い表示が得られる。 |
液晶モニターの表面には指紋が付きやすいが、本体が大きくグリップ部も確保されているので、普通に構えて液晶モニターに指が被さるようなことはない。
また、夜や薄暗い場所では自動的に明るさがアップして見やすくなる「ナイトビュー」機能を搭載し晴天下で液晶モニターが見づらい時は、[DISP.] ボタンを1秒以上押し続けると明るさを最大までアップして見やすくできる。
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バッテリーとメモリーカードは本体の底面、グリップ内に挿入する。専用のバッテリーは大きく、一般的なコンパクトデジタルカメラで利用されるバッテリーを2舞重ねたくらいの厚みがある。 |
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側面カバーを開けると、付属のUSBケーブルを接続できるUSB端子と、付属のAVケーブルによるテレビ出力用のAVアウト端子、別売りのリモートスイッチ RS60-E3を接続することができる端子が用意されている。 |
軽快な操作が可能な、コントローラーホイールを採用
続いて操作系を見ていこう。
操作系での一番の特長はやはり上部の回転式のメカニカルなISOダイヤルとモードダイヤルだ。これらダイヤルは電源オフの状態や液晶モニターを覗かなくてもISO感度、モードの確認と設定ができる。何よりも液晶モニターでメニュー階層を巡ることなく、即座に目的の設定が行えて便利だ。各ダイヤルの設定位置は内部照明によって発光する仕組みで、暗い場所でも確認しやすい。
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もうひとつ特徴的なのが、背面のコントローラーホイールだ。コントローラーホイールは右手の親指だけでスムーズな回転が行え、各種メニュー操作やモードの選択、シャッタースピード、絞り値、AFエリアの移動など様々な場面で利用することができる。同社デジタル一眼レフ EOS シリーズに採用されている、電子ダイヤルに似た操作性が実現されている。 |
マニュアルフォーカスやマクロ、ストロボ設定などはコントローラーホイール内側の、上下左右キーにあるためやや小さい。そのため押しにくさもあるがはみ出してコントローラーホイール自体を押したとしても、反応はしないので問題はないだろう。
コントローラーホイールの回転でモード切替やシャッタースピード、絞り値などを設定することができる。
本体の設定でシャッター音を往年の同社アナログ一眼レフカメラ「T90」と「F1」にの音に設定することができる。しかもシャッタースピードが遅くなると、シャッター音まで長くなるといったコダワリようだ。
マニュアルモードや各種カスタマイズが可能な撮影モードを搭載
撮影モードは [オート] [プログラム] [シャッタースピード優先] [絞り優先] [マニュアル] があり、それらモードで設定できる各種設定を、自分好みのモード [C1] [C2] として2つまで登録することができるカスタムモードが用意されている。マニュアル設定やズーム位置など登録できる項目は多岐にわたるが、ISO感度と露出補正はダイヤルによる設定のため登録することができない。それらは最もカスタマイズしたい項目でもあるが、視認性・操作性に優れたダイヤルなので大した手間にはならないだろう。
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また様々なシチュエーションに合わせたシーンモード「スペシャルシーン(SCN)」として [ポートレート] [風景] [夜景] [夕焼け] [スポーツ] [ナイトスナップ] [パーティー/室内] [キッズ&ペット] [新緑/紅葉] [スノー] [ビーチ] [打上げ花火] [水族館] [水中] [ISO3200] [ワンポイントカラー] [スイッチカラー] [スティッチアシスト(パノラマ)] [動画] がある。これらモードの切替は上部のモードダイヤルで [SCN] を選び、さらにコントロールホイールで各シーンモードを選択する。 |
撮影モード以外でも露出補正量の幅に従って自動的に露出を3段階変化させながら撮影する「AEB(オートブラケティング)」や、光量を抑えて撮影できる「NDフィルター」、フォーカス位置をピント位置・前寄り・後寄りで自動的に3段階撮影する「フォーカスブラケット」、シャドウ部分を明るく補正する「暗部補正」なども搭載している。
暗部補正:なし |
暗部補正:あり |
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