キヤノン IXY DIGITAL 910 IS レビュー

広角28mm、3.0型液晶が魅力のコンパクトデジタルカメラ
“キヤノン IXY DIGITAL 910 IS”

 キヤノン [ http://canon.jp/ ]
 IXY DIGITAL 910 IS
 価格:オープンプライス 最新価格を調べる >>
 発売日:2007年9月
キヤノンの IXY シリーズはコンパクトデジタルカメラの売り上げランクでは、常に上位に顔を出す人気シリーズだ。シリーズを通じて精悍でクールな印象を持ち続け、画質の面でも定評がある。
ここでは IXY DIGITAL 900 IS の後継モデルとなる、IXY DIGITAL 910 IS を紹介する。従来の広角28mm、手ぶれ・被写体ぶれ補正機能、顔認識のフェイスキャッチテクノロジーに加え、3.0型液晶モニターを搭載するシリーズの中でも人気のモデルだ。

ツートンカラーで、フルモデルチェンジのボディデザイン

まず、本体デザインをチェック。
過去の IXY シリーズでは本体カラーはシルバー1色が特徴的だったが、IXY DIGITAL 910 IS では、シルバーとブラックのツートンカラーになった。このツートンカラーは、IXY DIGITAL 10IXY DIGITAL 90 から採用されており、懐かしのAPSフィルムカメラ IXY を彷彿とさせる。
前モデルの IXY DIGITAL 900 IS と比較しても形状やカラーリングなど、フルモデルチェンジと言えるほどの変化を遂げている。
前面、背面はシルバーとブラックのメタル、レンズ周辺と側面、上部のブラックでは樹脂を使用しているが、艶消しで落ち着いた雰囲気に仕上がっている。 しかし、これまで IXY シリーズはシルバー1色で金属の固まりのようなイメージが強かったので、デザインに関しては好みが別れるだろう。
3.0型液晶を搭載したことでボディサイズに変化があり、幅で 3.1mm、高さで 0.8mm、奥行きで 0.8mm(カタログ値)アップと、僅かにアップしているが、コンパクトに収まっている。
メタル部分にステンレスを採用していた IXY DIGITAL 900 IS から、アルミニウムに変更されたため、サイズアップに伴う重量変化も5g アップに抑えられている。

上部にはシャッターボタン、ズームレバー、電源ボタン、撮影モードスイッチが並ぶ。
従来は撮影モードスイッチは背面にあったが、スペース的な問題から上部へ移動された。実際に触った感触ではこれまで撮影モードの切替も含め、ほとんどの操作が親指のみで可能だったので、上部での切替は少し戸惑いを感じた。しかし、撮影モードのスライドスイッチはシッカリしているので、慣れれば目視しなくても指先だけで切替が可能だろう。

大型液晶を搭載したことで、IXY シリーズではコダワリだった光学ファインダーが廃止されている。実際に調べたわけではないが、おそらくコンパクトデジカメで光学ファインダーを利用しているユーザーは、それほど多くないのではないか。今では液晶モニターのサイズが大きい方を歓迎するユーザーが多いと思われるので、よい判断だと思う。

レンズは IXY DIGITAL 910 IS の特徴である広角28mmを搭載し、35mm判換算で28〜105mm相当の光学3.8倍ズームとなる。この点は、前モデルから変化はない。
CCDは従来の有効710万画素から、有効800万画素へとアップしている。

次に背面を見ていこう。
背面には3.0型の液晶モニター、操作キーが並ぶ右部分は、グリップの役割として少し膨らみがある。
目を引くのは、やはり3.0型液晶モニターだ。「クリアライブ液晶」と呼ばれる液晶モニターの表示は、その名に恥じることなく明るく、視野角(綺麗に見える角度)も広い。上下左右ともに、水平に近いくらいまで傾けても明暗が反転することはない。
気になったのはサイズが大きいため、構えたときに右手の親指が液晶モニターの右端にかぶることがあったことだ。操作上、大きな問題ではないが、指が太い男性だと影響は大きいだろう。
液晶の表面はフッ素コートにより汚れ・指紋が付きにくく、ハードコートによりキズにも強いということだが、指紋は目立ちやすく感じられた。気になるようであれば、保護フィルムを貼った方が、指紋は目立ちにくくなるだろう。

モニター関連の機能としては、「ナイトビュー」機能を搭載し、夜や薄暗い場所では自動的に明るさがアップして見やすくなる。状況によっては液晶表示がノイズでザラつくことがあるが、撮影画像に影響はない。
また、晴天下で液晶モニターが見づらい時は、[DISP.] ボタンを1秒以上押し続けると明るさを最大までアップして見やすくできる。
しかし、ナイトビュー機能で暗い環境に自動で明るさをアップしてくれるなら、明るい環境でも自動的に反応してくれても良いと思う。

上下左右の方向キーは、指の接触を感知するタッチセンサーを内蔵した「タッチホイール」を採用している。詳細は後述する。
バッテリーとメモリーカードは本体の底面から挿入する。三脚用の穴は本体中心近くにあるので、三脚にセットしたままでのバッテリー、メモリーカードの交換はできない。
側面カバーを開けると、付属のUSBケーブルを接続できるUSB端子が用意されている。パソコンとの接続や PictBridge に対応したプリンターに直接接続してプリントも可能だ。
また、付属のAVケーブルによるテレビ出力用のAVアウト端子も装備している。

軽く触れて操作できる、タッチホイールを採用

IXY DIGITAL 910 IS は、大型液晶モニターを搭載していることもあり、背面の操作キーに割けるスペースが限られている。そのため、メニュー操作を行う円形の方向キーも小さめだ。IXY DIGITAL 910 IS では、操作性の向上を図るため、センサーが内蔵された「タッチホーイール」を採用している。これは、円形キー周辺のシルバーのフチに指で触れると、液晶モニターに機能を表示したり、メニューのスクロールが行える機能だ。
まず、撮影モードでタッチホイールに触れると、ISO感度、ストロボ、マクロなどのアイコンが液晶モニターに表示される。上下左右の指の位置によって該当する機能のアイコンが拡大表示され、そのまま押すと項目の設定が可能となる。(下図左)
また、タッチホール上を円を描くように指でなぞると、撮影モードの切替が可能だ。(下図中)
その他のメニュー項目でも、露出補正や画質、画像サイズなどでも、数値や項目選択の選択にタッチホイールが利用できる。
さらに再生モードでは閲覧中に画像をスクロールして、検索ができる。(下図右)
他社でもスクロールするダイヤルキーを採用するデジタルカメラはあるが、そのほとんどはキー自体が回転するためキーの表面にアイコンを印字することができず、スペースの問題から大型液晶モニターの搭載が難しかった。しかし、IXY DIGITAL 910 IS では、タッチホール自体は回転しないので、限られたスペースでも操作性やアイコンの視認性を損なうことなく、大型液晶モニターの搭載を両立している。
注意すべき点として、タッチホイールの操作は、スクロールする際の指でなぞるスピードや力のいれ具合、目的の項目で止めるタイミングなどに若干の慣れが必要だ。

シーンモード数は少ないが、色調の演出ができる多彩なカラー変更機能を搭載

撮影モードでは、[オート] [マニュアル] [デジタルマクロ] のほか、撮影状況に応じたモードを自動設定してくれる [スペシャルシーンモード] がある。
利用できるシーンは、[ポートレート] [ナイトスナップ] [キッズ&ペット] [パーティー/室内] [新緑/紅葉] [スノー] [ビーチ] [打上げ花火] [水族館] [水中] の10種類で、最近のコンパクトデジタルカメラとしては控えめな数で、新たに追加されたものはない。シーンの切替は、メニュー画面で呼び出す以外に、タッチホールの回転でも可能だ。
他の撮影モードでは、コントラストの強調や鮮やかさなど色調を変化させることができる [マイカラー] や、特定の色のみを残し他をモノクロにする [ワンポイントカラー] 、指定した色を別の色に置き換える [スイッチカラー] などのカラー変更機能を搭載している。

ノーマル

くっきりカラー

すっきりカラー

セピア

白黒

ポジフィルムカラー

ワンポイントカラー

スイッチカラー
 
カラー変更機能は撮影後の画像に対しても、再生モードで「レタッチマイカラー」として適用させることができるので、無理に撮影時に利用しなくてもよい。
カラー変更機能の一部は、動画モードでも利用することができる。
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