富士フイルム FinePix Z100fd レビュー

待望の光学式手ブレ補正機能を搭載、光学5倍ズームのスリムコンパクトデジタルカメラ“富士フイルム FinePix Z100fd”

富士フイルム [ http://fujifilm.jp/ ]
FinePix Z100fd
価格:オープンプライス 最新価格を調べる >>
発売日:2007年9月29日
富士フイルムのコンパクトデジタルカメラ FinePix シリーズのなかでも Z シリーズは、デザインやスタイルを重視したシリーズだ。特に女性ユーザーをメインターゲットにしており、Z シリーズのイメージキャラクターに、モデルの蛯原友里を起用しているのは既にお馴染みだろう。
ここではその Z シリーズの最新モデルとなる、FinePix Z100fd を紹介する。

今回は、製品版ではなく発売前の量試機をお借りしたので、操作性やクオリティの面で製品版とは異なる場合があるので、その点はご了承いただきたい。

光沢が美しく、深みと高級感のあるスクエアフォルム

まず、外観からチェックしよう。
FinePix Z100fd は、過去の Z シリーズ 同様スクウェアなボディデザインを踏襲しているが、前モデルの FinePix Z5fd から型番が大きく変わっていることからもわかるように、FinePix Z100fd はフルモデルチェンジとなる。
Z シリーズの特長であるスライドレンズカバーはそのままで、よりスクウェアなフォルムとなり全体的にシャープな印象が増している。
ボディは横から見ても丸みなど膨らみがほとんどないフルフラットに近く、レンズカバーを閉じたところはコンパクトデジタルカメラらしからぬスタイルだ。 知らなければ高級化粧品か、コスメ用品かと思ってしまう。
カラーラインナップはシルバーピンクブラウンホワイト&ブラックがある。
ボディ表面は UV 塗装による深みがあり、今回お借りしたシルバーモデルは年季の入った鋳物のようで、コンパクトデジタルカメラではなかなか味わえない高級感がある。
女性向けというと丸みのあるボディ形状や淡い明るい色を思い浮かべがちだが、FinePix Z100fd では逆にスクウェアで渋みのあるカラーを用いることで、大人の女性を意識されるスタイルに仕上がっている。
漂う雰囲気は、それこそ高級化粧品やアクセサリーなどに通じるものがあり、フォーマルな装いにも似合いそうだ。
表面の光沢は指紋が付くようなことはなく、せっかくのスタイルが損なわれることはない。
レンズカバーは過去のモデルのように全面ではなく、一部を覆うもので斜め方向へスライドする。レンズカバーの裏にはパッドが付いているので、繰り返しカバーを動かしてもボディにスライドキズが付かないよう配慮がされている。

上部はシャッターボタン、 顔キレイナビ ボタンが配置され、電源ボタンが無いぶんスッキリとしている。それらボタンも四角くデザインされており、引き締まった全体の印象に一役買っている。
前面のレンズカバーは電源スイッチと兼ねられており、斜め方向へスライドさせると電源が入る。この起動時にはロゴの「Z」部分が発光し、セルフタイマーの際には点滅する。
レンズはフジノン光学5倍ズームレンズを搭載している。
これまで FinePix シリーズといえば画素の形状が八角形のスーパー CCD ハニカムが特徴的だったが、FinePix Z100fd では有効800万画素 1/2.5型 正方画素CCD を採用している。スーパーCCDハニカムは高感度撮影に有利なので可能であれば採用して欲しかったが、このあたりは同時発表された上位モデル FinePix F50fd との差別化を図るため見送られたようだ。
気になったのはレンズが上部の端に寄っているため、構えたときに左手の指がレンズに被ることが何度かあったことだ。 慣れの問題かもしれないが、はじめは構える時に少し意識が必要だろう。
次に背面を見ていこう。
背面はシルバーで処理されており、ボディは前面・背面とでツートンカラーになっている。
背面にはズームキー、ロータリーダイヤルなどが配置されている。
それぞれのキーはデザインを優先させたせいか、アイコンも含め全体的に小さめだ。
使いにくいと言うほどでもないが、上下左右方向キーを兼ねた回転するロータリーダイヤルも少し小さめで、指が太い男性だと扱いにくいかもしれない。
液晶モニターのサイズは2.7型 、画素数は約23万画素と高精細な表示が可能で、キズに強い強化ガラスを採用している。
左側面には USB ポートが、右側面には赤外線通信ポートを装備している。
FinePix Z100fd は赤外線通信の規格である IrSimple に対応しているので、もう一台の FinePix Z100fd や対応する FinePix シリーズ、富士フイルム製プリンター Pivi シリーズ、携帯電話などと赤外線通信による画像の送受信が可能だ。
メモリーカード、バッテリーは底面から挿入する。
FinePix Z100fd では記録メディアとして、xDピクチャーカードと SD / SDHC メモリーカードが利用できるデュアルスロットになっている。Z シリーズとしては初めてだ。
本体にも約54MBのメモリーが内蔵されており、最大サイズの 8MF [3264×2448ピクセル] では、14枚の撮影が可能だ。サイズを落として、L 判サイズ相当の 2M [1600×1200ピクセル] なら88枚撮影できる。
三脚用の穴は、底面のほぼ中心に付いているがバッテリーカバーと隣り合っているので、三脚に固定したままバッテリー、メモリーカードの交換はできない。

クルクル回転して軽快な操作が可能な、ロータリーダイヤルを搭載

FinePix Z100fd の操作性における特長のひとつは、回転するロータリーダイヤルの採用だ。
ロータリーダイヤルは上下左右の方向キーを兼ねたダイヤルで、液晶モニターに映し出されたメニューの選択やモードの設定ができる。ロータリーダイヤルによる操作は、目的の項目へ素早く移動できるので軽快だ。
FinePix Z100fd で利用できる撮影モードは、自動的に高感度になり、暗い場面でもストロボ無しで目で見たままの雰囲気で撮影できる [ナチュラルフォト] や、ストロボ無し・有りを連続撮影する [高感度2枚撮り] のほか、[オート] [マニュアル] [人物] [風景] [スポーツ] [夜景] [花火] [夕焼け] [スノー] [ビーチ] [水中] [美術館] [パーティ] [花の接写] [文字の撮影] [オークション] が用意されている。最近のコンパクトデジタルカメラの撮影モード数としては、特別多くないが日常のシチュエーションでは十分だろう。

各撮影モードでは特長をカラーの写真入りで解説してくれるので、独自モードである [ナチュラルフォト] や [高感度2枚撮り] なども、どういった撮影がされるのか理解しやすい。このあたりはターゲットとしている女性にとっても判りやすい配慮だ。

ただ、これら撮影モードが全てトップメニューに並んでいるので、各モードが目に付きやすい反面、目的のモードに到達するまでスクロールが長くなりがちだ。ロータリーダイヤルによって軽快に移動できるものの、撮影モード以外のメニュー項目も含めるとそれなりの数になるのでスクロールする距離が長くなるのは気になる。

また、トップメニューで [SET(セットアップ)] [MENU(撮影メニュー:画像サイズ、露出補正など)] は、さらに詳細な設定を行う2階層目が存在するが矢印も何も無いため、2階層目が存在しない他の撮影モードとの違いが判りにくい。できれば2階層目があるメニューは、矢印アイコンを付けるなど判断しやすいナビゲーションが欲しい。

シリーズ初となる CCD シフト手ぶれ補正と、高感度ぶれ軽減を搭載

これまでほとんどの FinePix シリーズの CCD には、画素の形状が八角形のスーパー CCD ハニカムが採用されてきた。スーパー CCD ハニカムは高感度撮影でもノイズに強い特長があり、過去の FinePix シリーズでも手ぶれ軽減には高感度ISOが利用されてきた。
しかし、スーパー CCD ハニカムといえども高感度ISOによる画質への影響は免れず、そのことを不満に感じていたユーザーもいるだろう。

そのような声を反映して、FinePix Z100fd では CCD シフト式手ぶれ補正機能が搭載された。
これはシリーズ初で、同時発表された FinePixF50fdFinePixS8000fd にも搭載されている。
手ぶれ補正のオン・オフはロータリーダイヤルの上方向キーで設定する。
手ぶれ補正を常時反映か、シャッターを切ったときの撮影時のみ反映させるかどうかの設定は、セットアップメニューの「ブレ防止モード」で行う。

モード:マニュアル、ISO:100、シャッタースピード:1/4、絞り:f3.8、手ぶれ補正:オフ

モード:マニュアル、ISO:100、シャッタースピード:1/4、絞り:f3.8、手ぶれ補正:オン

モード:オート、ISO:800(高感度手ぶれ軽減)、シャッタースピード:1/18、絞り:f3.8、手ぶれ補正:オフ

モード:ナチュラルフォト、ISO:1600(高感度手ぶれ軽減、シャッタースピード:1 /40、絞り:f3.8、手ぶれ補正:オフ
FinePix Z100fd では最高感度ISO1600 での撮影が可能で、ISO 感度を任意で設定できるのは、マニュアルモードのみだ。他のモードでは状況に応じた最適な感度を判断してくれるため、CCD シフト式と高感度ISOのダブルの効果によって、手ぶれ・被写体ぶれに対応してくれる。

FinePix Z100fd ではCCDに、正方画素CCDを採用していることもあってスーパーCCDハニカムを採用するモデルほど高感度撮影への優位性はなく、ISO3200、6400 といった超高感度撮影には対応していない。

高感度2枚撮りに関しては、過去のレビューを参照して欲しい。
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