パナソニック LUMIX DMC-FX55 レビュー

最適なシーンを自動選択する「おまかせ iA」と、3.0型液晶モニター搭載のスリムデジカメ“パナソニック LUMIX DMC-FX55”

パナソニック [ http://panasonic.jp/ ]
LUMIX DMC-FX55
価格:オープンプライス 最新価格を調べる >>
発売日:2007年8月25日
人気の LUMIX シリーズの中でも FX シリーズは、コンパクトデジタルカメラの売れ行きランキングでは、常連と呼べる存在だ。その FX シリーズに3.0型液晶モニターを搭載するモデルとしては、2代目となる DMC-FX55 がラインナップされた。

大型モニターを搭載しつつも、スリムでスタイリッシュなボディ

まずは外観からチェック。
基本的なボディデザインは過去の LUMIX シリーズの流れを汲んでいて、ボディの質感にも大きな変化はない。DMC-FX55 は大型の3.0型液晶モニターを搭載していることもあり、物理的にボディサイズはやや大柄に感じられるが、実はそれほど大きくはないのだ。
本体の奥行きは 22.8 mmで「スゴうす」として薄さを前面にアピールしている DMC-FX33 と比較してもプラス 0.8mm に収まっている。薄さが際だっているので高さがあるように感じられるが、57.1mm はコンパクトデジタルカメラとしては平均的な高さで、充分コンパクトと呼べるサイズに収まっている。
しかし、手に持った感じでは見た目の印象よりもズッシリ感がある。どのデジカメでも構えるときは両手が基本だが、DMC-FX55 の場合は、安定の為にも特に両手が必須となるだろう。このあたりは3.0型液晶モニターの搭載による影響かもしれない。
本体正面向かって左には、グリップとして若干の膨らみがあり、この僅かな膨らみのおかげで、構えたときの安定感は良好だ。
ボディのほとんどはアルミニウムが採用されていることもあり質感も高く、男女のどちらが持っても違和感はないだろう。同じく3.0型液晶モニターを採用する前モデルの DMC-FX50 と比べても、エッジの効いた処理も手伝って、ずっとスリムでスタイリッシュに仕上がっている。
レンズは広角28mm(35mmフィルム換算)、 LEICA DC VARIO-ELMARIT(ライカ DC バリオ・エルマリート)を搭載し、光学式手ブレ補正機構(MEGA O.I.S.)を内蔵する。ズームは光学3.6倍と、CCD の使用領域を狭くして最大5.7倍までズームできる「EX光学ズーム」(画像サイズは3M 以下)、さらにEX光学ズームと併用して22.7倍までのデジタルズームが可能だ。
1/2.5型CCDを採用し、有効810万画素。最大記録サイズは画角 4:3 で 3264 × 2448ピクセルとなっている。
広角28mmと、EX光学ズームに関しては、過去のレビューを参照して欲しい。
次に背面を見ていこう。
背面には DMC-FX55 のポイントとなる3.0型液晶モニターを搭載している。さすがにその存在感は圧倒的で、撮影時に被写体が表示されると思わず笑みがこぼれそうになる。
液晶モニターの画素数は23万画素で、表示される画像もきめ細かく明るい。
視野角(上下左右から綺麗に見える角度)は、さほど広くはないので LCD モードの切り替えは覚えておいた方が良いだろう。液晶モニターの明るさは [LCD MODE] ボタンの長押しにより変更可能で、任意で明るさをアップさせる「パワーLCD」、高い位置でカメラを構えたときに下からのアングルでも見やすくなるように明るさをアップする「ハイアングル」に加え、周囲の環境に応じて自動で明るくなる「オートパワーLCD」が追加された。
屋外・屋内、日向・日陰を頻繁に行き来しなければならない状況だと、LCD モードをいちいち切り替えるのは面倒だ。また、必要な時以外に明るさをアップしたままだとバッテリーの消耗にも影響するので、環境に応じて液晶モニターの明るさを、自動で切り替えてくれるのは有り難い。
DMC-FX55 では、3.0型モニターの画面の広さを活かして、撮影時には被写体を小さく表示して、L字型に情報を表示することもできる。通常の被写体に文字が重なる状態よりも視認性が高く、それらに表示領域を割いても2.5型サイズと同等に被写体を確認することができるのは大きな液晶ならではだ。
このL字型表示モードは iA モード以外の撮影モードで利用できる。
液晶モニターのサイズが大きいため、キーを配置するスペースは必然的に限られてくる。そのため場所を取る独立十字キーではなく、ジョイスティックを採用している。 ジョイスティックはクリック感もシッカリしていて、メニュー画面の呼び出し、上下左右、決定の操作を指のわずかな動きで行え、とてもスムーズだ。
本体上部は電源スイッチ、シャッターボタン、ズームレバー、マイク、スピーカー、モードダイヤルがあり、従来からの手ぶれ補正ボタンは無くなっている。
ほとんどのケースで手ぶれ補正を常時オンの状態で撮影することが多いので、ボタンがなくなっても不都合を感じることはないだろう。
必要であれば、手ぶれ補正モードの切り替えはメニューを呼び出して行う。

バッテリーとSDメモリーカードは本体の底面から挿入する。利用できるメモリーカードはSDメモリーカード、SDHCメモリーカード、マルチメディアカードで本体にも約27MBのメモリーも内蔵している。
最大サイズの 8M サイズでは6枚しか撮影できないが、3M サイズで画質をスタンダードにすれば、32枚撮影可能だ。カードを入れ忘れたり、いざという時に役に立ってくれるだろう。

操作性、視認性が向上したモードダイヤルと、20種類のシーンモードを搭載

次に撮影モードや設定を含めた操作性を見ていこう。
起動は上部のスライドスイッチをオンにすると、約2秒程度で撮影可能となる。
撮影モードは従来からの [通常撮影] [マクロ] [ 動画] [SCN(シーン)] に、新たに [おまかせ iA(インテリジェントオート)] と [メモ] が加わり、かんたんモードは無くなっている。

メモモードはメモリーカードの有無にかかわらず、常に画像は内蔵メモリに記録される。時刻表や地図の撮影など情報の持ち歩きを目的としている用途を踏まえたものだ。
おまかせ iAモードは次で詳しく説明したい。

モードダイヤル回転時にはモニター上にもダイヤルイメージが表示され、切り替え時にモードダイヤルに目をやらなくても状態を把握できる。モードダイヤルは360度回転できる仕様になっていて、一番端にある再生モードへ一気に回転させると、行き過ぎてしまうことがあった。過去の LUMIX のように、ダイヤルが両端で止まる方が指の感覚で操作できるのではないか。
シーンモードではさらに、 [人物] [美肌] [自分撮り] [風景] [スポーツ] [夜景&人物] [夜景] [料理] [パーティー ] [キャンドル] [赤ちゃん1・2] [ペット] [夕焼け] [高感度] [高速連写] [星空] [花火] [ビーチ] [雪] [空撮] と20種類のモードが用意されている。いすれも撮影時のポイントの解説を参照することができる。
また、撮影時に [FUNC] キーを長押しすると、クイック設定として手ぶれ補正や ISO感度、ホワイトバランスなどのメニューを素早く呼び出すこともできる。クイック設定は、iA モード以外の撮影モードで利用可能だ。

撮影シーンを自動で判断する「おまかせ iA(インテリジェント・オート)モード」

最近のデジタルカメラでは、様々なシチュエーションに対応できるように、シーンモードを数多く搭載している。それはそれで便利なのだが、モード数が多いが為に最適なモードを選択するためにメニューの移動やスクロールで手間がかかることもある。
そんなモード切替の手間を一気に解消するのが、「おまかせ iA(インテリジェントオート)モード」だ。おまかせ iA モードはカメラを向けるだけで、被写体が人物なのか風景なのか、もしくは物なのかを自動で認識し、最適なシーンモードを選択してくれる。

おまかせ iAモードで自動認識してくれるのは、[顔認識] [風景認識] [接写認識] [動き認識] [顔&夜景認識] の5つのシーンで、日常的によく利用されるシチュエーションに対応可能だ。

おまかせ iAモードではシーンの認識に加え、ISO 感度、手ぶれ補正、顔認識も同時に判断される。ISO 感度はインテリジェント ISO 感度(後述)が働く。
また、カメラのぶれが小さければ、ピントも自動で合わせてくれる「クイックAF」が働くので、シャッターボタンを押してから撮影されるまでもスピーディーだ。

[顔&夜景認識] ではストロボ有りの場合、人物+夜景と判断し、ストロボオフの場合は夜景と認識する。さらにカメラのぶれを検知して三脚利用の有無を判断し、シャッタースピードと ISO 感度を自動設定する。

試しに、おまかせ iA モードでいろんな被写体を撮影してみた。
人物にカメラを構えてみると、ほとんど待たされることなく顔認識モードとなりモニターの左上には顔認識モードアイコンが表示、顔の位置には顔認識を表す枠が表示された。そして手元にある小物へカメラを向けると、接写認識としてマクロモードに切り替わった。この間約1秒程度でテンポ良く認識される。

おまかせ iAモードは、一見するとフルオートの初心者向けの機能に感じるかもしれないが、例えば人物や風景、気になった小物など撮りたい物が次々と変わる旅行での撮影でも、モードの切り替えを意識せず撮影に集中できる、といったメリットがあり万人にオススメできる。
機会があれば、ぜひ店頭でおまかせ iA モードを体験して欲しい。
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