リコー GR DIGITAL III レビュー

大口径レンズを搭載し画質に磨きがかかった、ハイエンドコンパクトデジタルカメラ“リコー GR DIGITAL III”

GR DIGITAL III リコー [ http://www.ricoh.co.jp/ ]
 GR DIGITAL III
 価格:オープンプライス 最新価格を調べる >>
 発売日:2009年 8月 5日
過去、このデジカメレビューでもリコー製のデジタルカメラをいくつか取り上げてきたが、その後のアクセス状況を確認すると、ページビュー数は他のデジタルカメラに比べて差を付けて多い。GR シリーズを取り上げるのは初めてだが、カメラ好きの間ではすでに「GR」といえば、1つのブランドとして確立されるほどの支持を得ている。ここではその最新モデルとなる、GR DIGITAL III の注目の機能にスポット当てながらレビューしていこう。

前モデルのボディデザインを踏襲、安定性のあるホールド感はそのまま

GR DIGITAL III のボディデザインは、前モデルの GR DIGITAL II のそれを踏襲し、ほとんど目立った差がない。しかし、よくよく観察してみると上部のホットシューが僅かに出っ張っているのと、レンズの口径が大きくなったぶんだけレンズ周りが少し大きくなっている。
GR DIGITAL IIIロゴ 数値的には幅・高さ・奥行きで0.5〜2mm程度大きくなっているが、これらは新旧モデルを並べて比較するか、前モデルのユーザーでなければ、両者の違いに気が付かないだろう。それら以外では「GR」のロゴが、前モデルのプリントから刻印に変更されているので、唯一見た目で違いが判りやすい部分だ。ボディデザインに変化が少ないのは物足りなく感じるかもしれないが、それはこれまで支持されてきた自信の表れでもあり、余計な変更は加えないということだろう。
GR DIGITAL IIIボディ前面 前面にはロゴやレンズ仕様の記載以外は、「RICOH」の文字もない。高機能ぶりを謳うラベルも無いため、GR シリーズを知らない人なら「どこのメーカー製?」となりそうだが、逆に主張しないところが GR DIGITAL III の個性となっているのは不思議だ。
手に持った印象では、見た目のサイズ以上の重量感があるが、グリップが大きくシッカリと持てる。構えたときの安定感は、デザインを優先したコンパクトデジタルカメラでは味わえない。
GR DIGITAL IIIボディ上部
ボディ上部には電源ボタン、シャッターボタン、モードダイヤルがあり、ボディ側面のスイッチでポップアップするストロボを内蔵する。モードダイヤルはポケットやカバンに入れても、誤って回転しないようロック式になっており、撮影モードを切り替える場合はロックボタンを押しながらダイヤルを回転する。撮影モードには新たにシャッタースピード優先モードが追加され、カスタマイズした設定を登録できるマイセッティングモード(後述)は、前モデルの2つから3つに増えた。
上部のホットシューには、外部ファインダーや、外付けのストロボなどを取り付けることができる。今回はオプションの外部ファインダー GV-1(写真左)と外部ミニファインダー GV-2 (写真右)をお借りできた。 GV-1 のファインダーには 21、28mm相当用のフレームがあり、GV-2 には 28mm 相当のフレームと画角1:1のマークが付いている。
外部ファインダー GV-1、外部ミニファインダー GV-2
これら外付けファインダーはいずれもケース付きで、本体と同じ金属製でモノとしての質感も高い。GV-1 が税込23,100円、GV-2 が税込24,150円で提供されている。
GR DIGITAL IIIレンズ レンズは広角28mm(35mm判カメラ換算)の単焦点レンズで、撮像素子は1/1.7型CCDの約1000万画素。従来の1/1.75型CCDの約1001万画素から、画素数はほとんど変わらずにCCDサイズがアップしている。それにより画素1つあたりの面積もアップしているため、画質の向上やノイズの低減が期待できる。また、画像処理エンジンとして新開発の「GR ENGINE III」を搭載し、画像を圧縮する前の段階でノイズ処理を行うことにより、よりきめ細やかなノイズ処理制御が可能となったとのこと。
次に背面を見ていこう。
背面は2.7型から3.0型にサイズアップされた液晶モニター、ADJ.(アジャスト)レバー、再生モードボタン、各種操作キー等がある。
GR DIGITAL III背面背面 液晶モニターのサイズが大きくなったため、前モデルよりも操作系のスペースが少し狭くなっているが、特に使い勝手が悪いと感じることはない。モニターの解像度も23万画素から92万画素に高精細化され、ファインダーとしての利用はもちろん、メニュー画面の情報量も多く、文字が滑らかに表示され品質の高さが感じされる。GR DIGITAL III は撮影・再生モードでグラフなどを用いて色補整が行えるが、それら表示も細かく表示できる。視野角も広く、上下左右ほぼどの方向から見ても表示が見づらくなることはない。
GR DIGITAL IIIバッテリー挿入 バッテリーとメモリーカードは本体の底面から挿入する。最大2GBのSDメモリーカードと、最大32GBのSDHCメモリーカードに対応する。GR DIGITAL III は RAW と JPEG の同時記録にも対応するので、RAW を頻繁に利用するなら、できるだけ容量が大きく、転送スピードが高速なSDHCカードを利用しよう。

本体には約88MBの内蔵メモリーが搭載され、最大サイズの RAW 12M(3648×2736 ピクセル)で約4枚、F(JPEG:3648×2736 ピクセル)で約22枚、L判プリントサイズ相当のN(1280×960ピクセル)で、約175枚の撮影が可能だ。

側面カバーを開けると、付属ケーブルを接続できるUSB端子が用意されている。また、付属のAVケーブルによるテレビ出力用のAVアウト端子も装備する。
GR DIGITAL III側面端子
ストラップ用の穴はボディ側面の上下に2箇所あり、付属のハンドストラップのほかに、オプションの2点吊り下げ式のネックストラップ GS-1、ST-2 も取り付けることができる。

F1.9の大口径レンズを搭載、オプションのワイコンでより広角な撮影が可能

GR DIGITAL III は、新開発の GR LENS 28mm/F1.9を搭載する。前モデルからF値は2.4から明るくなったので、より速いシャッタースピードが使えるうえ、手ぶれしにくいなどのメリットが考えられる。
広角28mmは最近のコンパクトデジタルカメラでは、さほど珍しくなくなってきたが、 GR DIGITAL III にはオプションで、21mm相当のワイドコンバージョンレンズが用意されている。コンバージョンレンズの取付にはフードが付属するアダプター GH-2が別途必要で、フードを外した先端にレンズを取り付ける格好となる。
フード&アダプター GH-2、ワイドコンバージョンレンズ GW-2
フード&アダプター GH-2 装着(左)、ワイドコンバージョンレンズ GW-2 装着(右)
GR DIGITAL III は単焦点レンズを採用するが、約4.0倍のデジタルズーム(拡大処理)と、画像の中央部分を切り抜いてズーム効果が得られる約5.7倍(画像サイズ:640 × 480ピクセル)のオートリサイズズームが利用できる。拡大処理や画像サイズが小さくなるなど、画像に何らかの影響を与えることになるが、いざという時に便利だろう。ただし、RAWモードでのズーム機能は利用することができない。 今回は GR DIGITAL III の28mm、GW-2 利用、リサイズズームによる撮影を比較をしてみた。また、特長でもあるアスペクト比1:1モードも比較のため掲載した。
28mm
28mm
28mm+GW-2
28mm+GW-2
約5.7倍リサイズズーム(640×480)
約5.7倍リサイズズーム(640×480)
28mm、アスペクト比1:1
28mm、アスペクト比1:1

自分好みの撮影設定を6通り残せる、マイセッティングBOX機能

GR DIGITAL III がプロや、ハイアマチュアに好まれる理由の1つに、カスタマイズ性の高さが上げられる。GR DIGITAL III では各種ボタン、キー、レバーに自分好みの機能を割り当てることが可能で、メニュー画面には撮影メニューとは別に、キーカスタム専用メニューがあるほどだ。
キーカスタム設定メニュー
キーカスタム設定メニュー
ダイヤル機能のカスタマイズ
ダイヤル機能のカスタマイズ
特にカスタマイズの肝となるのは前面のダイヤルキーと、背面のADJ.レバー、Fn 1・Fn2キー(左方向キー)だ。それぞれは設定できる内容が異なるが、シャッタースピードや絞りの変更などが、一眼レフのような感覚でダイヤル操作が行える。
また、いま使っている設定をそのままオリジナルの撮影モードとして残せる「マイセッティングモード」があり、3つまで登録することができる。モードダイヤル上で即座に選べるのは3つまでだが、設定そのものはマイセッティングBOXというところに6つまで登録することが可能だ。そして、必要に応じてBOXから呼び出して、マイセッティングモードの1〜3にコピー(割り付け)する仕組みになっている。
GR DIGITAL III にはシチュエーションに合わせたシーンモードも、[文字] [動画] [斜め補正] [ダイナミックレンジダブルショット] だけで、よくある人物や風景などのシーンモードは備えていない。そもそも GR DIGITAL III は、それらお任せモードを求めるユーザーが手にするカメラではないのだが、マイセッティングモードはユーザーがよく撮影する被写体や、状況に合わせて設定することができるオリジナルのシーンモードといえるだろう。
さらにきめ細かいカスタマイズとしてはリコーのカメラサービスセンター(銀座、新横浜、江坂)での持ち込み対応となるが、シャッターボタンを押す際の深さを微調整する「シャッターボタンアジャストサービス」、GR DIGITAL III を2台以上所有する場合に AE/AWB の個体差を近づけるための微調整を行う「AE/AWB アジャストサービス」、レンズ部の「GR LENS f=6.0mm 1:1.9」の表示をブラック仕上げに交換する「レンズネームリング交換サービス」なども用意されている。
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