高感度撮影で手ぶれ・被写体ぶれに強く、生活防水で水にも強い
710万画素コンパクトデジカメ“オリンパス μ710”

オリンパス [ http://www.olympus.co.jp/ ]
μ [ミュー] 710
価格:オープンプライス 最新価格を調べる >>
発売日:2006年2月17日
ブログ用としてデジタルカメラを持ち歩いて、日常のちょっとした出来事や目に付いたものを撮影しているユーザーも多いだろう。外出時にデジタルカメラを常備することも特別なことではなくなったが、時にはいろいろな要因で撮影できないこともある。特に季節の変わり目は、不意に変化してしまう天候には左右されることがあり、わずかな雨や水滴であっても電子機器であるデジタルカメラには気をつかってしまう。
そんな雨などの生活防水にコダワリ続けているのが、オリンパスμシリーズだ。
今回、μシリーズは手ぶれ・被写体ぶれ補正にも対応し、ボディデザインも一新された。ラインナップは800万画素のμ810、710万画素のμ710、710万画素で水中撮影にも対応するμ720 SW の3機種がある。今回はμ710 をお借りすることができたので、レビューしていこう。

「波」をイメージした、スリムで精悍なボディ

まず、外観からチェック。
本体はメタル外装で、前面カバーには特殊加工によってキズが付きにくい処理が施されている。今回お借りしたプラチナシルバーは、プラチナ系コートの3層仕上げによりメタリックな質感も良い。カラーは他に同じプラチナ系のプラチナブラックと、カラフルなツートンカラーのカリビアンブルー、サンシャインオレンジの合計4色がラインナップされている。
μ710 の形状は正面から見ると丸みのある長方形で、オーソドックスに感じる。しかし、角度を変えて見るとかなり個性的な形をしていて、上部から見ると判りやすく本体の左右で厚みがかなり異なっているのだ。

実はこの厚みが重要で、大きく膨らんでいる部分はグリップの役割を果たしている。実際に右手で構えてみると、本体の膨らみと指とが密着する面積が広くて持ちやすい。コンパクトデジタルカメラは薄いタイプが好まれる傾向にあるが、薄すぎると構えづらくなることもある。かといって、グリップ部分を大きくしてしまうとズングリして、スタイリッシュとは言い難いデザインになりがちだ。

それに対し、μ710 では傾斜をつけて厚みを変化させることで本体のホールド感と、見た目のスタイリッシュさをうまく両立している。本体側面も背面に向かって傾斜がかかっているため、全体としてスリムな印象を受ける。ちなみにμ710 の本体デザインは「波」をイメージしているとのこと。

ただ、第一印象ではこの斜めのデザインに抵抗を感じる場合もあるかもしれない。実は私自身が手にした第一印象では傾斜の角度が極端で、奇をてらったデザインだと感じたのだ。
ところが使い続けてみるとホールド感の良さから、この形状にも納得し、精悍なデザインも気に入っている。このことからも、あまり長い時間触ることができない店頭では好みが別れるかもしれず、見た目の第一印象だけで判断されたとしたら残念だ。

レンズは光学3倍ズーム、デジタル5倍ズームレンズ(併用15倍)を搭載し、CCDは1/2.33型が採用されている。
本体重量は約120g(バッテリー、メモリーカード含む)と、手に持った感じでは見た目から受ける印象ほどの重量感は感じられず軽い。μ710は、700万画素クラスのデジタルカメラにおいて世界最小・最軽量を実現している。(2006年1月現在)
また、従来のμシリーズ同様、生活防水に対応している。μ710 での対応は JIS 保護等級4相当とよばれるレベルで、 水しぶきや少しくらいの雨であればほとんど影響はない。ただし海水など塩分を含んだ水分は厳禁で、長時間水に漬かるような水中撮影はできない。
水中撮影を目的にするなら、より防水効果が高く水中3m まで対応するμ720SW を選ぼう。

次に背面を見ていこう。
背面には2.5型の液晶モニターと、モードダイヤル、操作ボタンがある。
液晶モニターの解像度は11.5万画素で、23万画素を採用するデジタルカメラが登場する状況では物足りなく感じるが、明るさは十分で不足を感じることはないだろう。また、薄暗い環境でも被写体を確認できる「ブライトキャプチャー」機能を搭載している。
逆に晴天時の屋外では見づらいこともあったので、ワンボタンで液晶の明るさを変更できる機能が欲しい。

液晶モニターのアクリルは本体に比べて0.5mmほど出ているので、キズには注意が必要だ。背面を下に置いてもモードダイヤルの方が更に出ているので、液晶が直接床に当たることはない。
カタログなどを見る限り強化ガラスなどは使ってないようなので、キズの予防を考えるなら、購入時に保護フィルムを貼っておこう。

ボタン類はズームレバー、モードダイヤル、十字ボタン、[MENU] ボタンなどからなる。
[MENU] ボタン、[OK] ボタンはクリアなアクリルの奥にアイコンが印刷されているため、長く使っても擦れて消えてしまう心配はない。それを思うとモードダイヤルも頻繁に切り替えることが予想されるので、なんらかの対策が欲しかった。
十字ボタンとその他のボタンは、高さに変化があるのと、ある程度の距離が保たれているので、設定時に押し間違えることはほとんどなかった。

上部には電源ボタン、シャッターボタンがあるのみ。これもボタン自体の高さと形状が異なるので、目視しなくても押し間違えることはないだろう。
上部にも傾斜が付いているので、両手で構えたときには左手でもホールドしやすくなっている。

本体の底面には三脚用の穴があり、メモリーカード、バッテリーのセットも底から行う。位置関係から三脚にセットした場合、それらを交換するには本体を三脚から外す必要がある。

この底面のカードカバーは防水用のゴムパッキンが施されているため、開く際のスライド操作は一般的なものよりも少し堅めとなっている。

メモリーカードは xD ピクチャーカードを利用し、容量は最大1GBまで対応。本体にも19MBのメモリーが内蔵されていて、最大サイズの 3072 × 2304 ピクセル(SHQ)で約5枚撮影することができる。16MB程度のメモリーカードがオマケで付属するよりは内蔵メモリーの方が、いざというときに使う機会はあるだろう。

少し気になったのが、メモリーカード、バッテリーを挿入する方向を示す表示だ。上の写真にあるようにバッテリーの挿入方向を示すシールが、挿入口のかなり奥に貼られているので気がつきにくく見づらい。
また、メモリーカードの挿入方向を示すシールも小さくて判りづらい。間違った方向では挿入できないのだが、方向が一致する部分に同じ色のシールを貼るなど判りやすい工夫が欲しい。

「こう撮りたい」から最適な設定ができる「ガイド機能」

上部の電源ボタンを長押しすると、約1秒で撮影可能な状態となる。
撮影・再生モードの切り替えはモードダイヤルを回転して行う。撮影モードで特徴的なところは、μ710 をはじめて触るユーザーに対してフォローしてくれるモードが充実しているところだ。
まず、撮影モードのひとつに、従来のμシリーズから定評がある「ガイド機能」がある。

「ガイド機能」は、撮りたい写真に当てはまるガイドメニューに従うだけで最適な撮影設定ができる機能だ。
[GUIDE] モードに設定すると、「どう撮りたいのか」の項目がメニュー表示される。ガイドの項目は全部で13種類あり「逆光で撮影したい」「夜景をバックに人物を撮影したい」など、身近に出くわしそうな状況が用意されている。

例えば、「逆光で撮影したい」を選ぶと、「露出補正設定で値を大きくする」「フラッシュを強制発光にする」というように対応する項目が続いて表示され、いずれかを選ぶとフラッシュが強制発光モードになったり、露出が「+1.0」補正され逆光撮影に最適な設定がされる。この場合、特に何かの数値を変える必要もないので、撮影に慣れないユーザーも判りやすく便利だ。メニュー表示も2.5型液晶モニターのおかげで文字も読みやすい。

設定後に再設定したい場合は、[MENU] ボタンを押すとメニュー画面が呼び出される。
このように [GUIDE] モードは、目的から最適な撮影設定ができるので、μ710 をはじめて触るユーザーも戸惑うことなく最適な設定で撮影することができる。

μ710 で設定できる画像サイズと画質はまとめて扱われ、サイズでいうと8種類。最大サイズである 3072 × 2304 ピクセルは圧縮率が異なる、SHQ、HQ の2種類用意されているので画質で言うと9種類となる。

ただし、普通に設定画面で表示される画像サイズは [SHQ] [HQ] [SQ1] [SQ2] の4種類のみで、その間の小刻みなサイズはさらに操作しなければ表示されない。つまり、[SQ1] [SQ2] に関しては詳細メニューで設定しているサイズによって違ってくるのだ。

設定できる9種類全て表示して混乱させるよりは、よく使う4種類から選ぶ方が判りやすく、逆にコダワリ派のために細かいサイズ違いも選ぶことができるようになっているのも有り難い。

最適な画像サイズの選択は悩むところだが、画質設定メニュー上で [?] ボタンを押すと、画像サイズの違いによる用途の違いを参照できる。
これは画像サイズに限らず、他のメニュー画面でも利用可能で、ホワイトバランス、露出補正などデジタルカメラを扱う上で必要な用語を参照できるので心強い。

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