CCDシフト方式による手ぶれ補正と、高画質な撮影が可能な有効1000万画素CCDを搭載する“ペンタックス Optio A30”

ペンタックス [ http://www.pentax.co.jp/ ]
Optio A30
価格:オープンプライス 最新価格を調べる >>
発売日:2007年3月15日
ペンタックスのコンパクトデジカメラインナップは、タッチパネル採用で大型液晶の Optio T30、水中撮影も可能な Optio W30、薄くスリムな Optio M30 というように、モデルごとに個性がハッキリしている。そのラインナップ中、一番の売れ筋であり、有効1000万画素を持つ Optio シリーズ最上位モデルとなるのが今回紹介する Optio A30 だ。Optio A シリーズは過去を通じて人気が高く、フラッグシップモデルがどのようにパワーアップしたのか、実力を見ていきたい。

ハイエンドモデルらしい落ち着いた雰囲気が漂うボディデザイン

まず、外観からチェックしよう。
Optio A シリーズの本体デザインは、A10、A20、そして A30 と少しずつ変化してきている。レンズやストロボ、シャッターボタンなどの基本的なレイアウトはほとんど変化していないが、本体の金属処理に手が加えられているのだ。
Optio A30 のカラーナインナップはシルバーのみで、従来は明るめのホワイトシルバーであったが、少しアンダーなグレーよりのシルバーとなった。前面はメーカーロゴや機能を示す文字も控えめで、手ぶれ補正機能である「SR(シェイクリダクション)」の赤いアイコンがアクセントとなっている。見た目にはシンプルで、有効1000万画素を有するハイエンドモデルらしい落ち着いた雰囲気が漂っている。
表面は擦り加工が施され、指紋の跡も残らない。右手で構えたときにグリップとなるべき膨らみなどは無く、背面の親指が当たる部分にデコボコの滑り止めがある。特に持ちにくさなどはないが、金属の表面が手触りが良くスルスルしているので、腕に巻くことができるストラップを付けて落下に備えた方がよいだろう。
上部はシャッターボタン、電源スイッチ、手ぶれ補正プレビュースイッチが並ぶ。シャッターボタンは大きく、押しやすく、電源スイッチとは形状も異なるので押し間違えることはないだろう。電源オンから撮影可能になるまでは、約1秒程度でストレスはない。

Optio A30 は、1/1.8型CCDを搭載、有効1000万画素で最大10M(3648×2736ピクセル)での撮影が可能だ。

レンズ部は収納する際に、構成されているレンズの一部をずらして収納するスライディングレンズシステムを搭載することで、本体の奥行きを23.5mmに抑えている。前モデル Optio A20 よりも0.5mmアップしているが、ほとんど問題にならない。
スライディングレンズシステムは、過去の Optio シリーズでも採用されており、特にレンズ収納に時間がかかるようなことはない。レンズは光学で3倍、デジタルとの併用で最大16.3倍までズームが可能だ。光学ズームと同等の高画質で、さらにズームが可能なインテリジェントズームも搭載している。 これは画像の中心部分を切り抜くことで、ズーム倍率と同じ範囲を記録可能で、そのため倍率が高くなるほど記録画像サイズは小さくなる。
インテリジェントズームで最大約16.3倍での撮影は、画像サイズが640×480ピクセルになってしまうが、ブログに掲載するなら充分利用できるし、L判プリント用途でも約6.7倍ズーム程度まで充分利用可能だ。
インテリジェントズームは、動画モードや [Digital SR(デジタルシェイクリダクション)] モードでは利用できない。
次に背面を見ていこう。
背面には、2.5型液晶モニターと、操作キーが並ぶ。液晶モニターの解像度は23.2万画素。視野角(綺麗に見える角度)は確保されており、日常利用する上下左右方向からでも視認性はほとんど落ちない。晴天下など状況によって見づらくなる状況があれば、一時的に液晶モニターの輝度をアップさせる LCD ブースターを利用すればよいだろう。LCD ブースターはディスプレイモードの切り替えを兼ねた [OK] キーを長押しすることで利用可能だ。
ただ、それは説明書を見るまで判らなかったので、使い慣れていない段階でも、咄嗟に使えるようディスプレイモード専用のキーか、アイコン表示があっても良いと思う。

Optio A30 のキーで特徴的なのは、ある特定の機能を任意に割り当てることができるファンクションキーのような役割のグリーンボタンだ。通常、Optio A30 では、[手ぶれ補正] [画像サイズ] などの設定をしたい時は、メニュー画面を開いて数ステップの操作が必要だ。それをグリーンボタンを押した時だけ、上下左右キーに任意で機能を割り振れるというものだ。割り振りできるのは、初期設定の [手ぶれ補正] [画像サイズ] [露出補正] のほか、ホワイトバランス、シャープネス、ISO感度、AFエリアなどとなる。

操作キーのレイアウトや操作性などは過去の Optio A シリーズとほぼ変わっていない。後ろ姿だけ見ていると過去のモデルと区別が付きにくいほどだ。それは必ずしも悪いことではなく、使い慣れた過去の Optio シリーズからの買い換えでも、すんなり操作できる安心感がある。
その反面、新鮮さに欠けるのも事実で、他社ではモードダイヤルやスクロールホイールなど新しい試みも行われており、Optio A30 も Optio シリーズの最上位モデルとして何らかの試みが欲しい気がする。Optio T シリーズでは液晶のタッチパネルが採用されているので、そちらで培われたノウハウが、他のモデルに波及するような進化があっても良いのではないか。
バッテリーとSDメモリーカードは本体の底面から挿入する。ちょうどバッテリーカバーのヒンジ部分に三脚用の穴があるので、三脚に固定したままでのメモリーカード、バッテリーの交換はできない。
また、SDHCメモリーカードにも対応しており、手元にあった4GBのSDHCメモリーカード(クラス6)を挿入すると、問題なく利用できた。
Optio A30 の本体には約22MBのメモリーを内蔵しており、最大記録サイズの10M(3648×2736ピクセル)で5枚しか撮れない。オマケのようなものだが、L判プリントにも利用できる 2M(1600×1200ピクセル)で、画質を★★(ファイン)にすれば、約41枚の撮影が可能となる。メモリーカードが満杯になったり、携帯し忘れた時に応急処置として利用することもできるだろう。

ぶれ軽減と画質を両立できる、範囲指定ができるISO感度自動調整はユニーク

Optio A30 には豊富な撮影モードが用意されており、[オートピクチャー] [プログラム] [夜景] [動画] [ボイスレコーディング] [風景] [花] [ポートレート/キッズ] [Digital SR] [スポーツ] [サーフ&スノー] [料理] [ペット] [テキスト] [フレーム合成] の15種類が利用可能だ。モードの呼び出しは、下方向キーの [MODE] を押すと撮影モードのアイコンが一覧できるモードパレットが表示され、各モードの特長説明するテキストも参照できる。
また、このクラスのコンパクトデジカメでは珍しく、[プログラム] モードでは、さらに [シャッター優先] [マニュアル] モードでの撮影も可能だ。シャッタースピードは、1/2000秒〜4秒まで設定できるので、設定を変えながらマニュアル操作によるカメラの基本を勉強するのも良いだろう。
絞りは、F2.8、F8.0 のみ適用されるので、絞り優先モードはない。
各モードのISO感度は、ISO64〜1600までを任意で固定できるほか、自動調整として ISO64〜100、ISO64〜200、ISO64〜400、ISO64〜800、ISO64〜1600 というように最高感度の上限を決めて、その範囲内で自動設定させることもできる。上限設定がないと範囲が広すぎ、意図せぬ高感度撮影によって予想以上のノイズの発生を招いてしまうこともあり得る。上限を自分で決めてノイズの発生を極力抑えることができるのは、言ってみれば「ISO感度優先」「画質優先」といったところだろうか。
最適な上限を設定するには、どのISO感度でぶれに対応できるのか、どの程度のノイズが発生するのかを、あらかじめ理解しておかなければならず、最適な設定ができるようになるには試行錯誤も必要だろう。
最高感度 ISO3200 が設定できるのは、次に説明する [Digital SR] モードの時のみに限られる。
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