コンパクトボディと手ぶれ補正で、万人にオススメできる人気シリーズ“パナソニック LUMIX DMC-FX9”

パナソニック [ http://panasonic.jp/ ]
LUMIX DMC-FX9
価格:オープンプライス 最新価格を調べる >>
発売日:2005年8月26日
「LUMIX(ルミックス)」は、シリーズを通じたコンパクトなボディと豊富なカラー展開、さらには浜崎あゆみによるCM効果と相まって高い人気を誇っている。LUMIXにはマニュアル撮影が可能な「LX」や、高倍率ズームを持つ「FZ」シリーズなども存在するが、LUMIX と聞けばここで紹介する「FX」シリーズを思い浮かべることが多いだろう。すでに「LUMIX」は立派なデジカメブランドとして定着し、その代表選手でもあるのが「FX」シリーズだ。
今回取りあげる DMC-FX9 は8月発売だが、そのわずか2ヶ月前には下位モデルとなる500万画素の DMC-FX8 が発売されている。双方の大きな違いは600万への画素数と液晶モニターの解像度アップだが、基本機能も含め DMC-FX9 を紹介していこう。

カジュアルな中にも高級感のある質感

まずは外観からチェック。
見た目には下位モデルの DMC-FX8 から目立ったデザインの変更はない。よくよく見てみるとボタンの形状やラインナップされるカラーバリエーションが若干異なる程度で、デザイン面で大きな変更がないのは人気が高いシリーズの自信の表れともいえる。

本体サイズは奥行きが24.2mmと、近頃のデジカメでは20mmを切るスリムタイプが登場するなかでは薄いとはいえないものの、横長なボディと角に丸みを持たせることでコンパクトにまとめられ、優しい印象を受ける。DMC-FX9 は手ぶれ補正をレンズ駆動部分で行っているので、ある程度の厚みが必要なのだろうが、24.2mmの数値から受ける印象ほどの厚みは感じられない。

今回はシルバーをお借りしたが、DMC-FX9 は他にコンフォードレッド、エクストラブラック、モーブグレーが展開されており、それらも店頭で確認したがシットリとして塗装の質感もよい。本体はアルミの外装を採用していてカジュアルな印象のなかにも高級感が感じられる。手に持った印象は特に重く感じることもなく、サイズと共に女性にも持ちやすいボディバランスを保っている。

DMC-FX9 は、ライカカメラ社が認定した測定機器と品質保証システムによって生産された、LEICA DC VARIO-ELMARIT(ライカ DC バリオ・エルマリート)レンズを搭載することによって歪みの少ない撮影を実現している。ズームは光学3倍と、CCDの使用領域を狭くして最大4倍までズームできる「EX光学ズーム」(後述)、さらにEX光学ズームと併用して16.4倍までのデジタルズームを搭載している。
次に背面を見ていこう。
背面には2.5型液晶を搭載している。現在のデジカメ市場では2.5型が主流となりつつあるなかで、下位モデルである DMC-FX8 も2.5型を搭載しているが、 DMC-FX8 が液晶画素数11.4万画素であるのに対し、DMC-FX9 は20.7万画素と解像度がアップしている。
液晶モニターは小さな点の集合で構成されているが、同じ液晶サイズに、2.5型に11.4万個並べるのと20.7万個並べるのとでは、後者の方が点ひとつ当たりのサイズは小さくなり、結果としてきめ細かい表示が可能となり、微妙な色の違いも表示することができることになる。近頃では液晶モニターのサイズと共に解像度も重要なポイントとなっており、上位モデルならではの差別化のポイントだ。
背面のボタン類は、ボディのスペース節約のため各機能のアイコンをボタン自体に施しているのでスッキリとした印象を受ける。これらはレリーフ処理されているので、使うにつれ指で擦れて印刷が薄くなってしまう心配もない。また、日差しが強い屋外では液晶モニターが暗くなり見づらくなるが、背面下部のボタン長押しで液晶モニターの明るさが2倍になる [PWR LCD(パワー LCD)] を搭載している。
本体上部には、撮影モード切替のモードダイヤル、手ぶれ補正ボタン、シャッターボタン、ズームレバー、スライド式の電源スイッチ、動画撮影用のマイクが配置されている。地味だが実はこのスライド式の電源スイッチは重要で、初心者や年配者にはボタンの長押しに馴染めない場合もあるので、確実にオン・オフできるスライド式は操作しやすい。 また、スライドの位置によってオン・オフを指先で確認できるのも便利だ
バッテリーとSDメモリーカードは本体の底面から挿入する。バッテリーは厚めの高容量タイプで約270枚(CIPA準拠※)の撮影が可能だ。下位モデルである DMC-FX8 の約300枚よりも1割程度撮影枚数が減っているが、これは画素数アップによる記録時の電力増加によるものと思われる。カメラ本体の内部構造が違うので単純な比較はできないが、他社ではほぼ同サイズのバッテリーで約500枚撮影可能な機種もあるので、もうちょっとがんばって欲しいところだ。それでも日常的な利用なら、バッテリー寿命で不満が出ることはないだろう。
※CIPA規格:カメラ映像機器工業会(Camera & Imaging Products Association)が定める電池寿命測定方法についての統一規格。

画像劣化のないズームが可能な「EX光学ズーム」機能

次に撮影モードや設定を含めた操作性を見ていこう。
起動は上部のスライドスイッチをオンにすると、約2秒足らずで撮影可能となる。近頃では1秒程度で起動する機種もあるが、この1秒の差であれば特に遅いと感じることはないだろう。

撮影モードは上部のモード切替ダイアルで行うが、画像サイズや画質など撮影に必要な基本設定は背面の [MENU] ボタンを押して、液晶モニターに呼び出して行う。メニュー表示はモードダイヤルで選択しているモードによって、表示されるメニュー項目が異なる。
DMC-FX9 の画質設定( [クオリティ] )は2種類のみ。メニュー上で画質を表す名称は表示されないが、ファイン、ノーマル、ベーシックの3段階あるとすれば、DMC-FX9 で設定できるのはファイン、ノーマルだけとなる。他のデジタルカメラでもおそらくベーシックはあっても利用することは少ないと思うので、無くても特に支障はないだろう。

次に画像サイズ( [記録画素数] )の設定だが、ここでは600万画素、300万画素での撮影を [6M]、[3M] と表示される。撮影モードの「かんたんモード」ではプリントサイズでの表示がされるが、画素数、ピクセル数、最終のプリントサイズの関係を理解していないと正直ピンと来ないだろう。
特に DMC-FX9 では次に説明する「EX光学ズーム」と「アスペクト設定」により選択できる画素数に制限があるのでややこしい。ヘルプを呼び出して最適なサイズ選択ができるなど、それらの関係をもう少し判りやすく選択できるようにして欲しい。

さて、その「EX光学ズーム」だが、DMC-FX9 では画素数を下げることによってズーム倍率がアップする機能があり、それを「EX光学ズーム」という。
一般的なデジタルズームは画像の中央部分を設定した画素数(画像サイズ)を満たすようにカメラの内部処理で画像を拡大している。これは画像編集ソフトを使って拡大するのと同じことで、画像がボケるなど劣化が発生する。EX光学ズームは画像を画素数に合わせて拡大するのではなく、ズーム部分だけをトリミングする(切り抜く)だけなので画像は劣化しないが、その代わり画像サイズは小さくなる(選べる画素数が制限される)。

メニューの [記録画素数] 項目で、[3M EZ]、[2M EZ] とあるが、画素数を下げることで画像のピクセル数は少なくなるが、拡大処理をしないので劣化のない4.1倍までのズームが可能となる。
これは大きな画素数で撮影してパソコンの画像編集ソフト上で必要な部分のみをトリミングすることと結果的には同じことだが、画像編集ソフトでのトリミングもままならないデジカメユーザーも多いし、画像のトリミングというよりは撮影時に「よりズームアップできる」という方が伝わりやすいだろう。

さらにデジタルズームでは最大で4倍までのズームが可能で、EX光学ズームと併用することで最大16.4倍のズームが可能となる。ただし、この場合はデジタルズーム(拡大処理)の影響も受けるので画像の劣化を伴う。

ハイビジョンテレビでの表示に最適な、16:9 画面撮影

DMC-FX9 では画像の縦横の比率であるアスペクト比をかえることができる。
[4:3] は一般的なデジカメ画像サイズで、[3:2] は35mmフィルムと同じ縦横比、[16:9] はハイビジョンテレビなどのワイド画面の比率と同じとなる。
アスペクト設定で [3:2] 、[16:9] を選択すると、液晶モニター上では画面の上下に黒帯が表示され、撮影後のファイルは画像の幅はそのままで、上下がカットされた横長の状態になる。
同社製のプラズマテレビや液晶テレビの「ビエラ」シリーズは、SDカードスロットを搭載しているのでメモリカードから直接ワイド画面いっぱいにデジカメ画像を楽しむことが可能だ。このあたりは、テレビとデジカメの両方を手がける総合家電メーカーならではのユニークな撮影モードといえる。LUMIXシリーズに合わせて最近では 16:9 に対応するプリント用紙も登場している。
[4:3] の液晶モニター表示 [3:2] の液晶モニター表示 [16:9] の液晶モニター表示
▼撮影結果 ▼撮影結果 ▼撮影結果
アスペクト設定で [3:2] 、[16:9] を選択している場合、画素数の高さがカットされるため、選択できる画素数には制限がある。
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