「LUMIX(ルミックス)」は、シリーズを通じたコンパクトなボディと豊富なカラー展開、さらには浜崎あゆみによるCM効果と相まって高い人気を誇っている。LUMIXにはマニュアル撮影が可能な「LX」や、高倍率ズームを持つ「FZ」シリーズなども存在するが、LUMIX
と聞けばここで紹介する「FX」シリーズを思い浮かべることが多いだろう。すでに「LUMIX」は立派なデジカメブランドとして定着し、その代表選手でもあるのが「FX」シリーズだ。
今回取りあげる DMC-FX9 は8月発売だが、そのわずか2ヶ月前には下位モデルとなる500万画素の
DMC-FX8 が発売されている。双方の大きな違いは600万への画素数と液晶モニターの解像度アップだが、基本機能も含め
DMC-FX9 を紹介していこう。
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今回はシルバーをお借りしたが、DMC-FX9
は他にコンフォードレッド、エクストラブラック、モーブグレーが展開されており、それらも店頭で確認したがシットリとして塗装の質感もよい。本体はアルミの外装を採用していてカジュアルな印象のなかにも高級感が感じられる。手に持った印象は特に重く感じることもなく、サイズと共に女性にも持ちやすいボディバランスを保っている。 |
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DMC-FX9 は、ライカカメラ社が認定した測定機器と品質保証システムによって生産された、LEICA
DC VARIO-ELMARIT(ライカ DC バリオ・エルマリート)レンズを搭載することによって歪みの少ない撮影を実現している。ズームは光学3倍と、CCDの使用領域を狭くして最大4倍までズームできる「EX光学ズーム」(後述)、さらにEX光学ズームと併用して16.4倍までのデジタルズームを搭載している。 |
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液晶モニターは小さな点の集合で構成されているが、同じ液晶サイズに、2.5型に11.4万個並べるのと20.7万個並べるのとでは、後者の方が点ひとつ当たりのサイズは小さくなり、結果としてきめ細かい表示が可能となり、微妙な色の違いも表示することができることになる。近頃では液晶モニターのサイズと共に解像度も重要なポイントとなっており、上位モデルならではの差別化のポイントだ。 |
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背面のボタン類は、ボディのスペース節約のため各機能のアイコンをボタン自体に施しているのでスッキリとした印象を受ける。これらはレリーフ処理されているので、使うにつれ指で擦れて印刷が薄くなってしまう心配もない。また、日差しが強い屋外では液晶モニターが暗くなり見づらくなるが、背面下部のボタン長押しで液晶モニターの明るさが2倍になる
[PWR LCD(パワー LCD)] を搭載している。 |
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本体上部には、撮影モード切替のモードダイヤル、手ぶれ補正ボタン、シャッターボタン、ズームレバー、スライド式の電源スイッチ、動画撮影用のマイクが配置されている。地味だが実はこのスライド式の電源スイッチは重要で、初心者や年配者にはボタンの長押しに馴染めない場合もあるので、確実にオン・オフできるスライド式は操作しやすい。
また、スライドの位置によってオン・オフを指先で確認できるのも便利だ |
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バッテリーとSDメモリーカードは本体の底面から挿入する。バッテリーは厚めの高容量タイプで約270枚(CIPA準拠※)の撮影が可能だ。下位モデルである
DMC-FX8 の約300枚よりも1割程度撮影枚数が減っているが、これは画素数アップによる記録時の電力増加によるものと思われる。カメラ本体の内部構造が違うので単純な比較はできないが、他社ではほぼ同サイズのバッテリーで約500枚撮影可能な機種もあるので、もうちょっとがんばって欲しいところだ。それでも日常的な利用なら、バッテリー寿命で不満が出ることはないだろう。 |
※CIPA規格:カメラ映像機器工業会(Camera & Imaging
Products Association)が定める電池寿命測定方法についての統一規格。
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DMC-FX9 の画質設定( [クオリティ]
)は2種類のみ。メニュー上で画質を表す名称は表示されないが、ファイン、ノーマル、ベーシックの3段階あるとすれば、DMC-FX9
で設定できるのはファイン、ノーマルだけとなる。他のデジタルカメラでもおそらくベーシックはあっても利用することは少ないと思うので、無くても特に支障はないだろう。 |
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次に画像サイズ( [記録画素数] )の設定だが、ここでは600万画素、300万画素での撮影を
[6M]、[3M] と表示される。撮影モードの「かんたんモード」ではプリントサイズでの表示がされるが、画素数、ピクセル数、最終のプリントサイズの関係を理解していないと正直ピンと来ないだろう。 |
特に DMC-FX9
では次に説明する「EX光学ズーム」と「アスペクト設定」により選択できる画素数に制限があるのでややこしい。ヘルプを呼び出して最適なサイズ選択ができるなど、それらの関係をもう少し判りやすく選択できるようにして欲しい。
さて、その「EX光学ズーム」だが、DMC-FX9 では画素数を下げることによってズーム倍率がアップする機能があり、それを「EX光学ズーム」という。
一般的なデジタルズームは画像の中央部分を設定した画素数(画像サイズ)を満たすようにカメラの内部処理で画像を拡大している。これは画像編集ソフトを使って拡大するのと同じことで、画像がボケるなど劣化が発生する。EX光学ズームは画像を画素数に合わせて拡大するのではなく、ズーム部分だけをトリミングする(切り抜く)だけなので画像は劣化しないが、その代わり画像サイズは小さくなる(選べる画素数が制限される)。
メニューの
[記録画素数] 項目で、[3M EZ]、[2M EZ] とあるが、画素数を下げることで画像のピクセル数は少なくなるが、拡大処理をしないので劣化のない4.1倍までのズームが可能となる。
これは大きな画素数で撮影してパソコンの画像編集ソフト上で必要な部分のみをトリミングすることと結果的には同じことだが、画像編集ソフトでのトリミングもままならないデジカメユーザーも多いし、画像のトリミングというよりは撮影時に「よりズームアップできる」という方が伝わりやすいだろう。
さらにデジタルズームでは最大で4倍までのズームが可能で、EX光学ズームと併用することで最大16.4倍のズームが可能となる。ただし、この場合はデジタルズーム(拡大処理)の影響も受けるので画像の劣化を伴う。
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DMC-FX9 では画像の縦横の比率であるアスペクト比をかえることができる。
[4:3]
は一般的なデジカメ画像サイズで、[3:2] は35mmフィルムと同じ縦横比、[16:9] はハイビジョンテレビなどのワイド画面の比率と同じとなる。 |
アスペクト設定で [3:2] 、[16:9]
を選択すると、液晶モニター上では画面の上下に黒帯が表示され、撮影後のファイルは画像の幅はそのままで、上下がカットされた横長の状態になる。
同社製のプラズマテレビや液晶テレビの「ビエラ」シリーズは、SDカードスロットを搭載しているのでメモリカードから直接ワイド画面いっぱいにデジカメ画像を楽しむことが可能だ。このあたりは、テレビとデジカメの両方を手がける総合家電メーカーならではのユニークな撮影モードといえる。LUMIXシリーズに合わせて最近では
16:9 に対応するプリント用紙も登場している。