ニコンのコンパクトデジタルカメラのラインアップは、高感度&高倍率ズームを搭載するCOOLPIX Pシリーズ、手軽で使いやすいCOOLPIX Lシリーズ、そして機能とスタイルにこだわりメインストリームでもあるCOOLPIX Sシリーズがある。今回取り上げるS8000はCOOLPIX Sシリーズの最上位モデルということもあり、最も注目度が高いといっても良いだろう。ここではその注目すべきポイントを中心にレビューしていこう。
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エッジは直線的でシャープな印象だが、ボディ前面はレンズ鏡筒部分に向かって緩やかに隆起し、直線と曲線が同居する印象的なデザインだ。カバー表面は艶消しで指紋が付きにくく、上位モデルらしい高級感がある。手に持つとシッカリとした重量感があるが、光学10倍ズームを搭載していることを考えると、とてもスリムなボディに収まっている。「Nikon」ロゴのあるボディ左エリアはボディカラーの赤が少し異なって見えるが、ここは表面に薄いラバーが貼り付けられ、滑り止め効果が図られている。グリップになる凹凸はないものの、構えたときのホールド感は良好だ。 |
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上部には電源ボタン、シャッターボタン、ズームレバーがある。電源ボタンは小さくボディと水平か少し低いくらいで、電源投入時はやや押しづらい。その隣にある丸い小さな穴はステレオマイクで、動画撮影時にはステレオ音声の記録が可能なほか、撮影済みの画像に約20秒までの音声メモを録音することもできる。 |
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正面向かって右肩には、ポップアップ式のストロボを内蔵する。ストロボは自動発光、強制発光時にシャッターボタンを半押しするとポップアップする。ポップアップはモーター駆動ではないので、収納する時は手動で押さえる。 |
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次に背面を見ていこう。背面には3.0型液晶モニターと、各種操作キーがレイアウトされている。クリアカラーパネルを採用する液晶モニターの解像度は、約92万画素で非常に高精細だ。このクラスのコンパクトデジタルカメラで、ここまでの高解像度液晶モニターの搭載は珍しい。視野角も広く、ほぼどの方向からでも表示内容を確認することが可能で、液晶モニターは高い満足度が得られる要因の1つだ。 |
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S8000は14.2万画素の1/2.3型原色CCDセンサーを採用し、最大画像サイズ4320×3240ピクセルの撮影が可能だ。また、手ぶれの際にぶれ幅をCCDセンサーのシフト駆動で相殺する「レンズシフト方式手ぶれ補正」を内蔵する。レンズは光学10倍ズーム、NIKKORレンズを採用する。 |
S8000の特長のひとつはスリムなボディにも関わらず、35mm換算で300mm相当となる光学10倍ズームを搭載している点だ。数年前までコンパクトデジタルカメラの光学ズームといえば3〜4倍ズームが当たり前だったが、ここ1年くらいでさらに高倍率なズームを搭載するモデルが増えてきた。S8000は光学10倍ズームを搭載するコンパクトデジタルカメラとしては世界最薄となる。(2010年2月3日現在)
ズーム操作は軽快で最大ズーム時にはレンズがかなり全面にせり出した状態になるが、ホールドバランスが崩れることもない。ただし、望遠端となる10倍ズーム時は手持ちの場合かなりシッカリと構えないと、僅かな動きが手ぶれを招きやすい。できれば手すりなど安定したところへ置いたり、速いシャッタースピードを稼ぐためISO感度を上げるなど工夫が必要だ。
[光学1倍:広角30mm(35mmカメラ換算)] |
[光学10倍:望遠300mm] |
[電子ズーム2倍(最大約600mm相当)] |
画像の拡大処理となる電子ズーム(デジタルズーム)は、最大2倍まで。光学で10倍まで対応するので、合わせて600mm相当まで対応できることになる。電子ズームではエッジがぼやけて画質が劣化するが、パソコン上でシャープネスをかけたり、ブログ用に縮小して利用するならさほど気にならず利用できる。
他社のデジタルカメラにある、画像の中心部分を切り抜いてズーム効果が得られる疑似ズーム機能は搭載しない。 |
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S8000の大きな特長の一つにレスポンスの速さがある。電源投入から撮影可能までの起動時間は約0.75秒、AFの合焦タイムは約0.23秒の、シャッターボタンを押してから実際に撮影されるまでのタイムラグは約0.3秒と、過去のSシリーズでは数値的により高速なモデルもあったが、体感的な違いはほとんどなく、S8000の反応の良さは使ってみてすぐに感じられる。
これら高速な部分がある反面、メニュー画面での表示切り替えなでは少し待たされる印象だ。実際には大した時間ではないのだろうが、先のレスポンスが高速であるので気になってしまった。全体の挙動バランスからすれば、メニュー操作でもう少しキビキビした動きが欲しい。