ニコン COOLPIX S8000 レビュー


光学10倍ズーム搭載、夜景に強いスリムでコンパクトな
デジタルカメラ“ニコン COOLPIX S8000”

 ニコン [ http://www.nikon.co.jp/ ]
 COOLPIX S8000
 価格:オープンプライス 最新価格を調べる >>
 発売日:2010年2月19日
ニコンのコンパクトデジタルカメラのラインアップは、高感度&高倍率ズームを搭載するCOOLPIX Pシリーズ、手軽で使いやすいCOOLPIX Lシリーズ、そして機能とスタイルにこだわりメインストリームでもあるCOOLPIX Sシリーズがある。今回取り上げるS8000はCOOLPIX Sシリーズの最上位モデルということもあり、最も注目度が高いといっても良いだろう。ここではその注目すべきポイントを中心にレビューしていこう。

直線と曲線が同居、落ち着いた雰囲気のスリムボディデザイン

まず、外観からチェック。
これまでCOOLPIXのSシリーズは、型番が1ケタから3ケタに推移しながら進化を続けてきた。S8000の4ケタ台は従来のラインアップに新しく加わった上位モデルのラインで、ボディデザインもこれまでにない新しいものになっている。
エッジは直線的でシャープな印象だが、ボディ前面はレンズ鏡筒部分に向かって緩やかに隆起し、直線と曲線が同居する印象的なデザインだ。カバー表面は艶消しで指紋が付きにくく、上位モデルらしい高級感がある。手に持つとシッカリとした重量感があるが、光学10倍ズームを搭載していることを考えると、とてもスリムなボディに収まっている。「Nikon」ロゴのあるボディ左エリアはボディカラーの赤が少し異なって見えるが、ここは表面に薄いラバーが貼り付けられ、滑り止め効果が図られている。グリップになる凹凸はないものの、構えたときのホールド感は良好だ。
ボディカラーは今回お借りできたフラッシュレッドのほか、ノーブルブラック、シャンパンシルバーがラインアップされている。
左からノーブルブラック、シャンパンシルバー、フラッシュレッド
上部には電源ボタン、シャッターボタン、ズームレバーがある。電源ボタンは小さくボディと水平か少し低いくらいで、電源投入時はやや押しづらい。その隣にある丸い小さな穴はステレオマイクで、動画撮影時にはステレオ音声の記録が可能なほか、撮影済みの画像に約20秒までの音声メモを録音することもできる。
正面向かって右肩には、ポップアップ式のストロボを内蔵する。ストロボは自動発光、強制発光時にシャッターボタンを半押しするとポップアップする。ポップアップはモーター駆動ではないので、収納する時は手動で押さえる。
次に背面を見ていこう。背面には3.0型液晶モニターと、各種操作キーがレイアウトされている。クリアカラーパネルを採用する液晶モニターの解像度は、約92万画素で非常に高精細だ。このクラスのコンパクトデジタルカメラで、ここまでの高解像度液晶モニターの搭載は珍しい。視野角も広く、ほぼどの方向からでも表示内容を確認することが可能で、液晶モニターは高い満足度が得られる要因の1つだ。
操作キーでは、過去のモデルでも採用されていた丸いロータリーマルチセレクターが特長だ。上下左右キーと兼ねられたロータリーマルチセレクターは回転操作が可能で、メニュー画面で項目を移動するときにも快適に操作できる。また、思いついたとき即座に動画撮影をスタートできる、動画撮影ボタンも用意されている。
本体側面にはハイビジョン出力が可能なminiHDMI端子が搭載されている。S8000は720p(1280×720)によるハイビジョンムービーの撮影が可能で、HDMI端子を搭載する薄型テレビと接続して、ハイビジョン画質のまま映し出すことができる。HDMI端子の利用には、別売りのHDMIミニケーブルが必要だ。
バッテリーとSDメモリーカードは本体底面から挿入する。容量2GBまでのSDメモリーカード、4〜32GBのSDHCメモリーカードに対応する。約32MBの内蔵メモリーを搭載する。またバッテリーカバーのすぐ横にはUSB/AV出力端子がある。

S8000は14.2万画素の1/2.3型原色CCDセンサーを採用し、最大画像サイズ4320×3240ピクセルの撮影が可能だ。また、手ぶれの際にぶれ幅をCCDセンサーのシフト駆動で相殺する「レンズシフト方式手ぶれ補正」を内蔵する。レンズは光学10倍ズーム、NIKKORレンズを採用する。

35mm換算で超望遠300mmを実現する、光学10倍ズーム

S8000の特長のひとつはスリムなボディにも関わらず、35mm換算で300mm相当となる光学10倍ズームを搭載している点だ。数年前までコンパクトデジタルカメラの光学ズームといえば3〜4倍ズームが当たり前だったが、ここ1年くらいでさらに高倍率なズームを搭載するモデルが増えてきた。S8000は光学10倍ズームを搭載するコンパクトデジタルカメラとしては世界最薄となる。(2010年2月3日現在)
ズーム操作は軽快で最大ズーム時にはレンズがかなり全面にせり出した状態になるが、ホールドバランスが崩れることもない。ただし、望遠端となる10倍ズーム時は手持ちの場合かなりシッカリと構えないと、僅かな動きが手ぶれを招きやすい。できれば手すりなど安定したところへ置いたり、速いシャッタースピードを稼ぐためISO感度を上げるなど工夫が必要だ。

[光学1倍:広角30mm(35mmカメラ換算)]

[光学10倍:望遠300mm]

[電子ズーム2倍(最大約600mm相当)]
画像の拡大処理となる電子ズーム(デジタルズーム)は、最大2倍まで。光学で10倍まで対応するので、合わせて600mm相当まで対応できることになる。電子ズームではエッジがぼやけて画質が劣化するが、パソコン上でシャープネスをかけたり、ブログ用に縮小して利用するならさほど気にならず利用できる。
他社のデジタルカメラにある、画像の中心部分を切り抜いてズーム効果が得られる疑似ズーム機能は搭載しない。

起動時間約0.75秒、合焦タイム約0.23秒、撮影タイムラグ約0.3秒の高速レスポンス

S8000の大きな特長の一つにレスポンスの速さがある。電源投入から撮影可能までの起動時間は約0.75秒、AFの合焦タイムは約0.23秒の、シャッターボタンを押してから実際に撮影されるまでのタイムラグは約0.3秒と、過去のSシリーズでは数値的により高速なモデルもあったが、体感的な違いはほとんどなく、S8000の反応の良さは使ってみてすぐに感じられる。
これら高速な部分がある反面、メニュー画面での表示切り替えなでは少し待たされる印象だ。実際には大した時間ではないのだろうが、先のレスポンスが高速であるので気になってしまった。全体の挙動バランスからすれば、メニュー操作でもう少しキビキビした動きが欲しい。
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