キヤノン PowerShot S90 レビュー

高画質・高機能が凝縮された、スリムでコンパクトなハイエンドデジカメ“キヤノン PowerShot S90”

 キヤノン [ http://canon.jp/ ]
 PowerShot S90
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 発売日:2009年10月16日
キヤノンのデジタルカメラにはスリムでコンパクトな IXY DIGITALシリーズと、高倍率ズームやマニュアル撮影が可能な PowerShot シリーズがある。PowerShot S90 は後者に属するがスタイリングはIXY DIGITALシリーズを彷彿とさせる、両シリーズのエッセンスを取り込んだハイエンドコンパクトデジカメだ。

スリムコンパクトながらも、男らしさが漂うブラックボディ

まず、本体ボディデザインをチェック。
従来のPowerShotシリーズは高倍率ズームの搭載や、使いやすさを優先したエントリーモデルなど携帯性よりも機能を重視したボディが大柄なものが多かったが、PowerShot S90はいわゆるスリムコンパクトと呼ばれるタイプで、同社のIXY DIGITALシリーズに近い印象だ。
ボディカラーは全面ブラック。同じスリムコンパクトでも、オシャレやスタイリッシュさを主眼としているIXY DIGITALシリーズに比べると、余計な装飾がなく男ぽさが感じられる。前面カバーは艶消しで表面がサラッとしている。グリップになる突起もないため、持ち歩きの際には滑り落とさないよう注意が必要だ。沈胴式レンズの周囲には、特長のひとつ、回転操作で各種設定が行える「コントローラーリング(後述)」を採用する。
PowerShot S90は、見るからに重厚感がありそうだが、実際に手にすると見た目ほどの重さはなく、日常の持ち歩きにも全く苦にならない。

上部には電源ボタン、シャッターボタン、ズームレバー、モードダイヤル、そして「コントローラーリング」に割り当てる機能をカスタマイズできる「RING FUNC」ボタンがある。この「RING FUNC」ボタンと電源ボタンの形状とサイズが似ているため、急いでいるときに押し間違えてしまうことがあった。

正面向かって右上の肩には、ポップアップ式のストロボを内蔵する。この開閉は機械式スイッチではなく、メニュー操作による発光設定でモーター駆動によりポップアップ・ダウンが行える。ただし、慣れないと構えたときに指で、ポップアップを邪魔してしまうこともあった。取扱説明書にはポップダウンの際に、指を挟まないよう注意書きもされている。
レンズは広角28mmを搭載し、35mm判換算で28〜105mm相当の光学3.8倍ズームとなる。明るさはワイド側で F2.0と明るく、昼夜問わず手持ち撮影が多くなるコンパクトではとても心強い。
撮像素子は1/1.7型CCDを搭載し、有効1,000万画素の高感度センサーを採用する。さらに映像エンジン「DIGIC 4」との連携により、低ノイズ・高画質化を優先している。最大記録サイズは3648×2736ピクセルで、このサイズのみRAW(CR2)記録に対応し、JPEGとの同時記録も可能だ。最高感度ISO12800に対応する「ローライト」モードでは、1824×1368ピクセルとなる。
次に背面を見ていこう。
背面には3.0型の液晶モニター、操作キーが並び、キヤノンのデジタルカメラでは定番となった各種設定で利用できる「コントローラーホイール」がある。
解像度約46.1万ドットの3.0型液晶モニターは「クリアライブ液晶 II」と呼ばれ、高精細な表示が可能だ。撮影時のみならず再生時の鑑賞でも高い満足度が得られる。視野角は非常に広く、ほぼどの方向からでも高い視認性が確保されている。モードダイヤル下には親指をかけることができる膨らみがあり、ホールドをサポートする。すぐ横にある、小さな4つの穴はスピーカーだ。再生ボタンは長押しで、電源オフ状態から再生モードで起動することができる。
円形の上下左右方向キーの周囲には、メニュー移動や数値設定などに利用できる「コントローラーホイール」を搭載する。親指でクルクル軽快に回転することができるが、少し軽すぎるところもあり、上下左右キーを押すつもりが誤ってホールが回転してしまい、いつのまにか露出補正が設定されていたということもあった。「S」キーはよく利用する機能を登録し、呼び出すことができるショートカットキーだ。
バッテリーとメモリーカードは、本体の底面から挿入する。双方とも誤った方向では、奥まで挿入することができないようになっている。
側面には、付属のAVケーブルまたはUSBケーブルを接続できるAV OUT・デジタル端子と、HDMIケーブルによりデジタルテレビに出力できるHDMI端子が用意されている。HDMIケーブルは付属しない。

自然なホールド姿勢で快適な操作が行える「コントローラーリング」

続いて操作系を見ていこう。
PowerShot S90の操作性で最も注目すべき点は、レンズ周囲にある「コントローラーリング」の採用だ。
「コントローラーリング」は回転することによって各種の設定や数値の設定が素早くが行えるリングだ。リングには様々な機能を割り当てることが可能で、それは本体上部の「RING FUNC」ボタンで設定する。割り当てできる機能はプログラム、マニュアルなど撮影モードにより異なるが、 [ISO] [露出補正] [ピント調整] [ホワイトバランス補正] [ステップズーム] [シャッタースピード] [絞り数値] が利用できる。
コントローラーリング」の回転はカチカチと小気味よくスムーズで、ホールド時にレンズをサポートするように手を添えることで、撮影中の姿勢で無理なく自然な操作ができる。リングを回転すると設定項目や数値のメーターが即座にモニター上に表示され視認性も高く、使っているとクセになり手放せなくなるほど便利だ。

割り当てできる機能の多くは、背面の「コントローラーホイール」にも適用できるものもあり、それぞれに自分の環境にあった割り当てをすることができる。モニター画面では「コントローラーリング」は指輪のような絵のリングアイコン、「コントローラーホイール」は丸いホイールアイコンで、それぞれに割り当てられた機能を確認することができる。
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