オリンパス μ-9000 レビュー
広角28mmと光学10倍ズームを搭載、
人物撮りに強いコンパクトデジカメ“オリンパス
μ-9000”
「μ(ミュー)」シリーズは、使いやすさと高画質を両立する、オリンパスの人気コンパクトデジカメだ。今回紹介するμ-9000はコンパクトなボディで広角28mmから、光学10倍ズームを搭載するフラッグシップモデルとなる。では早速、その実力をレビューしていきたい。
やや大柄ながらも、落ち着きと高級感のあるボディ
まず、外観からチェック。
μシリーズの従来モデルはμ700、800シリーズと、個性的な曲線を用いたくさび形のボディが続いてきた。それがμ1000シリーズでくさび形が抑えられ、今回のμ-9000ではスクウェアに近いボディにモデルチェンジされた。これまではどちらかというと女性をターゲットにしたカジュアルな印象が強く、その反面、男性では手にしづらいデザインでもあった。それがμ-9000では高機能な最上位モデルらしく、男性的な印象が強くなった。
μ-9000はゴールド、ブラック、ブルーの3色がラインアップされ、ブラックモデルをお借りすることができた。
左からゴールド、ブラック、ブルー
μ-9000は光沢のあるメタルボディで、シルバーパーツがアクセントとして高級感を醸し出している。特に胴沈式ズームレンズの各リング部分に採用されているシルバーは、全体の印象を引き締める役割を果たしている。
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μ-9000のボディサイズはやや大ぶりで、光学10倍ズームレンズを搭載している影響か、奥行きは31mmと厚みがある。それは手にすると実感でき、ズッシリと安定感がある。一般的に光学3倍でスリムボディを謳うコンパクトデジタルカメラの場合、奥行きは23mm前後。普段それらの扱いに慣れているユーザーなら、μ-9000の奥行きが気になるだろう。しかし、光学10倍ズームを搭載していることを踏まえれば十分コンパクトなサイズに抑えられている。 |
前面左のグリップは凹凸が僅かだが、指の引っかかりが良くホールド感をアップさせる。
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上部には電源ボタン、シャッターボタン、スライド式のズームレバーがある。ズームレバーはボディの端に寄っていて小さいため、ズーム操作の際にはシャッターボタンの位置から、指を極端に縮めなければならず若干操作しづらい。ボディサイズからすると、もう少し余裕のあるレイアウトでも良かったのではないだろうか。 |
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レンズの焦点距離は 35mmカメラ換算で広角28mm〜280mm の光学10倍ズームを搭載する。ズーム機能に関しては後述する。
撮像素子は1/2.33型 CCDを搭載し、有効1200万画素、最大画像記録サイズは12M・FINEで3968×2976ピクセルとなる。 |
次に背面を見ていこう。
背面には2.7型液晶モニターと、各種操作キーがレイアウトされている。
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右手で構えた際に親指の当たる部分にはパッドが採用され、滑りにくくなっている。
液晶モニターは、解像度23万画素のハイパークリスタル3液晶モニターを搭載する。上下左右のどの方向からでも表示内容を確認することが可能で、視認性は高い。ただ、他社ではより解像度の高い46万画素のモニターを採用するモデルも登場しているので、フラッグシップモデルとしてさらなる高精細なモニターの採用を望みたい。 |
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メモリーカード、バッテリーは底面から挿入する。
メモリーカードは、2GBまでの xD-ピクチャーカード(TypeH/M、Standard)に対応する。
本体にもメモリーが内蔵されており、最大画像サイズの12M・FINE(3968×2976ピクセル)で7枚、L版プリントサイズ相当の2M・FINE(1600×1200ピクセル)で46枚の撮影が可能だ。
パッケージにはmicroSDカードをxD-ピクチャーカードとして利用できる、microSDアタッチメントが付属し、128MB〜8GBのmicroSDカード/microSDHCに対応する。2GBまでしかラインアップされない xD-ピクチャーカードの代替手段だが、microSDカードは主に携帯電話での利用が多くコンパクトデジタルカメラでは一般的ではない。できれば富士フイルム製コンパクトデジタルカメラが採用する、xD-ピクチャーカードとSDメモリーカードとのデュアルスロットを採用しても良いのではないだろうか。 |
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また、バッテリーは上下左右の方向に変化がなく、間違った方向でもセットできてしまう。バッテリーの方向を示すステッカーもあるのだが、バッテリースロットの内側にあってパッと見では気が付きにくい。フタを開けてすぐに判る位置へ表記するか、バッテリーの形状を工夫して誤った方向ではセットできないような工夫が欲しい。
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側面には付属のUSBケーブル、AVケーブルを接続できるマルチコネクタを備える。
上部の赤いランプは、起動時や画像保存プロセス中に点滅し、セルフタイマーランプではない。セルフタイマーランプは、ボディ前面のストロボ横のランプがそうだ。 |
コンパクトなボディで広角28mm、光学10倍ズームを実現
μ-9000の一番のポイントは、コンパクトなボディで広角28mmから望遠280mmまでの、光学10倍ズームを採用している点だ。一般的なコンパクトデジタルカメラなら広角が28mmなら、望遠側は3.0〜4.6倍前後にとどまる場合が多く、逆に望遠側が長いと広角側が物足りないケースがほとんどだ。そんな中にあってμ-9000の広角からスタートする光学10倍ズームは、狭い室内でも引きの撮影が可能で、屋外でもグッと寄った撮影が可能だ。
望遠側では上写真のようにレンズ部がかなり前にせり出すが、重心バランスに不安定さはなくホールドしやすい。
[光学1倍:28mm 相当] |
[光学10倍:280mm 相当] |
[ファインズーム 62倍:約1736mm 相当]
(画像サイズ:640×480ピクセル) |
サンプル写真からもわかるように広がりのある引きと、およそコンパクトデジタルカメラで撮影したとは思えないズームアップが可能だ。
またμ-9000では画像の中央部分を切り抜いて望遠効果が得られるファインズーム機能を搭載する。画像サイズは640×480ピクセルになるが、高画質な撮影が可能となる。
ただし、ここまでの望遠となると僅かな動きが手ぶれを招きやすく、手ぶれ補正機能でもカバーしきれない。実際、これら撮影では橋の手すりにμ-9000を置いて撮影を行っている。μ-9000で望遠を多用するなら、三脚を用いるなどカメラを安定できる準備をしておこう。 |
人肌をなめらかにする「ビューティーモード」、シーン自動判別の「おまかせ♪iAUTO」
現在のコンパクトデジタルカメラでは人物をいかに手軽に、綺麗に撮影できるかに重点が置かれており、μ-9000も従来から顔検出機能や、人物と背景の明るさを自動調整するフェイス&バックコントロールなど人物撮影に便利な機能を搭載していた。μ-9000ではさらに、人の肌を明るくなめらかに補正してくれる「ビューティーモード」が搭載されている。
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ビューティーモードの利用は簡単でモードダイヤルをセットし、シャッターを切るだけで自動的に肌をなめらかに補正することができる。撮影直後に補正処理を実行するため少し待ち時間があり、補正前・後の2枚の画像が記録される。それら2枚を比較してみると、補正後の画像では、肌の部分に、ゆるくぼかしをかけたようにシワやシミが目立たなくなっている。 |
ビューティーモードで撮影し処理が適用された画像は、サイズが2M(1600×1200)以下に制限されるため、下のサンプル画像は適用前・後で等倍サイズが異なる。効果が伝わりづらいかもしれないが、実画像を見比べると肌が滑らかになっているのが確認できる。
[ビューティーモード:適用前]
サイズ:12M(3968×2976ピクセル) |
[ビューティーモード:適用後]
サイズ:2M(1600×1200) |
ビューティーモードを実感するには、人物の顔をできるだけアップで撮影した方がよい。人物との距離が離れていると、そもそもシミやシワが目立たないし、補正される面積が小さくわかりにくいからだ。その意味でもアップに耐えられるのが、ビューティーモードと言える。
再生モードでは、ビューティーメイク機能として撮影済み画像に対して同様に、肌の補正のほか目の輝きをアップしたり、目を大きく見せる編集が可能だ。
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また、最近のコンパクトデジタルカメラで一般的な機能となっているのが、カメラを向けただけで人物や風景など被写体に応じたモードを自動設定してくれるシーン自動判別機能だ。μ-9000では「おまかせ♪iAUTO」と呼び、被写体に応じて[ポートレート][風景][夜景と人物][スポーツ][マクロ]の5つモードを自動判別する。 |
5つのいずれのモードにも該当しない場合は自動的にプログラムモードで撮影されるのだが、実際に「おまかせ♪iAUTO」で撮影したところ、プログラムモードが選択されるケースがよくあり、被写体によって得手不得手があるようだ。もう少し的確な判断を期待したのだが、精度としてはもう一歩という印象だ。
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