ワイヤレス画像転送、多彩な演出でスライドショーも楽しめる、
有効600万画素デジタルカメラ“ニコン COOLPIX S6”

ニコン [ http://www.nikon.co.jp/ ]
COOLPIX S6
価格:オープンプライス
発売日:2006年3月24日
COOLPIX の S シリーズには、レンズ部分が回転するギミックを備える COOLPIX S4 とスリムなボディを持つ COOLPIX S3 がラインナップされており、ここで紹介するのは後者のスリムなボディを継承した COOLPIX S6 だ。 今回は落ち着きのあるカラー、グロスシルバーをお借りすることができたのでレビューしていきたい。

曲線を利用したスタイリッシュなウェーブサーフェイスデザイン

まずは外観からチェック。
COOLPIX S6 は、COOLPIX S3 同様に起動してもレンズ部分が前面にせり出さない屈曲光学レンズを利用している。見た目の基本デザインは踏襲しているが、全体的には丸みが少なくなり、角が現れてスタイリッシュな印象が強くなった。カラーは今回お借りしたグロスシルバーのほかにグロスグレー、マットブラックがラインナップされている。異なるカラーラインナップも持つ下位モデルの COOLPIX S5 と比較しても機能的な差ももちろん、見た目にも上位モデルであることを感じさせる高級感がある。
ボディ表面は擦り加工が施された光沢のあるメタルで、光の反射が美しい。スリムな見た目の印象に比べ、手に持つと意外にズッシリしている。COOLPIX S6 は3型液晶モニターを搭載しているため高さがあり、下位モデルとなる COOLPIX S5 とは僅かに数ミリの差だが、大柄な印象を受ける。少なからず持っていることを意識する大きさだ。 手が小さい女性では少し持ちづらく手に余るサイズかもしれない。
しかし、COOLPIX S6 の形状にはホールド感をアップさせる工夫がある。真正面からではわかりにくいが、上部から見ると本体の左右に波打つような形状をしているのがわかる。この形状を「Wave Surface Design(ウェーブサーフェイスデザイン)」といい、右手で持った際に波の凹んだ部分に指がフィットすることで、ホールド感をアップさせている。 写真で見るとかなりうねっているように見えるが、実際に持ってみるとそれほど極端に感じることはない。

上部には音声録音用のマイク、電源スイッチ、シャッターとズームレバーがある。このズームレバーはメニュー選択時のヘルプ表示にも利用する。
実はズームレバーがくせ者で、本体の端に寄っているため、操作する際にはシャッターボタンにかけた人差し指を縮める際に指に力が入る。そのためズームイン・アウトを繰り返していると手首の筋が疲れてしまうことがあった。レバーはよく利用するので、位置はもう少し吟味する必要があるのではないか。

側面には COOLPIX S6 の特長の1つ、無線 LAN に対応することを表す「Wi-Fi」ロゴとアクセスランプがある。この部分は少し膨らんでいて、下位モデルでワイヤレス機能を搭載しない COOLPIX S5 と見た目に違いがある部分だ。ワイヤレスによるアクセス時には、ランプが点灯・点滅する。
COOLPIX S6 は、ズームレンズが本体内部で垂直に駆動する屈曲光学系の35 - 105mm相当(35mmフィルム換算)光学3倍ズームを搭載している。レンズは色収差を低減させるニッコール ED(特殊低分散ガラス)レンズを採用している。レンズ部には電源オン・オフに連動するカバーも内蔵されている。
続いて背面を見てみよう。
背面には3型液晶モニターと操作ボタンが並ぶ。ここでは回転するロータリーマルチセレクター(後述)が特長的だ。
また、最近のコンパクトデジタルカメラの液晶モニターサイズは、2.5型が主流となりつつあるが、COOLPIX S6 はひと回り大きい3型を搭載している。解像度は約23万画素と高精細で綺麗だ。さらに、水平・垂直方向170°の視野角(綺麗に見える角度)にも対応している。
視野角は170°と範囲はあるもものの、ほぼどの方向から見ても液晶の明暗が反転して見づらくなることはない。
表示状態を切り替えるスイッチもなく常時綺麗な表示が可能で、人垣で手を伸ばして高い位置で構えても、即座に低い位置でカメラを構えても構図を確認することができる。
実際、画像によっては綺麗なプリントアウトをはめ込んでいるのではないかと見間違えるくらい綺麗で、このクラスではかなり美しい液晶モニターだ。
また。 縦方向で撮影された画像は、再生時に自動で90°回転して閲覧することができる。

バッテリーとメモリーカードは本体底面から挿入する。使用するメモリーカードはSDカードで1GBの容量まで対応する。また、本体にも約20MBのメモリーを内蔵されていて、600万画素の最高画質で約6枚の撮影が可能だ。

軽快な操作が可能な、回転するロータリーマルチセレクター

次に撮影モードや設定を含めた操作性を見ていこう。
前モデルの COOLPIX S3 では、操作ボタンとアイコンの位置関係がわかりにくく煩雑な印象を受けた操作ボタンは、今回のモデルチェンジで大幅な変化を遂げた。
まず、 撮影モードと再生モードの切り替えは、ボタン1つで変更が可能で操作しやすく、豊富なシーンモードの呼び出しも [MODE] ボタン1つで可能だ。
また今回は、上下左右の十字方向のクリックに加え、回転することでメニュー画面のスクロール操作が可能なロータリーマルチセレクターが採用された。このような回転キーは、一部の携帯電話などで採用されているが、デジタルカメラでは珍しい。

撮影、または再生モード中に [MENU] ボタンを押すと、画面にはドーナツ状のモードメニューが表示され、ロータリーマルチセレクターの回転に伴って操作が可能だ。
ロータリーマルチセレクターによる操作は快適で、項目が多いメニューや再生モードで最大25画像マルチ表示している時などにも素早く画像を選択できる。

ただし、キーの回転がスムーズすぎてメニュー画面によっては、表示が追いついていないこともある。回転角度の1単位とメニュー移動の1項目分は一致していると思われるが、メニューの表示がわずかに遅れるため調子よく回転していると、目的の項目で止めたつもりでも、表示が遅れているぶん行き過ぎることがあった。
さらに撮影時にロータリーマルチセレクターの回転でズーム倍率も変化できるかと期待したが、そうではなかった。もしそれが可能となれば、シャッター以外の操作が全て親指で可能となり、より快適さが増すと思うのだが。
COOLPIX S6 の画像モードは、最大サイズの 2816 × 2112 のみ [高画質][標準] の2種類があり、 COOLPIX S3 同様に全部で5種類となっている。
画像モードの画面では、ズームレバーを利用したヘルプが利用できないので、プリントサイズに対する最適な画像モードがヘルプ表示できると便利だと思う。

様々な状況に最適な構図まで教えてくれる「シーンモード」

COOLPIX S6 は、豊富なシーンモードを搭載している。 モードには、[パーティー][海・雪][夕焼け][トワイライト][夜景][クローズアップ][ミュージアム][打ち上げ花火][モノクロコピー][逆光][パノラマアシスト]があり、各モードではヘルプを参照できる。

ただし、ここで参照できるのはアイコンの意味だけで、ヘルプとしては少し物足りない印象を受ける。
例えば [夜景] モードの場合、「スローシャッターで夜景を綺麗に撮影します」と説明文があるが、余白も空いているので「三脚を使ってカメラの固定をお勧めします」くらいのワンポイントアドバイスがあっても良いのではないだろうか。
さらに、ポートレート、風景、スポーツ、夜景ポートレートには「アシスト機能」が用意されている。アシスト機能は液晶モニターに被写体をサポートする枠が表示され、最適な構図と共に撮影環境に応じたピントと露出設定ができる機能だ。

専用ボタンで利用しやすくなった「フェイスクリアー」モード

COOLPIX S6 には、人の顔を綺麗に撮影するための「フェイスクリアー」モードが搭載されている。これは、ファインダー上で人物の顔の位置を自動認識する「顔認識 AF」、撮影時の赤目を軽減する「アドバンスト赤目軽減」、逆光で暗く写ってしまった被写体を明るく補正する「D-ライティング」の3つの機能の総称で、詳細については COOLPIX S3 のレビューを参照して欲しい。

従来はそれら機能が撮影モードの1つとしてメニューに含まれていたので、利用するのに手間がかかったが、今回は本体上部に「フェイスクリアー」ボタンが追加されて利用しやすくなった。撮影モードでボタンを押すと「顔認識 AF」と「アドバンスト赤目軽減」がオンになり、ファインダー上には、フェイスクリアー機能を表すアイコンが表示したり消えたりする。さらに [MENU] ボタンを押すと露出補正や「明るめ」「ソフト」など写り具合を変更できる [ポートレート効果] も利用可能だ。ただ、「顔認識 AF」は従来同様、顔の位置をサーチし続けるため常時レンズ駆動を行っている。そのためバッテリーへの影響が心配だ。

そして、再生時に「フェイスクリアー」ボタンを押すと「D-ライティング」モードに切り替わる。「D-ライティング」は人物以外の逆光補正にも利用可能で、補正後の画像は別名で保存される。ただし、逆光がキツく被写体が極端に暗いと、補正後にノイズが発生することもあるので注意が必要だ。
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