新スライディングレンズシステム、2.5型高精細23.2万画素液晶モニター搭載、シーンモードも豊富な“ペンタックス Optio S6”

ペンタックス [ http://www.pentax.co.jp/ ]
Optio S6
価格:オープンプライス 最新価格を調べる >>
発売日:2005年11月2日
「コンパクトでスタイリッシュ」という言葉は、現在のコンパクトデジカメのPRとして常套句となっている。持ちやすさ扱いやすさがコンパクトデジカメの魅力だが、そこにコンパクトなボディを早くから取り入れていたのが Optio S シリーズだ。その初代となる Optio S は手の中に隠れるくらいで、その小ささに驚かされた記憶がある。 その後、 Optio S4Optio S5i などが登場し、今回レビューする Optio S6 は、コンパクトボディはそのままで画素数は600万画素に、2.5型液晶モニターを高精細な23.2万画素にアップしてきた。自動追尾AFやモードパレットなどユニークな機能も含めレビューしていこう。

光学3倍ズームで手の中に収まる薄さ19mmを実現

まず、外観からチェックしよう。
正面から見た本体サイズは幅85.5mm、高さ53.5mmと、突起部をのぞけば一般的なカードサイズを僅かに下回り、女性の手のひらでも隠れてしまうほどに小さい。19mmの厚みも、沈胴式レンズ(電源オフではレンズが本体に格納され、電源オンでレンズがせり出してくるタイプ)を採用するコンパクトデジカメではかなり薄い部類に入る。
ここまでの薄さを可能としたのが、ペンタックス独自のスライディングレンズシステムだ。これはレンズを収納する際に、普通だと複数のレンズの重なりによって厚みが必要になるところを、構成されているレンズの一部をずらして収納する仕組みだ。外から移動の様子をうかがい知ることはできないが、そのような移動の動作があっても、起動・終了時に待たされることはない。
本体はアルミニウムを採用し、本体正面カバーには細かい筋が円上に刻まれているスピンドル加工が施されている。このスピンドル加工はレンズ中心部を同心円として広がっており、反射する様子が美しい。
重さはメモリーカード、バッテリーを内蔵した状態で120g。手に持った印象としては、見た目から感じられる重量との違和感もなく持ちやすい。
細い筋が刻まれている。
Optio S6 はシルバーとワインレッドがラインナップされており、今回は敢えてワインレッドをお借りした。ワインレッドはデジカメのボディカラーでもよくラインナップされるが、Optio S6 に関して言うならワインレッドが本体の形にマッチしきれていないように感じる。色が持つ女性的なイメージよりも、メカっぽさが勝っているように思うのだ。
ずっと見ていると目が慣れてはくるのだが、やはりシルバーの方がすんなり受け入れられると思う。
どちらかというとワインレッドよりは、ゴールドやブロンズなどメタリックな色の方が、アルミニウムの素材感と馴染みやすく、質感は良くなるのではないだろうか。

次に背面を見ていこう。
背面には2.5型液晶モニターがある。モニターの解像度は23.2万画素で高精細な表示が可能だ。また太陽光の下でも視認性がよい「微反射」仕様になっている。
モニターサイズが大きいため、Optio S6 では光学式ファインダーはなく液晶モニターのみとなる。このクラスのコンパクトデジカメでは液晶モニターを大型化する都合上、光学式ファインダーの搭載が少なくなる傾向にある。
光学式ファインダーが無いことを惜しむユーザーもいると思うが、撮影時の情報は液晶モニター上に表示されるし、露出補正やホワイトバランスによる変化は液晶モニターでなければ確認できない。一般的にデジカメを使っている様子をみても光学式ファインダーを覗きながら撮影している風景を見ることもほとんどないので、不便を感じるユーザーも少ないだろう。
大きな液晶モニターの表面を覆うアクリル部分は、本体よりも僅かに出っ張っているのでキズが気になるが、右のズームレバーや十字キーの方がさらに突起しているので液晶面を下に置いた場合でも本体と床の間に若干すき間が空く。しかし、操作キーと反対の左側には突起が無く液晶が床に接するので、なんらかのキズ防止策が欲しい。

液晶モニターの右にはズームレバー、再生モードボタン、十字キーなどが並び、スッキリとした印象を受ける。再生モードボタンは撮影・再生モードを瞬時に切り替えることができる。十字キーは小さめだが、本体よりも少し出っ張っているため押しにくさは感じない。
Optio S6 は15種類の撮影モードがあり、液晶モニターに映し出されるモードパレットで切り替える。手ぶれ・被写体ぶれを補正する MPEG-4 での撮影が可能な動画撮影もそれらモードから切り替える必要がある。
一般的なユーザーがどのくらいの頻度で動画撮影を利用しているかわからないが、すぐに切り替えて利用したい場合はあらかじめ背面のグリーンボタンに動画撮影モードを割り当てることも可能だ。
上部には長押しでオン・オフになる電源ボタン、シャッターボタン、スピーカーが並んでいる。シャッターボタンは横長のため、ボタンの端を押した場合に反応しない場合があった。ボタンの真ん中を押せば確実なのだが、とっさに構えたときにボタンの端を押してしまうとシャッターチャンスを逃すことがあるので注意が必要だ。
バッテリーとSDメモリーカードはどちらも本体の側面から挿入する。バッテリーは薄く、フル充電での撮影可能枚数は約130枚(CIPA準拠※)で、今のコンパクトデジカメとしては少ない印象を受ける。画素数、液晶サイズが大きくなり消費電力がアップした影響だろうが、Optio S4、Optio S5i、Optio S6 とモデルチェンジを繰り返すごとにバッテリー寿命が短くなっている。ということは、まだバッテリー関連に改良の余地があると思われるので、長寿命への対応をがんばって欲しい。
また、スペースの問題かバッテリーの挿入方向の記載が挿入口の内側にあり判りづらかった。しかもバッテリーの形状は特徴が無い四角形で、誤った方向でも挿入できてしまう。実際、使い始めには間違って入れてしまい電源が入らずに焦ってしまった。正しい方向が判りやすいように目に付くところへ記載するなど工夫が欲しい。
※CIPA規格:カメラ映像機器工業会(Camera & Imaging Products Association)が定める電池寿命測定方法についての統一規格。

7段階で設定可能な、画像サイズ設定

上部の電源ボタンを押すと、約3秒程度で撮影可能となる。1秒程度で撮影可能となるデジカメもあるが、2秒の差は待てない程ではなく特別遅く感じることはないだろう。
本体には約23MBのメモリーを内蔵していて、600万画素では9枚の撮影が可能だ。内蔵メモリーに撮影された画像をSDカードにコピー、その逆も可能だ。
撮影に必要な設定は [MENU] ボタンを押して、設定画面を呼び出して行う。画像サイズは [640] から [6M] まで7段階あり、最近のデジカメでは細かく設定できる方だ。しかし、[5M] と [4M] の設定の違いにどの程度の差があるのか、プリントサイズにどれが最適なのか判りづらい。プリントサイズや目的に応じた画像サイズに絞ってもよいのではないか。

選択できる画像サイズは、15種類ある撮影モード(後述)のなかでも、ISO感度を800にアップできる [キャンドルライト] モードや飾りフレームが合成できる [フレーム合成] モードでは [3M] に固定される。画質は、星マークで表される [S.ファイン] [ファイン] [エコノミー] の3段階から選択できる。
十字キーの中心にある [OK] ボタンを押すたびに、明暗の分布を表すヒストグラムなどの情報表示、構図を決めやすくするグリッド表示など液晶モニターの表示を切り替えることができる。各アイコンは小さいが、設定の状態がファインダーの右で一覧できて把握しやすい。
撮影の設定では、シャープネス、彩度、コントラストを変えての撮影も可能だが、設定の変化による撮影結果の違いはパソコンの画面で見比べても判りづらかった。

アイコン表示で撮影モードが選びやすい、モードパレット

十字キーの [マクロ/遠景] ボタンを押すと、5種類のフォーカスモードが選択できる。[AF] [マクロ] [遠景] [MF (マニュアル)] のほか、[パンフォーカス] が搭載されている。 パンフォーカスはカメラ付き携帯の多くに搭載されていて、遠景から近景までの画面全体にピントを合わせることが可能だ。パンフォーカスは、AFと違いピント合わせの時間が必要なく、シャッターチャンスに強いメリットがある。
さらに、十字キーの [MODE] ボタンを押すことで、シーンに応じた撮影モードを選択することができる。それら選択には、アイコン表示で判りやすいモードパレットを使う。アイコンもカラーで見やすく、どのアイコンがどんなモードなのか想像しやすい。モードは [夜景] [ポートレート] [花] はもちろん、 [サーフ&スノー] [キャンドルライト] [ペット] [テキスト] [フレーム合成]など15種類用意されている。
水中撮影が可能な Optio WPi では各モードの説明をガイドとして参照できるが、Optio S6 には採用されていない。Optio S6 の方が一般的な撮影として購入するユーザーも多いと思うので、できればガイドを採用して欲しい。
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