パナソニック DMC-FT1 レビュー

ハイビジョンムービー撮影対応、防水・防塵・タフなコンパクトデジカメ“パナソニック DMC-FT1”

 パナソニック [ http://panasonic.jp/ ]
 LUMIX DMC-FT1
 価格:オープンプライス 最新価格を調べる >>
 発売日:2009年3月6日
「パナソニック」で「タフ」というと、同社ノートPC「Let's note」や法人向けノートPC「TOUGHBOOK」を思い浮かべるユーザーも多いだろうが、今回はコンパクトデジタルカメラ LUMIXシリーズ初の防水・防塵のタフネスモデル、DMC-FT1を取り上げる。
頑丈設計だけでなくハイビジョン撮影に対応するなど、見どころが多いDMC-FT1。その特長を中心に、レビューしていこう。

見た目が頑丈さを訴えかける、質実剛健なボディデザイン

いつものように外観からチェックしたいところだが、まずはじめにDMC-FT1のタフネス性能について触れておこう。
DMC-FT1は水深3mまでの水中撮影が可能な防水設計で、さらに砂などに対する防塵設計も施されている。その性能はJIS保護等級IP58相当で、水深3.0m/60分までの撮影が可能なうえ、動作に影響を及ぼすほどの粉塵は入らない(入った場合でも動作に影響しない)設計がされている。
さらに耐衝撃性能としてはカメラを構えたときの高さに近い、高さ1.5mからの落下テストをクリアした本格的なタフネス仕様のコンパクトデジタルカメラだ。

そのためボディデザインは、従来の女性的でオシャレな印象が強かったLUMIXシリーズとは一線を画し、防水・防塵モデルとして見るからに丈夫そうだ。
ベベル処理されたソリッドなボディカバーは前面・背面共に四隅をビス留めされ、頑丈なハードケースのようなアクティブなイメージを強く印象づけている。
耐衝撃対応のためボディは分厚く、ガッチリとしている。謳い文句にある「タフなスリム」の言葉通り、スリムかどうかは意見が分かれるところだが、かといって無骨なデザインではなく、スポーティーな印象にまとめられている。アクティブなイメージは強いが、日常使いのデジカメとして持ち歩いても違和感はない。
ただボディの形状が完全なフラットに近く、グリップになるような突起が一切ないため、片手持ちでは滑り落ちそうに感じられた。アクティブな利用を想定するなら滑り止めになるような何らかの工夫が欲しかったところだ。もしくはマリンスポーツやスキーなどアウトドアでの利用であれば、両手が使えるネックストラップで首からぶら下げるスタイルを基本にした方がよさそうだ。
左からソリッドシルバー、サンライズオレンジ、フォリッジグリーン
ボディカラーは今回お借りできたソリッドシルバーのほか、サンライズオレンジ、フォリッジグリーンがラインアップされている。
レンズはLUMIXシリーズでは初となるレンズ部がせり出さない屈曲光学系で、LEICA DC VARIO-ELMARIT(ライカ DC バリオ・エルマリート)レンズを採用している。35mm判換算で焦点距離28mmからと広角に対応する。
レンズ最前面には固定のアクリルカバーを採用する。開閉カバーが無いことを不安に感じるかもしれないが、逆に開閉式だと駆動部分に水や砂が入り込むトラブルも起こり得る。固定式なら汚れても水の侵入を気にすることなく、レンズ部分も水洗いできるなどメリットもある。
ズームは光学4.6倍と、CCD の使用領域を狭くして最大9.1倍までズームできる「EX光学ズーム」(画像サイズは3M 以下)を採用する。撮像素子は1/2.33型CCD を採用し、有効1270万画素。最大記録サイズは画角 4:3 で 4000 × 3000ピクセル(12M)だ。
レンズ横にはLEDライトが内蔵されている。
上部には電源スイッチ、シャッターボタン、ズームレバー、マイク、スピーカーがある。
LUMIXシリーズでは丸いシャッターボタン、それを輪が囲むように回転するズームレバーがあるというのが通例だったが、DMC-FT1では防水・防塵の観点からデザインが変更されたようだ。
電源ボタンは長押しにより電源投入可能だが、一般的なボタンの感覚よりもやや長めに押さなければ反応しなかった。アクティブな環境での誤動作を防ぐためか、もしかすると個体差によるものかもしれない。
また、できればマイクの位置は上部よりも前面にして欲しかった。特にDMC-FT1はハイビジョン動画の撮影ができるのも大きなポイントなので、撮影者よりも被写体の音を拾いやすい前面マイクが望ましい。
次に背面を見ていこう。
背面には操作キーと、23万画素の2.7型液晶モニターを搭載する。
緩衝構造のため致し方ないが、本体の大きさに比べると、やや液晶モニターのサイズが小さい印象を受ける。過去のLUMIXシリーズの液晶モニターは視野角の狭いモデルが多く不満だったが、DMC-FT1は視野角が広い液晶モニターが搭載されており、ほぼどの方向からでも表示内容が確認できる。また周囲の環境によって自動的にバックライトの明るさを自動調整する「オートパワーLCD」を搭載する。
モードセレクトは回転式のモードダイヤルを採用し、各キーも一般的なデジカメよりも高さがある。特に上下左右の方向キーは外へ向かって傾斜が付けられており、指先で感覚が掴みやすく、操作しやすいよう工夫されている。
しかしそれらキーのアイコンは刻印されているだけで、カラーリングされておらず角度によってはアイコンが見えづらい。アクティブな環境での利用を想定するならアイコンをカラーリングするか、バックライトで発光するなど暗い状況でも視認性を確保できる工夫が欲しい。
バッテリーとSDメモリーカードは本体の底面から挿入し、容量2GBまでのSDメモリーカード、4〜32GBのSDHCメモリーカードに対応する。本体内には約40MBのメモリーを内蔵し、本体メモリーには最大サイズの 12M サイズ・高画質モードでで6枚、L判プリント相当の2M サイズで45枚の撮影が可能だ。

本体側面にはハイビジョン出力が可能なminiHDMI端子と、付属のAVケーブルとUSBケーブルが接続可能なマルチ端子が搭載されている。miniHDMI端子の利用には別売りのHDMIミニケーブルが必要だ。またマルチ端子は別売りのACアダプター、マルチ変換アダプターを利用して電源供給を受けることもできる。

これらスロットのカバー内側には防水用のゴムパッキンが施されており、カバーを閉じてレバーをスライドするようになっている。この部分に砂や髪の毛などの異物が挟まってしまうと、カバーにすき間が生じて水が侵入する可能性があるので、アウトドアでの開閉には注意が必要だ。
気になったのがスライドでロックする感覚で、非防水デジカメのそれとさほど変わらず、少し不安を感じてしまった。もちろん現状でも実用上問題はないが、もう少しガッチリとロックされると心理的な安心感はアップするだろう。

アウトドアでの利用を意識した、モードダイヤル

DMC-FT1はダイレクトに撮影モードの切替が可能な、モードダイヤルを採用している。 カメラを被写体に向けるだけで、最適なシーンモードを選択する [おまかせ iA(インテリジェントオート)モード] をはじめ、特にアウトドアでの利用頻度が高い [ビーチ&サーフ] [スポーツ] [雪] をダイヤル上に用意している。
おまかせ iAでは人物・風景・マクロ・夜景を自動認識するうえ、モードダイヤルでアウトドアに適したモードがすぐに選べるので、これらの切替だけで事足りるケースも多いのではないだろうか。
さらに細かなシーンモードとしては [人物] [美肌] [変身] [自分撮り] [風景] [パノラマアシスト] [夜景&人物] [夜景] [料理] [パーティー] [キャンドル] [赤ちゃん1・2] [ペット] [夕焼け] [高感度] [高速連写] [切換え:速度優先/画質優先] [フラッシュ連写] [星空] [花火] [空撮] [ピンホール] [サンドブラスト] [水中] と豊富に用意されている。
モードダイヤル回転中はダイヤルのイメージが液晶モニター上に映し出され、シーン選択中も各シーンをアイコン表示、シーンの説明も参照可能だ。
ユニークなシーンモードとしてアーティスティックな撮影が可能な、[ピンホール] [サンドブラスト] がある。
ノーマル ピンホール
ピンホールはレンズを使用せず箱に針穴を開けて撮影を行う、ピンホールカメラの仕上がりを再現したもので、周辺の光量が不足した味のある撮影ができる。サンドブラスト]はモノクロに加えザラッとした質感の撮影が可能だ。高画質に撮れるのが当たり前のデジカメで、敢えて低画質とも思える味のある撮影ができるのは面白い。他にも人物をスリムまたはグラマラスに撮影できる、[変身] モードなども用意されている。これら一部のモードを利用する場合は画像サイズが3M以下に制限される。
サンドブラスト  
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