今回ご紹介するIXY DIGITAL 20 IS は
IXY DIGITAL 10 の後継モデルで、人気の IXY シリーズの中でもスタンダードモデルに位置するコンパクトでスリムなデジタルカメラだ。しかしモデルチェンジによって、スタンダードモデルながらも光学手ぶれ補正を搭載し、5色のバリエーションを展開するなど意欲的な内容に仕上がっている。
では、それら注目のポイントを押さえつつ、モデルチェンジの中身をレビューしていこう。
まず、外観からチェック。
IXY DIGITAL 20 IS の見た目で最も大きな特長の1つは、ボディカラーが5色ラインナップされたことだろう。カラーはブラウン、ホワイト、キャメル、ピンク、シルバーと全体的にソフトで女性的な印象を受けるカジュアルなラインナップだ。過去の IXY シリーズでは、よりコンパクトでデザイン性を重視した
IXY DIGITAL L シリーズでカラー展開されているが、それ以外での幅広いカラーバリエーションは初めてとなる。
今回は5色の中でも上品な雰囲気が漂う、キャメルをお借りすることができた。
コンパクトデジタルカメラは機能的には成熟しつつあり、機能面での差別化が難しくなっている反面、持ち歩く機会が多いためデザイン性も重要な要素となっている。おそらく IXY DIGITAL 20 IS のカラーバリエーションに、魅力を感じているユーザーも多いだろう。
上段左からブラウン、ホワイト、キャメル、ピンク、シルバー |
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女性的な印象を受けるのはボディカラーだけでなく、形状からも感じる。
前モデル IXY DIGITAL 10 では、四角くエッジがしっかりしたクールな印象だったが、IXY DIGITAL 20 IS では角に丸みがあり、全体的に柔らかい雰囲気が漂っている。前面・背面はアルミニウム、側面のブラックとその他のパーツは樹脂で構成されるデザインは、前モデルからの流れを汲んでいる。 |
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正面左は、少し波打つような形状をしており、ボディ全体から感じられる柔らかい印象のポイントになっている。その形状により以前よりも手へのフィット感は増しているが、グリップと呼べるほどの膨らみは無いので、ストラップを手に巻くなど落下防止の備えは必要だろう。
全体に丸みを持たせたため、本体の奥行きは IXY DIGITAL 10 の19.4mmから、22.0mmへとアップ。数値的にはかなりアップしたように感じるが、手に持った感じでは厚いと感じるほどでもなく、充分スリムでコンパクトだ。
アルミニウムのカバーは手触りも良く、ひんやりしていて高級感があり、その他パーツはブラック、メタルカラーで処理されていて上品にまとめらている。
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上部にはシャッターボタン、ズームレバー、電源ボタンが並ぶ。このあたりのキーのレイアウトは、以前から大きな変化はなく、シャッターボタン以外はフラットに近い。
また光学手ブレ補正(IS)の搭載を示す「IMAGE STABILIZER」のロゴが見える。
レンズは 35mm判換算で、38〜114mm 相当の光学3倍ズームとなる。ワイド端が 38mmで画角が気になるが、35mmのデジカメと一緒に画角を比較すると違いを感じるものの、IXY DIGITAL 20 IS 単体で使っているぶんにはさほど気にならないだろう。
デジタルズームは12倍、さらにレンズに装着することで望遠効果が得られる、テレコンバーターをデジタルで再現した「デジタルテレコン 1.6x」「2.0x」も搭載されている。
CCD は従来の有効710万画素から、有効800万画素へとアップされ、画素数は上位モデルの IXY DIGITAL 810 IS、910 IS と同等になった。
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液晶モニターは約23万画素で視野角は広く、上下左右へ水平に近い状態まで傾けても、表示内容がはっきりと確認できる。モニターは明るい屋外でも見やすいように反射防止マルチコートが施され、[DISP.] ボタンを1秒以上押し続けると明るさを最大までアップできる「LCDブースター」を採用している。
夜や薄暗い場所では自動的に明るさがアップする「ナイトビュー」機能も搭載する。 |
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モード切替スイッチ、スピーカー、バッテリーカバーも独特な形状にデザインされており、細かなパーツにまでコダワリが感じられる。
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バッテリーとメモリーカードは本体の底面から挿入する。三脚用の穴は本体中心近くにあるので、安定感はあるが三脚にセットしたままでのバッテリー、メモリーカードの交換はできない。
バッテリーは特長の少ない長方形をしているので、正しい挿入方向がわかりづらいが、間違った方向では完全に入らないようになっている。
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側面カバーを開けると、付属のUSBケーブルを接続できるUSB端子が用意されている。パソコンとの接続や PictBridge に対応したプリンターに直接接続してプリントも可能だ。また、付属のAVケーブルによるテレビ出力用のAVアウト端子も装備している。 |
IXY DIGITAL 20 IS の最大の特長と言えば、なんといってもレンズシフトによる光学手ぶれ補正が搭載されたことだ。光学手ぶれ補正は画質への影響がないため手ぶれ補正には有利だが、コストの問題や他のモデルとの差別化もあって、これまで上位モデルにしか搭載されてこなかった。
そのためスタンダードモデルに位置する IXY DIGITAL 20 IS に、光学手ぶれ補正機能が搭載されたことは驚きでもあり、非常に嬉しい対応だ。
キヤノンではこのレンズシフト式手ぶれ補正のことを「Image Stabilizer( IS ):イメージスタビライザー」と呼んでおり、IXY DIGITAL 20 IS の「 IS 」はこの略だ。
内部の機械的な詳細は不明だが、手ぶれ補正の設定に上位モデルとの差はなく、常に手ぶれ補正が適用された状態の「入」、撮影の瞬間だけ補正される「撮影時」、上下のぶれの時のみ補正し、横方向に動いている被写体を追いかけるようなカメラの動きは補正しない「流し撮り」の3種類から選べる。
[手ぶれ補正:切] |
[手ぶれ補正:入] |
[最高感度:ISO1600] |
被写体ぶれには、最高感度 ISO1600 の利用が可能だ。高感度による速いシャッタースピードでの撮影を可能とし、被写体のぶれを防ぐ。
ISO1600 ではかなりノイズが多くなるため、特別な目的での利用と考えた方がよいだろう。 |
さらに IXY DIGITAL 20 IS では被写体ぶれ対策として、新たに「モーションキャッチテクノロジー」が搭載された。これは被写体が動いているのか静止しているのかをカメラが判断し、動きを感知すると上限 ISO800 の範囲で自動的に感度をアップして、被写体ぶれを軽減する。動きを感知しなければ感度は低めに設定されるので、不必要に画質へ影響を与えることがない。
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実際に試したところ、常に上限の ISO800 にアップされるわけでなくISO125~500あたりに設定される時もあった。動きが激しい被写体の場合は、ブレを完全に押さえられるわけではないので、明らかに被写体が動いている状態であれば、マニュアルで高感度に設定した方が確実だろう。
「モーションキャッチテクノロジー」が利用できるのは、[高感度オート] が利用できる [オート] [マニュアル] [デジタルマクロ] モードで、その他のスペシャルシーンモードでは利用できない。
従来、手ぶれ補正として搭載されていた、「ISOブースター」は省略された。
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