パナソニック DMC-GF1 レビュー
コンパクト並みのサイズで高画質を実現する
マイクロフォーサーズ デジタル一眼“パナソニック DMC-GF1”
パナソニックのマイクロフォーサーズ デジタル一眼、GF1。昨年秋の登場から話題で、ここでのレビューももう少し早く取り上げたかったのだが、各方面で人気のモデルということもあり、メーカーの貸出機種があいにく全部で払っていて、なかなか取り上げることができなかった。発売から既に時間が経過しているので愛用者も多いだろうが、おさらいの意味も兼ねてGF1の特長的な機能を中心にレビューしていきたい。
日常の持ち歩きが苦にならない、コンパクトなデジタル一眼
まず、外観からチェック。
GF1のボディサイズは、コンパクトデジタルカメラとデジタル一眼の、ちょうど中間といった感じだ。特に今回メインで試用したパンケーキレンズ LUMIX G 20/F1.7 を装着した状態では、コンパクトデジタルカメラを一回り大きくした印象だ。見た目にもグリップ部が小さく、上部もモードダイヤルとアクセサリーシューが目を引くが、全体的にはスッキリとした印象だ。カラーラインナップのシェルホワイト、アーバンレッドなどはデジタル一眼らしからぬカラーで、女性にも受け入れられているようだ。
左からシェルホワイト、アーバンレッド、エスプリブラック
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ボディ単体の重量は約285g。パンケーキレンズ、バッテリーを装着した状態でも約442gと、一部の高倍率ズームを持つハイエンドコンパクトと同等クラス。ただ、合わせるレンズによってはレンズの方が重くなってしまう場合もあるだろう。また、グリップはデザイン性を重視したためか少し小さく、しっかり掴めるわけではないが、レンズ部をサポートするように構えれば問題はないだろう。それ以上に、このサイズと軽さから得られる恩恵の方が大きい。 |
今回お借りしたエスプリブラックは艶消しのブラックで、精悍で落ち着いた雰囲気が漂っている。ちなみに3色のラインナップの中でも、シェルホワイトはもともとの生産台数が少なかったようで、発売当初から昨年末の段階では、どのショップでも常に品薄状態だった。価格の値引きでも他の2色に比べて、シェルホワイトはやや高めで推移していた。
本体上部には電源ボタン、シャッターボタン、モードダイヤルがあり、ワンタッチでハイビジョン撮影が可能なムービーボタンがある。モードダイヤルは大きく、指先で掴みやすい。ダイヤル前面にはドライブモードレバーがある。また、ホットシューとポップアップ式のストロボも内蔵する。本格的な調光には外付けのストロボが望ましいが、ポートレートで瞳にキャッチライトが欲しいときなど、ちょっと光が欲しい時には重宝するだろう。GF1はストロボを内蔵するレンズ交換可能な一眼デジカメとしては、世界最小最軽量となる。
ストロボはポップアップするとかなり高い位置までせり上がり、レンズ鏡胴やフードによってストロボ光が遮られてしまう「ケラレ」を防止している。その高さを稼ぐため、パンタグラフのような仕組みで飛び出すギミックがユニークだ。
ホットシューに別売りアクセサリー、ライブビューファインダー DMW-LVF1 を取り付けてみた。DMW-LVF1は外付けタイプの電子ビューファインダーで、メニュー表示など本体の液晶モニターで表示される内容と、ほぼ同等の内容を映し出すことができる。そのためビューファインダーを覗きこんだまま、各種設定と確認ができる。液晶モニターとの表示切り替えはDMW-LVF1の側面にあるボタンで行い、ダイヤルで視度調整もできる。最大90度までの角度調整が可能で、ローアングルの撮影にも対応できる。DMW-LVF1を利用すれば撮影の幅も広がり、装着したGF1のスタイルにも惹かれるものがあるが、本体の液晶モニターの利用が多いコンパクトデジタルカメラからの乗換なら、あまり必要性は感じないかもしれない。ライブビューファインダー は店頭で約2万円(専用ケース付)と安くはないので、そのあたりは吟味した方が良いだろう。
次に背面を見ていこう。
背面には操作キーと、46万画素の3.0型液晶モニターを搭載する。操作キーは、同社のLUMIX シリーズのコンパクトデジタルカメラと似た印象で、デジタル一眼だからといって難しそうな印象を受けることはない。
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右手の親指が当たる部分にはダイヤルがありメニューの移動や露出補正、シャッタースピード、絞りの数値設定のほか、静止画再生時には画像の拡大表示、動画再生時にはボリューム調整に利用できる。46万画素の液晶モニターは高精細で色鮮やか、発色も良い。視野角も広く何人かで画像を鑑賞する場合にも、どの角度からでも鮮明に見える。ただその反面、撮影画像がパソコン上の表示よりも良い印象で見えてしまうこともあるので、このあたりの勘どころは、ある程度の慣れが必要だろう。 |
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バッテリーとSDメモリーカードは本体の底面から挿入し、容量2GBまでのSDメモリーカード、4〜32GBのSDHCメモリーカードに対応する。内蔵メモリーは持たない。 |
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本体側面にはハイビジョン出力が可能なminiHDMI端子と、付属のAVケーブルとUSBケーブルが接続可能な専用ジャック、さらにリモート端子が搭載されている。miniHDMI端子の利用には別売りのHDMIミニケーブルが必要だ。 |
イメージセンサーは有効1210万画素の、4/3型Live MOSセンサーを搭載。最大記録サイズは4000×3000ピクセルで、RAW形式とJPEG形式の同時記録に対応する。画角は4:3,3:2,16:9に加え、正方形の1:1にも対応する。GF1が採用するマイクロフォーサーズでは、従来の一眼レフの光学ファインダー方式に必要なミラー、焦点板、ペンタミラーなどを持たず、レンズマウントのマウント面からイメージセンサーまでの距離が約1/2ほど短いため、本体サイズの小型化に加え交換レンズも小型化できる。このようなミラーレス構造のため、ファインダーはイメージセンサーで捉えた映像を液晶モニター(または電子ビューファインダー)で確認する「ライブビュー」となる。
GF1本体は手ブレ補正機能を持たず、光学式手ブレ補正機構を持つ交換レンズの装着で利用できる。人気のパンケーキレンズ LUMIX G 20/F1.7は明るいレンズだが、手ブレ補正機構を搭載しないので、このレンズを装着しているときは手ブレ補正が無いことになる。しかし、F1.7と明るいレンズなので、ある程度の手ブレ防止には繋がるだろう。
今回はパンケーキレンズ LUMIX G 20/F1.7と、標準ズームレンズであるLUMIX G VARIO
14-45mm/F3.5-F5.6 ASPH./MEGA O.I.S.をお借りできた。前者は35mm換算で40mm相当の単焦点レンズで、コンパクトな日常使いのレンズとして扱いやすい。F1.7の明るさを持ち、綺麗なボケが得られるのが特長だ。後者は35mm換算で28〜90mmのズームレンズで、広角から約3.2倍で光学式手ブレ補正を内蔵し、こちらも日常使いとして扱いやすい。LUMIX G VARIO
14-45mm/F3.5-F5.6 ASPH./MEGA O.I.S.には着脱可能な専用フードが付属する。
GF1はボディ単体のほか、これらそれぞれのレンズを同梱するレンズキットが用意されている。
パンケーキレンズ LUMIX G 20/F1.7と、LUMIX G VARIO
14-45mm/F3.5-F5.6 ASPH./MEGA O.I.S.の比較。
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