33種類のシーンで手ぶれ・被写体ぶれ軽減に対応する、「ベストショット」機能
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EXILIM シリーズといえば、豊富な撮影サンプルから状況に応じた設定が可能な「ベストショット機能」が特徴だ。[BS] キーを押すとシーンのサンプル画像一覧が表示され、ズームキーを押すことでシーンの特徴を説明文とともに参照することができる。
EX-Z60 では、従来からさらにユニークな設定が追加されて、全部で33種類のシーンが用意されている。
シーンは、[オート] [ムービー] [人物] [風景] [風景と人物] [子供] [スポーツ] [キャンドルライトで人物を写す] [パーティー] [ペット] [花] [緑を鮮やかに] [紅葉] [水の流れを滑らかに写す] [水しぶきを止めて写す] [夕日] [夜景] [夜景と人物] [花火] [食べ物] [文字] [コレクション] [オークション] [逆光] [ブレ軽減] [高感度] [白黒] [レトロ] [トワイライト] [古い写真を写す] [名刺や書類] [ホワイトボード] [ボイスレコード] と日常出くわしそうな、ほとんどのシーンが用意されている。 |
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シーンによっては、カメラ内部の設定はさほど違いがないものもあると思われるが、シーンが具体的で細かく用意されていることで初心者でもわかりやすく、選びやすい。
最近では他社でも豊富なシーンモードを搭載するデジタルカメラが増えているが、シーンモードに積極的で、数が多いのも EXILIMシリーズ の特徴だ。
古い写真を色鮮やかに再現する「よみがえりショット」
「ベストショット機能」には、ユニークなシーンが多数用意されている。中でも、色あせた古い写真を鮮やかに補正する [古い写真を写す] は、使い道が限定されるが面白い機能だ。
手元にある古い写真で試してみた。
まず、「ベストショット機能」の一覧から [古い写真を写す] に設定する。次に古いプリント写真をできるだけ近い距離で複写する。この時、真正面から撮影していなくても構わないが、照明などが写真に反射しないような角度で撮影する。
撮影が終わるとプリント用紙の輪郭や、画像の輪郭など角度を軽減すべき範囲の候補が自動選択されるので、方向キーを使ってふさわしい枠を選択する。 続いて周囲に不要な部分が含まれていれば、ズームキーを使って切り抜く範囲を調整する。
すると約10秒程度で色あせた写真が補正され、切り抜かれた画像が完成する。
色の補正具合を微調整することはできず、切り抜きにより画像サイズは小さくなるが、普通ならパソコン上でスキャナ入力や、画像編集ソフトを利用しないとできない古い写真の色補正が、デジタルカメラ1台でできるのは面白い。
ここでは撮影時の「ベストショット機能」として紹介したが、再生モードの編集機能である [退色軽減] でも同様の効果が得られる。
「手ぶれ」と「被写体ぶれ」、ふたつの「ぶれ」に対応
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他にも [ブレ軽減] [高感度] では、最高感度 ISO 800 で手ぶれ・被写体ぶれを防止する撮影が可能だ。 ISO感度をアップすることで速いシャッタースピードでの撮影が可能となり、動いているものでも止まっているように撮影することができる。
ベストショット機能以外でもメニュー設定で [ブレ軽減オート] に設定することで、同様のぶれ軽減効果が得られる。 |
EX-Z60 では、これらぶれ軽減を「アンチシェイク DSP」と呼んでいる。
ISO感度を上げてぶれを軽減する方法は、ノイズの発生により画像にざらつきが生じてしまうが、エントリーモデルとなる EX-Z60 で、手ぶれ・被写体ぶれの両方に対応しているのは嬉しい。
その他まだまだ沢山のシーンが用意されているが、数が多いので希望するシーンに辿り着くまで、サンプル画像を何枚もめくる必要がある。頻繁に利用するシーンとそうでないシーンで表示順位が入れ替わるなど、アクセスのしやすさを工夫して欲しい。
難しい状況での撮影をサポートする、9点マルチ AF とフラッシュ連写
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例えば、人物が二人並んでいる場合、二人の間(後ろ)にピントが合ってしまう失敗写真がよくある。
しかし、
EX-Z60 が搭載する 9点マルチ AF なら、ピントが合う範囲が広く二人のうちのどちらか、もしくは両方にピントが合い、ピンぼけ写真を防止してくれる。9点のなかでピントが合った部分は色が点滅するので、どこにピントが合っているのか判りやすい。 |
また、ストロボを利用する場合、普通は発光のために電力を充填のためのチャージ時間が必要だが、EX-Z60 の「フラッシュ連写」機能を使えば、暗い場所でも1秒間で最高3枚までストロボを使った連写が可能だ。他にも「フラッシュ連写」と比較すると連写スピードが遅くなるが、メモリーカードが一杯になるまで連写を続ける [通常連写] と、ストロボ・オフで1秒間に最高3枚まで連写する [高速連写] も用意されている。
光量が不足するシーンではノイズが気になることも
EX-Z60を購入するユーザーの多くは、手ぶれ・被写体ぶれ軽減を重視するユーザーが多いと思われる。したがって、おそらく撮影時は常に [ブレ軽減オート] をオンの状態で使うだろう。
しかし、その場合はノイズの発生に注意が必要だ。
EX-Z60 は、ぶれ軽減にISO感度をアップさせて対応する高感度方式を採用している。感度が上がることで、速いシャッタースピードでの撮影が可能となり、手がぶれたり被写体が動いても静止した状態で撮影ができる。高感度方式はひとつの機能で、手ぶれ・被写体ぶれの両方に対応できるメリットがあるが、反面、感度が上がるに伴ってノイズが発生するデメリットもある。
EX-Z60 も晴天の屋外のような光量が十分ある環境での画質は全く問題ないが、
[ブレ軽減オート] やベストショット機能の [ブレ軽減] を利用している場合は、自動で ISO800 までアップするので、光量が不足する室内などでは、ノイズの影響でざらつきが見られ立体感が不足する。
もっともこれは EX-Z60 に限ったことではなく、高感度方式を採用するデジタルカメラ全般に言えることで、特に被写体ぶれへの対応はどのメーカーも高感度方式を採用しているので、ある程度の割り切りも必要だろう。
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ベストショット [風景を写す]、シャッタースピード
1/500秒、F4.4。
解像度の不足を感じることはないが、全体的にソフトな絵作りになるようだ。 |
ベストショット [マクロ]、シャッタースピード
1/125秒、F3.1、手ぶれオート。
充分な光量があるとノイズもほとんどなく、解像度の高い撮影ができる。 |
ベストショット [夜景]、シャッタースピード
4秒、F3.6。
三脚設置で撮影。オートでISO感度50に設定されので、ノイズはかなり抑えられている。 |
基本機能に限られるが、必要充分な再生モード
EX-Z60 では撮影時以外の電源オフの時でも、背面の再生モードボタンを押すと電源オンで即座に再生モードに入ることができる。
再生モードでは、ズームレバーの操作によって、1画像表示 → 9画像表示 → カレンダー表示への切り替えが可能だ。これでも充分だが、最近ではより多くの画像を一覧できる機種が多くなっているので物足りなく感じる。目的の画像の探しやすさという意味でも、16もしくは20画面程度のマルチ表示がもう一段階あってもよいと思う。2.5型の液晶モニターなら十分可能だろう。
そのほか再生モードでは、スライドショーが利用できる。スライドショーでは画像と画像の表示切り替えにエフェクトが用意されており、特殊効果によるフェードイン・アウトが楽しめる。また、最大60分間までエンドレスできるので、パーティーや展覧会などで映像作品のような使い方もできる。
BGM の再生には対応しておらずスライドショーとしてはシンプルだ。
他に画像の縮小や切り抜きなど、EX-Z60 の再生モードでできることは基本的なことに限られるが、日常の利用で不足を感じることはないだろう。
画像転送は専用のUSBケーブルで、フル充電は約1時間半で可能なチャージャーが付属
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EX-Z60 にはクレードルは付属せず、底面に独自形状の端子があり、付属するUSBケーブルで画像の転送を行う。
また、付属の専用AVケーブルも付属するので、テレビに映し出すことも可能だ。
バッテリーチャージャーはケーブルが付属するタイプで、約1時間半でフル充電が可能だ。エントリーモデルといえども、実用的な速さだ。
EXILIM シリーズはバッテリーが長寿命なのも特徴だが、EX-Z60 はスリムな本体に合わせた薄型のバッテリーを採用しているので、フル充電での撮影枚数は180枚(CIPA準拠※)と、こちらは特に多い部類ではない。
本体のスリムさによる影響だが、上位機種が300〜500枚を実現していることを考えると、少し物足りない数値だ。 |
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本体の他に、USBケーブル、バッテリー、バッテリーチャージャー、ACケーブル、AVケーブル、ストラップ、ソフトウェア、説明書が付属する。 |
総論:ユーザーの欲張りな要望に答えてくれる、お手頃な一台
現在のデジタルカメラの売れ筋モデルは3〜4万円台に集中している。そんな状況の中、EX-Z60 の店頭価格は大手量販店でも3万円台を切っていて、比較的手が届きやすいポジションにある。買い換えに3万円のラインを気にするユーザーも多く、この価格帯で手ぶれ・被写体ぶれに対応しているのは嬉しい。
搭載するベストショット数が33種類というのも、上位機種に引けを取らない充実ぶりだ。見た目にもスリムでスタイリッシュ、使ってみた感じでも特に何かをそぎ落としたと感じる部分はない。強いて不満をあげるとすると、バッテリー寿命とクレードルが付属しないことだろうか。
カシオの上位機種の多くがクレードルを付属しているので、EX-Z60 に不満を感じるかもしれないが、画像の転送はカードリーダーを利用することで代用できるので、それほど決定的な不満とも言えない。あらたにカードリーダーを購入するにしても、様々なタイプのメモリーカードに対応するマルチスロットタイプでも 2,000円以内で購入可能だ。
バッテリー寿命はどうだろう。フル充電で180枚の撮影は微妙な枚数で、数日にわたる旅行なら予備のバッテリーを購入するかどうか迷うところだ。だが、予備のバッテリーを購入しても3,000円程度のアップに抑えられる。これら二つを踏まえても本体価格 + 5,000円程度のアップに収まり、
上位機種と迷うほどの価格差の縮まりにはならないだろう。
しかも、見た目にエントリーモデルらしい安っぽい印象も全くなく、2.5型液晶を備えつつスタイリッシュに仕上がったボディは「価格が低いのを選んだ」というよりは「スリムでスタイリッシュなのを選んだ」というコダワリも満たしてくれる。
このように見ていくと、EX-Z60 を求めるユーザー層がおぼろげに見えてくるようだ。
手ぶれ・被写体ぶれ軽減は絶対で、子供やペット、オークションへの出品などのプライベートの利用だけでなく、ビジネスなど幅広いシーンで使いたい。さらには大きな液晶でスタイリッシュなボディ、しかも手が届きやすい価格で…。
と、とても欲張りだが、これらにちゃんと答えているのが EX-Z60 だ。
もしもそれらに自分が当てはまると思ったら EX-Z60 を、ぜひチェックして欲しい。
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