顔の位置を自動認識、ピントと明るさを最適に調整する「顔キレイナビ」
コンパクトデジタルカメラの日常的な利用としては、やはり人物撮影が最も多いだろう。富士フイルムの調べでは、コンパクトデジカメの利用の約7割が人物撮影らしい。
しかし、いざ撮影となると人物の背景にピントがあってしまうような、ピンボケ写真も起こりがちだ。これまではピントが合うフォーカスエリアを広くするなどの工夫がされてきたが、現在では人間の顔の位置を自動で認識してピントを合わせ、最適な明るさで撮影してくれる顔認識機能が急速に広がりつつある。
FinePix F40fd でも「顔キレイナビ」として、顔認識機能を搭載している。
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「顔キレイナビ」は、本体背面にある [顔キレイナビ] ボタンを押すだけで利用可能で、カメラを人物に向けると顔の位置を自動認識してグリーンの枠で表示してくれる。構図を整えるためにカメラを動かしたり、人物が動いても常に枠は顔の位置を追随してくれる。
今回は顔を頻繁にキョロキョロさせる赤ちゃんをモデルに、顔キレイナビを利用してみた。赤ちゃんをカメラに注目させるには手を振ったり声をかけたり、撮る側からも目線を送りつつ気を引かなければならないが、グリーンの枠が赤ちゃんの顔を追いピントを合わせ続けてくれるので、常に液晶モニターを確認しながらカメラを動かさなくても撮影ができた。一瞬顔以外に枠が表示されることがあっても即座に修正され精度の高さが感じられる。
人物が二人、三人と複数いる場合も対応し、最大で10人まで認識できる。その場合はピントが合っている人物に対してグリーンの枠、それ以外の顔にはグレーの枠が表示される。カメラを縦位置で構えても検出は行われる。 |
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「顔キレイナビ」は人物の撮影を目的としているため、シーンモードの [風景] [スポーツ] [夜景] [花火] [水中] [花の接写] [文字の撮影] では対応しておらず、動画モードでも利用できない。
手ぶれ・被写体ぶれ撮影が可能な高感度ISO撮影
FinePix F40fd は、手ぶれ・被写体ぶれ軽減機能として高感度ISOを採用し、最高感度 ISO2000での撮影が可能だ。任意で感度設定ができるのはマニュアルモードの時だけで、選択できるのは感度固定のISO100、200、400、800、1600 と、上限を設定してその範囲内で自動調整してくれる AUTO(400)、AUTO(800)、AUTO(1600) がある。
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マニュアルモード以外の撮影モードでは、感度設定はオートで出来ればノイズの発生を抑えたい人物モードは ISO400 あたり、動きを止めて撮影したいスポーツモードは ISO1600 あたりと状況に応じて最適な感度を設定してくれる。
ぶれ軽減モードも感度設定はオートで、手ぶれ・被写体ぶれを防ぐために比較的高感度よりに自動設定される。一般的な家庭の室内撮影では、最高感度となる ISO2000 が適用されることもあった。
さすがに ISO2000
での撮影では被写体の動きがピタッと静止し、文字通り一瞬を捉えた撮影が可能だ。そのぶん画質は立体感が失われボサボサした印象に撮影されるが、一般的なデジタルカメラでの「一応は高感度で撮れます」的なレベルとは違って、L判サイズでもプリントする価値はあるし、ブログ掲載用に縮小するなど用途によっては十分利用できる。
普通なら被写体ぶれで使い物にならない一瞬が、静止して撮影できるのは面白く、子供やペットの撮影など画質に少し目をつぶっても残しておきたい一瞬がある、というような要望には応えてくれるだろう。 |
等倍拡大
ぶれ軽減モード 感度AUTOにより、ISO2000にて撮影。 |
画質がどうしても気になるようであれば、フラッシュ無しの高感度撮影とフラッシュ有りで感度を抑えた2枚を自動で撮影してくれる [高感度2枚撮り] モードで押さえておくのもひとつだ。そうすれば、撮影後に見比べてみて気に入った方を残せばよい。その際、2枚の連続撮影なのでシャッターのタイミングが若干ずれることを踏まえておこう。
また、撮影直後のプレビューは、画像がぶれていないか確認のために自動で拡大プレビューさせることもできる。
撮影サンプル
再生機能はシンプル、レスポンスがやや気になる
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撮影済みの画像は背面の再生ボタンを押すと表示される。ズームレバーによる拡大・縮小表示の際には、ズームアウトの操作で見ている画像を含め前後4枚を同時に確認することも可能で、目的の画像が探しやすい。マルチ表示は最大で9枚まで表示ができる。表示状態を変更する [DISP] を押すと撮影日も参照できるカレンダー表示も可能だが、感覚としてはズームレバーの操作で、1枚、4枚、9枚、カレンダー表示まで一貫して操作できる方が手間がないように感じられた。 |
また、ズームレバーによる画像の拡大表示の段階が多いようで、レスポンスに多少もたつきが感じられる。
あと、せっかく再生ボタンが独立しているので、電源オフの状態でも再生ボタンを押すば、自動で電源が入り撮影済みの画像が表示できるようなシンプルさがあってもよいと思う。
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スライドショーは画像が切り替わるフェードのバリエーションなどもなく、ごくシンプルな構成だ。画面を4分割してパズルのように画像が切り替わっていくマルチモードはユニークで、再生時にも「顔キレイナビ」によって顔を拡大表示することもできる。
再生時、縦方向で撮影された画像はそのままで、自動で90度回転はされない。他社ではカメラの方向を関知して自動で回転表示する機種もあるので、そのあたりの使い勝手はもう一歩という感じだ。 |
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今回試すことはできなかったが、再生モードでは高速赤外線通信(IrSimple/rSS)による画像転送ができる。もう一台の FinePix F40fd や同社のケータイプリンタ「Pivi」、対応する携帯電話との間でワイヤレスによる送受信が可能。送信できる画像のサイズは3Mまでで、それ以上の場合は3Mに縮小されて転送される。
撮影時にデジカメで撮るべきか、携帯電話のカメラで撮るべきか迷うことがあるが、双方でやりとりできれば迷いもなくなり、後々の利用範囲も広がる。 |
約2時間でフル充電が可能な、コンパクトなバッテリーチャージャーが付属
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バッテリーは厚さ約9mmで少し厚手となる NP-70 を利用する。コンセントに直結できるコンパクトなバッテリーチャージャーが付属し、約2時間でフル充電が可能だ。
フル充電で約300枚(※CIPA規格準拠)撮影できるので、ちょっとした旅行でも対応できるし、日常的な利用なら予備のバッテリーを必要に感じることもないだろう。 |
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本体の他に、バッテリー、バッテリーチャージャー、USBケーブル、専用AVケーブル、ストラップ、ソフトウェア、説明書が付属する。 |
※CIPA規格:カメラ映像機器工業会(Camera & Imaging
Products Association)が定める電池寿命測定方法についての統一規格。
総論:ぶれに強い、顔に強い、人物撮影が多いならオススメ
これまで高感度ISOによるぶれ軽減機能を採用してきた他社コンパクトデジカメでも、ハイエンドモデルではレンズシフト方式やCCDシフト方式など光学式手ぶれ補正を採用しつつあり、高感度ISOを採用するのは FinePix シリーズのみになりつつある。これは別に FinePix シリーズが追い詰められている訳ではなく、スーパーCCDハニカムを採用する FinePixシリーズは高感度でもノイズに強いためで、手ぶれ軽減はもちろん、被写体ぶれ対策としては、他社のザラつきが激しい高感度ISOと比較しても大きなアドバンテージがあるからだ。
加えて FinePix F40fd には顔認識機能が搭載されたことで、全体として人物撮影を得意とするコンパクトデジカメと言って良いだろう。今回は、まだコミュニケーションが図れない動き回る赤ちゃんを撮影してみたが、顔認識機能と高感度ISOによるぶれ軽減の恩恵を実感することが多かった。
今使っているデジカメではぶれることが多く顔の表情を取り逃してしまい、何度も撮り直しをしているような状況であれば、一度 FinePix F40fd を使って欲しい。これまで諦めていた状況でもシッカリ撮影してくれ、思わず笑ってしまう一瞬が撮れるかもしれない。
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