富士フイルム FinePix Z100fd レビュー

顔の検出と赤目の補正も可能な「顔キレイナビ」

FinePix Z100fd には「顔キレイナビ」の名称で、 FinePix シリーズお馴染みの顔検出機能を搭載している。顔キレイナビは、画面の中から人物の顔を自動で検出して、ピントや明るさを最適にしてくれる機能で、FinePix Z100fd では赤目補正も適用させることができる。本体上部の顔キレイナビボタンを押すことで、顔キレイナビおよび赤目補正のオン・オフが設定できる。

赤目補正はフィルムカメラ時代からある、撮影時のストロボのプリ発光によるものではなく、撮影後に画像イメージ内の赤目を判断して補正処理を実行する。
そのため記録には、処理のための時間が若干必要だ。

顔キレイナビが利用できる撮影モードは、 [ナチュラルフォト] [高感度2枚撮り] [オート] [マニュアル] [人物][夜景] [夕焼け] [スノー] [ビーチ] [美術館] [パーティ] となっている。

FinePix Z100fd に搭載されている顔キレイナビは、最大10人までの顔を同時に検出可能で、FinePix F50fd に採用されている横顔や斜め顔の検出には対応していない。

顔キレイナビは再生モードでも利用可能で、顔を検出して拡大表示やスライドショーが楽しめる。

スリムボディはそのまま、光学ズームは5倍にアップ

今回のモデルチェンジではズーム機能も強化された。光学ズームは従来の3倍から5倍となり、35mmフイルム換算で 36mm〜180mm 相当のズームが可能だ。
それでいて本体の奥行きは前モデル FinePix Z5fd の 19.4 mmから 0.4 mm のアップに留まり、19.8 mm のスリムボディを実現している。これは光学式5倍ズームレンズ、手ブレ補正機能搭載のデジタルカメラとしては、世界最薄となる。(2007年7月現在)

ワイド端

光学5倍
デジタルズームとの併用で最大約25.5倍のズームが可能。光学ズーム時の中央部分を切り抜く擬似的なズーム機能は搭載していない。

複数の画像を1枚に合成してくれる、オークションモード

ユニークな撮影モードとして、Yahoo! などの Web オークションサービスに最適な画像を撮影できる「オークションモード」がある。
オークションに出品をしたことがあるユーザーなら判ると思うが、オークションサービスでは出品する際にページへ掲載できる商品画像の枚数が決められている。商品を細かく紹介するために、決められた枚数以上に画像を載せようとすると追加の費用が必要だ。そのため画像編集ソフトを利用して、複数のカットを1枚にまとめて合成している出品者もいるが、慣れないと結構な手間がかかる。この合成の作業を撮影の段階でできるのが、オークションモードだ。

分割された枠に合わせて撮影することで、1枚の画像となる。

オークションモードを選ぶと、複数画像を組み合わせるための1〜4コマに分割された画面構成が選べる。そして撮影すると分割されたコマが順番に埋まっていき、それらを1枚の画像として保存できる。Web ページへの掲載に最適なように、画像サイズは 640 × 480 ピクセルで記録される。分割に合わせて商品全体や、部分のアップなど変化を付けることで詳しく伝えることができる。

実は筆者自身、複数の知人からオークションに出品する商品画像の縮小方法を、何度か質問されたことがある。画像の縮小方法でさえ質問を受ける機会が多いので、複数の画像を1枚に組み合わせるのは、かなり敷居が高いと思われる。それが撮影の段階で実現できるのであれば、恩恵を受けられるユーザーも多いはずだ。

オークションモードは必ずしもオークション出品でなくても、オンラインショップの商品写真やブログ用としてもユニークな使い方ができるだろう。
オークションモードの画像サイズは、640 × 480 ピクセルに固定されているので画質的に向かないが、L 判サイズやハガキサイズに最適な画像サイズで撮影できるモードがあれば、グリーティングカードや、ちょっとしたカードとして用途の広がりがあって面白いと思う。

撮影サンプル

オート [遠景]
シャッタースピード 1/480秒、F6.4、ISO100。

オート [マクロ]
シャッタースピード 1/170秒、F3.8、ISO200。
オート [AUTO]
シャッタースピード 1/105秒、F4.4、ISO400。

大量の画像検索に便利、100枚を一覧できるマイクロサムネイル表示

これまでも画像を2枚づつ拡大表示できるなど、再生モードはユニークだったが、FinePix Z100fd では、一度に100枚の画像を一覧表示できる「マイクロサムネイル表示」が利用できる。

ズームレバーの操作により、1枚、2枚、9枚、100枚の表示切り替えが可能。

マイクロサムネイル表示で、100枚全てのサムネイルが表示されるには少し待たされるが、さほどストレスは感じない。画像検索においても回転するロータリーダイヤルの威力が発揮されて、画像の選択も素早く行える。

FinePix Z100fd には [マイピクチャ] [家族] [旅行] [イベント] [お気に入り] の5つのフォルダが用意されており、あらかじめ選んでから撮影すれば指定したフォルダ内へ画像が記録される。
再生モードではフォルダ間の画像の移動や、再生モードでのみ利用できる [プライベート] フォルダは、パスワードによって再生できないようにすることができる。
ただし、パスワードは本機でのみ有効で、メモリーカードを他のカメラに挿入すれば通常のフォルダと同じように再生できてしまうので、一時的なものと捉えた方が良いだろう。

これら機能を踏まえるとメモリーカードが大容量化するなか、画像は必ずしもパソコンへ転送後に削除せず、メモリーカード内へ貯めていつでも閲覧できるといった使い方が定着していくのかもしれない。そうなればマイクロサムネイル表示や、フォルダ分類などの機能が生きてくるだろう。

ブログ用画像として、携帯電話へ転送できるブログモード

FinePix Z100fd には、撮影した画像をブログ掲載に適した画像サイズに縮小、トリミング(切り抜き)し、赤外線通信を使って携帯電話へ送信できる「ブログモード」が用意されている。

ブログモードに設定すると、ズームボタンと方向キーを使って、画像を切り抜くことが可能だ。画像サイズは [スタンダード(640×480 ピクセル)] または [スモール(320×240 ピクセル)] に、セットアップメニューで設定可能で、縮小されて赤外線により送信することができる。
送信可能なのは、赤外線通信の規格である IrSimple に対応する携帯電話やモバイル機器だ。

最近ではブログを開設しているユーザーも多く、外出時にはブログ用にカメラ付き携帯電話で撮影するか、コンパクトデジタルカメラで撮影するか迷ったり、両方で撮影するのに手間がかかることもある。赤外線通信で画像を送信できれば、そのような面倒も少なくなるだろう。
さらに画像加工としてイラスト調もしくは絵画調に変換することもできる。
それはそれでユニークだが、ブログ写真はプライベートな写真が多くなるので、顔検出機能を利用して顔にぼかしやモザイクが入れられるような処理ができると面白いのではないだろうか。

イラスト調

絵画調
ブログモードで送信できるのは FinePix Z100fd で撮影された静止画のみで、動画は送信できず、他のデジタルカメラで記録されたメモリーカードをセットしても送信はできない。
最近は YouTube に見られるような動画投稿サイトも注目を集めているので、動画の送信は視野に入れてもよいかもしれない。

約2時間でフル充電が可能なバッテリーチャージャーが付属

バッテリーは薄型の NP-45 を利用する。電源コードを繋げるバッテリーチャージャーが付属し、約180分でフル充電が可能だ。
フル充電で約170枚(※CIPA規格準拠)の撮影が可能だが、前モデルの FinePix Z5fd の約200枚から大きくダウンしたのは残念。
本体の他に、バッテリー、バッテリーチャージャー、電源ケーブル、USBケーブル、専用AVケーブル、ストラップ、ソフトウェア、説明書が付属する。
※CIPA規格:カメラ映像機器工業会(Camera & Imaging Products Association)が定める電池寿命測定方法についての統一規格。

総論:中身に抜かりなく見た目も満足、所有すれば見せたくなるデジタルカメラ

これまでも FinePix Z シリーズは高感度撮影に有利なスーパーCCDハニカムを搭載していたことで、ぶれに強いデジタルカメラとして定評はあった。しかし感度アップによって、少なからず発生するノイズに不満を感じていたのも事実だ。

今回、FinePix Z100fd はスーパーCCDハニカム搭載ではなくなったが、 CCD シフトによる手ぶれ補正機能が搭載されたことで、コンパクトデジタルカメラとしての完成度はアップしたといえる。赤目を補正できる顔検出機能「顔キレイナビ」や、光学5倍ズームなど現在のコンパクトデジタルカメラに望みうる機能+αも盛り込まれている。

その+αの中でも特徴的なのが高級感のあるスタイルだ。
実はレビューのために届いた FinePix Z100fd を箱から取り出した瞬間から、漂っている雰囲気は違っていて、それがカメラとしてのハード的な質感の高さというよりは、もっと広い意味での「モノ」としての質感の高さが感じられたのは印象的だった。

FinePix Z100fd のスタイルはこれまで以上に女性の支持を集めそうで、事実、筆者の周囲でも女性からの反応は良い。カメラを身につけるアクセサリーとして、撮影していない時のデザインにもコダワリたいユーザーにオススメだ。

もちろん中身に抜かりなく、見た目も満足な FinePix Z100fd は、手にすればきっと誰かに見せたくなるデジタルカメラだ。
H-lab:山地啓之)
富士フイルム [ http://fujifilm.jp/ ]
FinePix Z100fd
価格:オープンプライス 最新価格を調べる >>
発売日:2007年9月29日
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