ストロボあり・なしの2枚を同時に撮影する「高感度2枚撮り機能」

夕暮れや夜間の撮影ではストロボを使う機会が多いが、状況によっては光が強すぎてその場の雰囲気が失われてしまうことがある。FinePix Z3 での高感度撮影なら自然な雰囲気での撮影が可能だ。
ただ、状況によっては高感度撮影でいくか、ストロボを使うかで迷うこともある。念のため両方で撮影しておこうと思えば、ストロボ設定や ISO 感度の切り替えと操作が煩雑になりやすい。
そんな迷いを解決してくれるのが、FinePix Z3 の「高感度2枚撮り機能」だ。これはシャッターボタンを1回押すだけで、ストロボあり・なしの2枚を自動で撮影してくれる機能だ。同時にその場の状況に応じて ISO 感度を自動設定してくれる [ナチュラルフォト] モードも働くので、ISO 感度を手動で変える必要もない。撮影後、画像保存中のプレビューでは、液晶モニターにストロボあり・なしの2枚の画像が並んで表示されるので、それぞれの違いを確認することができる。

ストロボなし(ISO400・1/12秒・F3.5)

ストロボあり(ISO400・1/60秒・F3.5)
最近では記憶容量が大きなメモリーカードも広く使われる傾向にあるので、2枚撮りを多用したとしても容量的に無駄を感じることは少ないだろう。どうしても容量が気になるなら、2枚を見比べて不要な方を随時削除していけばよい。
撮影時に注意しておかなければならないのは、シャッターが2回切り終えるまでシッカリ構えておくことだ。「高感度2枚撮り機能」に設定しているのを忘れて、つい1枚目のシャッターでカメラの構えを崩してしまうと、2枚目がぶれてしまう。撮影時には2回分のシャッター音がするので、耳でも確認しながらの撮影が必要だ。

実用的なシーンが増えた撮影モード、操作メニューには新しいアプローチを期待

FinePix Z3 では、上で説明した「高感度2枚撮り」モードを含めた、14種類の撮影モードが利用可能だ。
[マニュアル] [AUTO] の他に、 [ナチュラルフォト] [高感度2枚撮り] [人物] [風景] [スポーツ] [夜景] [花火] [夕焼け] [スノー] [ビーチ] [美術館] [パーティー] [花の接写] [文字の撮影] が用意され、FinePix Z2 の10種類から増えた。
前モデルの FinePix Z2 ではメニュー項目の表示が小さく、2.5型の液晶モニターの広さを活かし切れていなかったが、FinePix Z3 では項目も左右に広げられて見やすくなった。
ただ、シーンモードのアイコンが昔ながらの女性の横顔や山の形というのも物足りなく感じる。それらアイコンは馴染みはあるものの、ボタン類のスペース的な制約があったフィルムカメラの産物とも言える。女性をメインターゲットにするなら、もっと親しみやすいアイコン表示にしたり、ネイルを施した指先でも操作しやすいタッチパネルにするなど、これからはフィルムカメラを知らない世代が増えていくことも踏まえると、なんらかの新しいアプローチがあってもよいと思う。
オート [遠景]
シャッタースピード 1/150秒、F8。周辺部分に若干の色のにじみが見られるものの、シッカリとした色調で、晴天の爽やかさが感じられる。
オート [ナチュラルフォト]
シャッタースピード 1/110秒、F3.5。部分的に白飛び気味のところもあるが、全体的にはクリアで良好な仕上がりだ。
オート [遠景]
シャッタースピード 1/25秒、F3.5、ISO800で撮影。最高感度の ISO1600 に比べるとノイズ感もグッと少なく、使い勝手の良い感度だ。

モバイルプリンター、ケータイと画像転送できる「高速赤外線通信機能(IrSimple)」搭載

再生モードは、前面のレンズカバーが閉じた電源オフの状態でも、再生ボタンを長押しすることでも起動できる。再生モードでは9枚までのマルチ表示が可能で、選択している画像だけが一回り拡大表示される。縦方向で撮影した画像の自動で90度回転表示には対応しておらず、再生機能に関しては FinePix Z2 から大きな変化はない。
FinePix Z3 では、本体側面にある赤外線通信ポートを使った、ワイヤレスプリントにも対応している。再生メニューには、同社のモバイルプリンター Pivi シリーズと赤外線通信ポート経由でプリントできるメニューがあり、ケーブル接続なしでプリントアウトが可能となる。
今回は、より高速で通信が可能な「高速赤外線通信機能(IrSimple)」をコンパクトデジタルカメラとして世界で初めて搭載した。「IrSimple」に対応する携帯電話と画像の転送・交換も可能で、FinePix Z3 で撮影した画像を携帯電話の待ち受けにすることもできる。 対応機種が増えれば、友達同士でも後でプリントを配らずに、撮影したその場で画像転送することも可能だろう。

充電、転送、PictBridge、AV出力、スライドショーが楽しめるクレードルが付属

バッテリーは薄型の NP-40 を利用する。充電はカメラ本体に装着し、付属のクレードルに乗せて行う。約2時間でフル充電が可能だ。クレードルはパソコンへの画像転送にも利用するので、おそらくはパソコンの周辺に置いて、帰宅後はクレードルにカメラをセットする習慣が付くだろう。
FinePix Z3 を乗せた状態でクレードルにある電源ボタンを押すと、スライドショーが始まる。画像が切り替わるエフェクトには、数種類が用意されている。
本体の他に、バッテリー、クレードル、USBケーブル、ACアダプター、専用AVケーブル、ストラップ、ソフトウェア、説明書が付属する。
※CIPA規格:カメラ映像機器工業会(Camera & Imaging Products Association)が定める電池寿命測定方法についての統一規格。

総論:高感度撮影で幅広いシチュエーションで活躍してくれる1台

前モデルの FinePix Z2 は、スリムなモデルが数多く存在するコンパクトデジカメのなかでも、シンプルなボディデザインで女性からの人気が高く、店頭でも手に取ったり、店員から説明を受ける女性の姿を多く見かけることがあった。FinePix Z3では、それら女性から支持されていた部分をうまく残しながらモデルチェンジを遂げている。

ボディのデザインはオシャレ度を増しつつ、高感度撮影による優位を活かして、カメラ任せでも目で見ている状態に近い自然な撮影ができるなど、機械に強くない女性にも安心して使える。高感度2枚撮り機能も、ストロボあり・なしの「念のため撮影」をワンシャッターで実現できるのは実用的で心強い。FinePix Z3 は、それら外見(デザイン)と中身(機能)のバランスがうまくまとまっている1台と言える。

これから季節は秋・冬へと向かい、夕暮れの薄暗いシチュエーションやイルミネーションなどロマンチックなシーンが多くなる。なにかとコツが必要で失敗しやすいそれら環境でも、高感度撮影に強い FinePix Z3 なら活躍してくれるだろう。
H-lab:山地啓之)
富士フイルム [ http://fujifilm.jp/ ]
FinePix Z3
価格:オープンプライス 最新価格を調べる >>
発売日:2006年6月
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