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COOLPIX S500 は、レンズ駆動により手ぶれを軽減するレンズシフト方式手ブレ補正(VR:Vibration Reduction)を搭載している。手ブレ補正は全ての撮影モードで利用可能でメニューから設定できるほか、本体上部のブレ軽減ボタンでも設定できる。
手ブレ補正設定には2種類あり、流し撮りでも有効な [ON] と、先に説明したレリーズタイムラグを最小限に抑える [レスポンス優先] があり、これらを選ぶにはメニュー操作により設定する必要がある。 |
上部のブレ軽減ボタンを押すと [ブレ軽減モード ]となり、自動的に手ブレ補正設定 [ON] が選択され、同時にISO感度は1600にアップして被写体ぶれにも対応する。
ブレ軽減モード中は「BSS:ベストショットセレクター」が利用できる。
これはシャッターを押している間、最大10コマまで連続撮影可能で、その中からぶれが少なく鮮明に撮れている一枚を自動で選んでくれる機能だ。
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COOLPIX S500 には、人物撮影に適した「フェイスクリアー」モードが搭載されている。これは、ファインダー上で人物の顔の位置を自動認識する「顔認識
AF」、撮影時の赤目を軽減する「アドバンスト赤目軽減」が自動設定されるモードだ。「顔認識
AF」は複数の人物、カメラが縦位置でも認識される。
本体上部にあるフェイスクリアーモードボタンを押すと、液晶モニターの中央にはフェイスクリアーモードを表すスマイルアイコンが、ゆっくりと点滅表示される。モード中はスマイルアイコンが常に点滅しているので少しうっとしく感じるが、スマイルアイコンを人物の顔に合わせると顔認識しやすいようだ。ただし、スマイルアイコンに顔を合わせようと意識しすぎると、人物がいつも中央に配置される「日の丸構図」になりがちなので単調な構図にならないよう注意も必要だろう。
フェイスクリアーモード中に「MENU」ボタンを押すと、「ポートレート効果」として、人物の肌の質感や画像の雰囲気をソフトにしたり、明るくすることができる。
記憶では COOLPIX シリーズは顔認識機能の採用が他社に先駆けてかなり早く、当時はこの機能が浸透するのか疑問に感じたものだが、あっと言う間に広まってしまった。そういった意味で COOLPIX には先見性を感じるので、もう一歩推し進めた顔認識技術や人物撮影に特化した機能も期待したい。 |
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COOLPIX S500 では最大でISO感度2000まで利用することができる。ISO2000 はオート撮影モードにおいてマニュアル設定したときのみ利用可能で、高感度モードやシーンモードでは、 ISO50〜1600までに自動設定されている。
下に ISO 感度設定を変えつつ撮影したサンプルを用意した。
サンプルでもわかるようにISO800あたりからノイズが発生し、それ以上ではかなりのザラつきが見られる。ISO800を超える高感度撮影は日常利用では少ないかもしれないが、ストロボ利用では落ち着いた雰囲気が損なわれてしまうバーなどの飲食店内やパーティー会場、ライブハウスなど薄暗い環境では、ISO1600 以上での高感度に助けられることも多い。
画面全体がぶれてしまって内容がほとんど判らない写真よりは、ノイズがあっても内容が確認できる方が重要な場面もある。
ブログ掲載用に縮小すれば、ザラつきを感じにくくなる場合もあるので、目的と用途を選べば利用できるシーンもあるだろう。
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シーンモード [風景]
シャッタースピード
1/320秒、F5.7、ISO50。 |
[撮影] モード
シャッタースピード
1/9秒、F2.8、ISO50、マクロ。 |
[撮影] モード
シャッタースピード
1/350秒、F5.7、ISO50、マクロ。 |
再生モードでは、1枚、4枚、9枚、12枚のマルチ表示、カレンダー表示、撮影日一覧が可能で、画像検索にはロータリーマルチセレクターが威力を発揮する。マルチ表示から撮影日一覧、カレンダー表示に切り替えるには MENU キーを押してメニューを操作する必要があるので、若干面倒に感じられる。できればズームレバーの操作でそれら表示モードを行き来できると、検索性はよりアップするだろう。
また、再生モードでフェイスクリアーボタンを押すと、逆光や光量不足によって暗くなってしまった画像を明るく補正する「D-ライティングモード」が利用できる。このような補正は読み込んだパソコンでやればよいとの意見もあるかもしれないが、カメラ店店頭ではプリントマシンを使ってメモリーカードから直接プリントするユーザーも増えている。そのためカメラだけで補正できる利便性は重要なのだ。
被写体が極端に暗い場合、補正後にノイズが発生することもあるが、補正後の画像はオリジナルとは別名で保存されるので、試しに実行して思い通りの結果でなければ削除しても問題はない。
スライドショー機能は基本的なもので、スリムボディの
COOLPIX S50 などに搭載されているBGMと画像効果を組み合わせた Pictmotion(ピクトモーション)機能は搭載していない。
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COOLPIX S500
には薄型のバッテリー EN-EL10 が付属し、約100分でフル充電可能。約180枚(※CIPA規格準拠)の撮影が可能だ。
カメラ本体がコンパクトなので仕方がないのかもしれないが、バッテリー容量をアップするなどもう少しがんばって欲しい数値だ。 |
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本体の他に、USBケーブル、バッテリー EN-EL10、バッテリーチャージャー、ACケーブル、AVケーブル、、ストラップ、ソフトウェア、説明書が付属する。 |
※CIPA規格:カメラ映像機器工業会(Camera & Imaging Products
Association)が定める電池寿命測定方法についての統一規格。
COOLPIX S500 は光学式手ぶれ補正、高感度ISO被写体ぶれ軽減、顔認識 AF などがコンパクトボディに凝縮され、いまのコンパクトデジカメ選びの基準はクリアしている。さらに世界最速起動、レリーズタイムラグ最短のレスポンスも気持ちいい。
では、全く不満が無いかというとそうでもない。本編でも触れた視野角の狭い液晶モニターや窮屈な印象を受ける操作キーのアイコン配置、ロータリーマルチセレクターとメニュー画面上での操作性など細かな部分で気になる点がいくつかある。
特にこれらは COOLPIX S500 のクールで精悍な印象とは、少しチグハグに感じてしまう。デジタルカメラを道具として見たときに、起動やレリーズタイムラグの短さによる軽快感はあるものの、他の使い心地や操作性といったところで、もう少し詰めが必要に感じられる。ある部分を詰めていった結果、詰め切れていない他の部分が気になってくるという印象だ。
それら細かな部分で不満はあるものの、先に触れたコンパクトデジカメに望みうる機能はひと通り備え、起動時間やレリーズタイムラグの短さなど、他社をリードしている部分もある。
男性向けのように感じられる精悍なボディも、女性が身につけていても不自然さはなく、男女問わず所有する喜びも満たしてくれるだろう。一眼レフから受ける「ニコンブランド」イメージにマッチした、クールなコンパクトデジカメとしてオススメしたい。