COOLPIX S60は顔検出機能に加え、笑顔を自動検出しシャッターを切る「笑顔自動シャッター」を搭載する。笑顔自動シャッターはセルフタイマー機能の1つとして提供される。笑顔自動シャッターに設定すると、液晶画面には顔検出枠と笑顔ゲージが表示され、シャッターボタンを押すとセルフタイマーランプがカウントダウンしてから、笑顔検出モードに入る。そして笑顔が検出されると自動撮影し、再び笑顔検出さらに撮影の動作を繰り返す。そして約1分間ほど経過したところで、笑顔自動シャッターは自動的に解除される。
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笑顔自動シャッターはセルフタイマー機能なので、どちらかというと1対1の撮影よりも、撮影者も参加したい集合写真の撮影に向いている。集合写真で複数の顔を検出した際には、みんなの顔が笑顔に揃ってからシャッターが切られる。また、複数の顔の中からあらかじめ希望する顔をタッチパネルで触れることで、任意にAF枠を変更することもできる。 |
笑顔自動シャッターを実際に試したところ、目が細くなったり口元が上がるなど、かなりの笑顔でなければ撮影されないことが多く、笑顔の判定が厳しいように感じられた。日常的な撮影では顔がほころぶ、緩むことのほうが多いと思われるので、もう少し判定を緩くしても良いのではないか。
オートモード、ポートレートモード、夜景ポートレートモードでは、自動撮影しない笑顔検出、インジケータ表示のみも利用できる。ただ、笑顔をインジケータで示すだけなら、わざわざカメラに教えてもらわなくても、撮影者側で判りそうな気がするのだが。
他にも「目つぶり検出」機能を搭載するなど、人物撮影に対応する様々な機能を搭載している。
COOLPIX S60は、35mm判換算で33-165mm相当の光学5倍ズーム、ニッコールレンズを搭載している。広角側がもう少し欲しい気もするが、スリムなボディで光学5倍が利用できるのは嬉しい。さらに最大で4倍までの電子ズーム(デジタルズーム)にも対応するが、比率に応じて拡大処理を施すため画像が劣化するので利用には注意が必要だ。
ズーミング操作もタッチパネルで操作し、駆動はスムーズで一般的なデジカメのズーミング操作と比較しても大きな差はない。
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COOLPIX S60 では最大ISO感度3200まで利用することができる。オートモードでISO800まで、高感度オートモードでISO1600まで、最大のISO3200はマニュアル設定により利用することができる。
ISO3200に設定した場合、記録サイズは5M 標準(2592)または、2M(16:9/1920)に設定される。
これは暗い環境で不足する光量を補いつつノイズの発生を抑えるため、CCD の隣接するいくつかの受光素子を1つの素子として、まとめて利用するので記録画素数は小さくなってしまう。
高感度になるほどノイズが多くなり細かなディティールが失われるので、日常的にはISO800までで自動設定されるオートモードを利用し、それ以上の高感度撮影は、被写体の動きを完全に止めたい時や、夜景を明るく撮りたい時など特定の状況での利用に限った方がよいだろう。 |
ISO3200 |
またCOOLPIX S60は手ぶれ対策として、イメージセンサーシフト方式手ぶれ補正を採用している。これはシャッターを押した瞬間のぶれ幅を感知して、ぶれと逆方向にイメージセンサー(CCD)を瞬時に移動させてぶれ幅を相殺する機能だ。
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シーンモード [風景]
シャッタースピード
1/640秒、F3.8、ISO64。 |
[撮影] モード マクロ
シャッタースピード
0.3秒、F3.8、ISO64、マクロ。 |
[撮影] モード
シャッタースピード
1/240秒、F3.8、ISO100。 |
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画像編集では拡大・縮小やトリミング、カラー変更のほか、タッチパネルを利用したペイント編集ができる。ペイントはペンのサイズや色の変更が行え、スタンプ、フレームの合成も可能だ。
ペイント操作は指先では正確な位置を捉えるのが難しいので、付属タッチペンを利用した方が思い通りにペイントできる。編集前の画像が3Mサイズ以上の場合、保存時に3MサイズまたはTVサイズへの変更が行われる。
これら再生モードの操作は、通常のボタン操作で行えるものと同等の操作が可能で、ペイントのようなタッチパネルならではのユニークな編集が行える。 |
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ユニークな編集機能としては、画像とBGMを組み合わせたスライドショーが作成できる「HD Pictmotion」だ。従来からも同じような機能はあったが、COOLPIX S60ではハイビジョンが画質のスライドショーが作成できる「HD」となったところが新しい。
作成したスライドショーはCOOLPIX S60上での再生か、HDMIケーブルで繋いだハイビジョンテレビに映し出して楽しむことができる。 |
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COOLPIX S60
には薄型のバッテリー EN-EL10 が付属し、約100分でフル充電が可能。約140枚(※CIPA規格準拠)の撮影が可能だ。大型液晶モニターを搭載し消費電力が大きいためか、撮影枚数には不安が残る。実際、撮影や再生を繰り返していると、思っていたよりも早くバッテリー残量表示に変化があった。
泊まりがけの外出なら、バッテリーチャージャーを持参するか、もう一個予備のバッテリーを用意したい。 |
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本体の他に、USBケーブル、バッテリー EN-EL10、バッテリーチャージャー、ACケーブル、AVケーブル、タッチペン、ストラップ、ソフトウェア、説明書が付属する。 |
※CIPA規格:カメラ映像機器工業会(Camera & Imaging Products
Association)が定める電池寿命測定方法についての統一規格。
COOLPIX S60 以外にも、各社から同じくタッチパネルを採用するコンパクトデジカメは登場しているが、そのアプローチの仕方は様々だ。過去のレビューではパナソニック
LUMIX DMC-FX500 があり、従来からのボタンを残しつつタッチパネルを併用するのに対し、COOLPIX S60では電源ボタン・シャッターボタン以外のボタンを全て廃し、撮影・再生操作のほとんどをタッチパネル上で可能としている。操作性では、タッチパネルのみに割り切ったCOOLPIX S60の方が、迷いがなく扱いやすかった。
必要に応じて機能を呼び出すタッチパネルは、違う言い方をすると通常時には機能が隠れていることになる。そのためCOOLPIX S60を手にするまで、一般的なデジタルカメラに比べて操作時の手数が多くなるのではないかと思っていた。
しかし、電源を入れ撮影モードでタッチパネルに表示される機能は、ズームやストロボ、マクロなど一般的なデジカメの背面に配置されているボタン類とほぼ同じで、タッチパネルと言えども意外とすんなり触ることができた。また、実際に数えたわけではないかが、手数が極端に多いと感じることもなかった。
逆にメニュー項目が並ぶ選択画面でも、従来の方向キーで項目を一つ一つ移動することなく、指先でダイレクトに選択できるといったメリットも多かった。目的の被写体に指先のタッチでフォーカス位置を合わせる「タッチAF/AE」や、再生モードでのドラッグによる画像切替など、タッチパネルならではの操作性も活かされている。
タッチパネルは携帯電話やポータブルミュージックプレーヤーでもコストの面から、高価格モデルに採用される場合が多い、そのため一部の新しもの好きが飛びつく印象だが、直感的な操作性は、デジタル機器に詳しくないユーザーにこそ使って欲しい。
その点では、シーンを自動判別する「おまかせシーンモード」や1000万画素の撮影が可能など、最先端の機能を盛り込みつつも、見た目のデザインがハイテク感が溢れているわけでなく、スタイリッシュにデザインされているところも注目すべき点だ。これはまさにそれらユーザーへのアプローチであり、高機能な中身と見た目のデザイン、それを繋ぐ橋渡しとしてタッチパネルがうまく働いてくれれば、COOLPIX S60の成功に繋がるだろう。
タッチパネルの話題に終始してしまったが、1000万画素から得られる画質は納得のレベルで、手ぶれ補正や顔認識機能など、望まれる基本機能は充実しており、COOLPIX S60はデザインと性能を両立したい欲ばりなユーザーにオススメのコンパクトデジタルカメラだ。