手ぶれに対しては CCDシフト式補正が搭載されたので、高感度撮影は主に被写体ぶれ軽減、もしくは暗い場所での撮影で効果を発揮するだろう。μ750 ではオート、もしくはマニュアル設定でISO1600までの高感度撮影が可能だ。試しに噴水を撮影してみると、飛び散る水滴や流れる水が静止しているように撮影することができた。
[全体]
ISO1600 にて撮影。噴水からこぼれ落ちる水が完全に静止している。
|
[部分拡大]
高感度撮影ではノイズの発生が避けられない。余裕があれば感度を変えながら複数枚撮影しておくとよいだろう。 |
μ750 では最高感度 ISO 2500 でも撮影ができるが、これは次に説明する「シーンプログラムモード」の [寝顔] [ キャンドル] モードでのみで利用可能で、マニュアル設定では利用できない。これらは暗い場所でもストロボを使わなくても明るく撮影することが可能。ただし、ノイズの発生が激しいので、利用にはある程度の割り切りが必要だ。
|
シーンは全部で23種類。
[ポートレート] [風景] [風景&人物]
[夜景] [夜景&人物] [スポーツ]
[屋内撮影] [キャンドル] [自分撮り] [寝顔] [夕日] [打ち上げ花火] [マナーショット] [料理] [ガラス越し]
[文書] [オークション] [ショット&セレクト1] [ショット&セレクト2] [ビーチ&スノー] [水中ワイド1]
[水中ワイド2] [水中マクロ] と、従来から変更はなく各シーンでは特長の解説を参照することもできる。 |
|
もうひとつは、やりたいことから設定を行える「ガイドモード」だ。撮影で出くわしそうな13の状況が用意されており、「〜したい」から選んでいくと対処するための設定が自動で行われる仕組みだ。やりたいことから設定が行えて判りやすく、深い階層にあるメニューを呼び出して設定する必要がない。ただ、選択途中では「スポット測光」「露出補正」などの用語が登場するが、カメラに詳しくないユーザーにはそれすら馴染みのないのも事実だ。 |
例えば「逆光で撮影したい」という項目では、「フラッシュを強制発光にする」「スポット測光にする」「露出補正で値を大きくする」と三つの選択肢から選ぶ必要があるが、用語の意味やどんな場面でどれが最適なのか判らなければ、フラッシュの強制発光ばかり使うことも考えられる。それぞれのメリットを説明するなど、もう一歩踏み込んだ説明やアドバイスがあれば、使い方の幅も広がるのではないか。
過去のμシリーズ同様、μ750 も再生、編集機能が充実している。 [リサイズ] [赤目補正] や、[モノクロ]
[セピア] への色変更、豊富なデザインから選択できる [フレーム合成] 、[明るさ] [鮮やかさ] の調整や写真入りのカレンダーまで作ることができる。
かつてはパソコンの周辺機器的な存在であったデジカメだが、今ではデジカメ単体で利用するユーザーも多く、パソコンや特別なソフトがなくても編集が楽しめるのはユニークだ。
|
本体側面に電源供給、画像転送・AV出力を兼ねたマルチコネクタ(USB端子)がある。コネクタカバーは防水のため、ゴムパッキンが施されている。本体へ直接電源を供給するには別売りのACアダプター(D-7AC)とマルチアダプター(CB-MA1)が必要だ。
バッテリーは薄型で、フル充電で公称約190枚(CIPA準拠※)の撮影が可能。従来からは約10枚程度増えているが、フル充電に約300分(カタログ値)必要なのはそのまま。フル充電に約5時間かかるのは、正直ツラい。さらにチャージャーにはACケーブルが必要で、持ち歩きにもかさばる。これらバッテリー周りは前モデルからほとんど変更がなく、カメラ本体のスタイリッシュさとは逆に、スマートさが感じられず残念だ。 |
|
|
本体の他に、バッテリー、バッテリーチャージャー、ACケーブル、USBケーブル、専用AVケーブル、ストラップ、ソフトウェア「OLYMPUS
Master」、説明書が付属する。 |
μ750 は前モデルのμ710と見た目に大きな変化がないので、新鮮味に欠けるマイナーチェンジに感じられるかもしれないが、紹介してきたように中身の機能アップは魅力的だ。
ひとつめのポイントはCCDシフト式による手ぶれ補正への対応だ。このクラスでは手ぶれ補正機能が必須となりつつあるが、ノイズの発生によって画質に影響を与える高感度ISO撮影による手ぶれ軽減を搭載する機種もまだ多く、CCDシフト式で画質に影響を与えずにぶれを補正できるのは嬉しい。
もうひとつのポイントは光学5倍ズームの搭載だ。最近では28mmの広角レンズを採用するコンパクトデジタルカメラも登場し広角撮影への注目度も増してきている。広角は広角の面白さがあるが、カメラに詳しくない一般的なユーザーにはズーム比率の高さの方が判りやすく魅力的に映るのではないか。
また、μシリーズの伝統でもある防水機能も忘れてはいけない。子供の水遊びや天候が気になるときでもアクティブな利用が可能であることも付け加えておきたい。
ネット上のショッピングサイトでは3万円台半ばから後半でも購入可能で、充実した内容を踏まえるとお買い得な一台といえる。そろそろデジカメの買い換え時期で、高倍率なズームで手ぶれに強いデジカメを求めているなら、ぜひ候補に加えて欲しい。