CCDシフト機構で手ぶれ補正、最高感度ISO3200で被写体ぶれ軽減に対応

Optio A30 には、3つの手ぶれ補正機能が搭載されている。
まず1つ目は「SR(Shake Reduction:シェイクリダクション)」と呼ばれる「CCDシフト方式」による手ぶれ補正だ。Optio A30 の CCD は、小さな2つのモーターによって水平垂直方向に移動できるようになっており、ぶれを感知するジャイロセンサーが高精度なものに改良され、従来よりもさらにぶれに強くなっている。
撮影時にぶれが起きるとジャイロセンサーがぶれ幅を感知し、CCD を移動させてぶれ幅を相殺する。CCD の移動は撮影時の瞬間だけ行われるので、撮影後の画像を確認しないと効果が判りにくいが、本体上部にある「手ぶれ補正プレビュースイッチ」を押している間は、CCDが移動して補正の効果をリアルタイムに確認できる。

Digital SR、最高感度ISO3200による撮影。
2つめは先の撮影モードのところでも触れた、最高感度ISO3200による撮影で、ぶれを軽減する「Digital SR:デジタルシェイクリダクション」だ。ISO3200が利用できるのは、[Digital SR] モードの時だけで、記録サイズは5M(2592×1944ピクセル)固定となる。これはCCDの複数の画素を1つに加算して感度をアップさせる画素混合技術を利用しているためで、処理のため記録に若干時間がかかる。さすがに最高感度ISO3200では、画像はのっぺりして立体感が不足するので常時利用は勧められないが、画質には目をつぶっても被写体の動きを止めて撮影したい場合に力を発揮してくれるだろう。
3つ目は動画モードの際に利用できる、「Movie SR:ムービーシェイクリダクション」だ。この場合も通常撮影時よりも、画像サイズは小さくなる。

ピンボケ写真を防いでくれる、自動追尾 AFと顔認識AF&AE

最近のコンパクトデジカメで急速に広がっている機能と言えば、人の顔を検知して自動でピントや露出を調整してくれる顔認識機能だ。Optio A シリーズでも「顔認識AF&AE」として、前モデルの Optio A20 から搭載されている。
Optio A30 で「顔認識AF&AE」が利用できるのは、撮影モードの [ポートレート/キッズ] モードで、カメラを人物に向けると、顔に黄色い枠が表示される。少しくらい人が動いたりカメラの構図を変えたとしても顔の位置を追随してくれる。2、3人の複数の顔や、カメラを縦位置に構えたときでも利用できた。
「顔認識AF&AE」は [ポートレート/キッズ] モードで利用可能で、自動で最適なモードを選択してくれる [オートピクチャー] モードでは、ポートレートモードが選択された場合に作動する。
それ以外のモードでは、5点マルチ、スポット、自動追尾のいずれかを設定することになる。その他のモードでも人物を撮影することはあるので、利用可能なモードを広げても良いと思う。というよりは、利用可能なモードが限定されていることを意識しなければならないのは面倒だ。

[ポートレート/キッズ] モードで、[キッズ] を選んでいる場合と、[スポーツ][ペット] モードでは、自動追尾 AF も利用できる。自動追尾 AF はシャッターボタンを半押しにしてピントを合わせ、フォーカスロックすると被写体が動いてもフォーカスエリアが追尾してピントを合わせ続けてくれる機能だ。自動追尾 AF は顔に限らず、被写体を追い続けるので、人間以外のペットなどの動物や移動する物の撮影にも対応できる。自動追尾 AF は、上記以外の撮影モードでも AF 設定を変更すれば利用可能だ。

撮影サンプル

[遠景モード]
シャッタースピード 1/125秒、F8。
[ペットモード:猫グレー]
シャッタースピード 1/20秒、F2.8。
[料理モード]
シャッタースピード 1/30秒、F2.8。

色調変更やフレーム合成など、豊富な画像編集が楽しめる再生モード

再生モードではズームレバーの操作により、拡大・縮小、1枚、9枚マルチ、撮影日ごとのカレンダー表示が可能だ。これら操作のレスポンスは、キビキビしていてストレスがない。しかし、 縦位置で撮影した画像は回転されることなく、そのままの方向で表示されるのは少し不便だ。特に Optio A30 は、次に説明する編集機能が充実しているので、方向を自動で識別してくれる方が、後々の閲覧や編集はやりやすいだろう。
再生モードで、[MODE] ボタンを押すと再生モードパレットが表示され、スライドショー、画像の拡大・縮小、トリミング(カット)、などが行える。再生モードパレットでも、それぞれの機能の説明が参照できて判りやすい。
編集後の画像は編集前の画像とは別の画像として保存することができるので、失敗を恐れずに試すことができる。

Optio シリーズでは定番のフレーム合成も健在で、あらかじめ用意されている3種類のフレームと撮影済みの画像を合成することができる。実はフレーム合成は再生モードだけでなく、撮影時にも利用できるのでバランス良くフレーム内へ納めたいときには撮影時に利用すると良いだろう。

PENTAX のWeb サイトでは、Optio A30 で利用可能なフレーム画像のダウンロードも可能だ。ダウンロードにはパソコンが必要で、SDメモリーカードを経由してカメラ本体に読み込む。カメラ本体に登録できるフレームは3種類までで、ダウンロードしたフレームを利用したいときは先のデータを置き換えることになる。

約100分でフル充電が可能なチャージャーが付属、撮影枚数約150枚はもう一歩

Optio A30 には、薄型の専用バッテリー D-LI8 を使用する。充電は付属する専用のバッテリーチャージャーを使い、約100分でフル充電が可能だ。Optio A30 は画素数が1000万画素と大きいため、フル充電された状態でも撮影枚数は約150枚(※CIPA規格準拠)に留まる。高画素かバッテリー寿命を望むかは意見が分かれるところだが、少し物足りない枚数だ。
本体側面には USB/AV 端子、DC端子が用意されている。パッケージには、専用のUSB対応AVケーブルが付属しているので、テレビに繋いでスライドショーなどを楽しむこともできる。
オプションでは遠隔撮影が可能な、リモートコントロールもラインナップされており、これが決め手で Optio A30 を購入するユーザーも少なくないようだ。
本体の他に、USBケーブル、バッテリー、ACアダプター、ACコード、AVケーブル(USB)、ストラップ、ソフトウェア、PC接続ガイド、説明書が付属する。
※CIPA規格:カメラ映像機器工業会(Camera & Imaging Products Association)が定める電池寿命測定方法についての統一規格。

総論:必須機能を備え、安心して使える高画質デジカメ

Optio A30 の特長を見てきたが、こうしてみると前モデルである Optio A20 と比較してもさほど大きな変化はなく、有効1000万画素やCCDシフト機構による手ぶれ防止、顔認識AF&AE も 、すでに搭載されていたものばかりで、地味なアップデートに感じられる。

しかし見方を変えれば、Optio A30 では現在のコンパクトデジカメに望まれる機能は、すでに揃っているともいえる。CCDシフト機能の精度向上や画質向上を図ったインテリジェントズーム、液晶モニターの輝度をアップさせるLCDブースターの搭載など、確かに地味ではあるが確実に使い勝手は向上している。小さいところの不満点を置き去りにせずに、ちゃんと解決しているところは好感が感じられるところだ。

また、本体デザインは過去のOptio A シリーズと比較しても、落ち着きがあり有効1000万画素を持つハイエンドらしさも感じられるようになり、モノとしての満足度もアップしている。コンパクトデジカメは常に持ち歩くことが想定されるため、見た目の質の高さも重要だ。

Optio A30 は派手な謳い文句が無く、常にデジタルの先端技術を求めるようなヘビーユーザーには物足りなく感じかもしれないが、現段階で必須と思われる機能を搭載しつつ、高画質な撮影がキチンとできるコンパクトデジカメといえる。

H-lab:山地啓之)
ペンタックス [http://www.pentax.co.jp/]
Optio A30
価格:オープンプライス 最新価格を調べる >>
発売日:2007年3月15日
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