ペンタックス Optio I-10 レビュー

ペットの顔も検出・自動撮影できる、進化した顔検出機能

人物の顔を自動的に検出する顔検出機能は、今のデジタルカメラではごく当たり前の機能となったが、I-10では新たに犬や猫の顔検出にも対応する。
撮影モードの中から「ペットモード」を選択すると、あらかじめ検出したいペットの顔を登録できる。ファインダーには枠が表示されるので、登録したいペットの顔に枠を合わせ顔を検出すると自動撮影され、登録することができる。登録されたペットの顔はファインダーの左上に常時表示され、最大3匹までの登録が可能だ。そして必要に応じて、撮影(検出)したいペットを切り替えて対応することができる。実際に猫で試したところ、顔の検出は精度が高くカメラを猫に向けて顔が正面に向き、ここぞというところでシャッターが切られた。ペットの顔を登録する場合は、できる限り正面向きで、それなりに大きなサイズで登録すると検出も正確に行われるようだ。ただ、猫の動きが速すぎるとペットモードでも撮影のタイミングを逃すことがあるので、ある程度ペットが平常心の時の方が撮影がうまくいく。また今回は一匹の猫のみで試したので、模様が似ていたり種別が違ったりした場合でも、正確に識別できるかまでは試せていない。
その他、顔検出に関連する機能としては、人物の最大顔検出数は32人で、笑顔を検出して自動撮影を行う「スマイルキャッチ」機能、撮影時の目つぶりを検出する「まばたき検出」などユニークな機能も搭載する。

コンパクトサイズながらも、ハイビジョン動画撮影に対応

最近のコンパクトデジタルカメラのトレンドのひとつに、ハイビジョン画質による動画撮影機能がある。ファイル形式や画質などは様々だが、I-10では画像サイズ1280×720ドット、AVI形式での記録に対応する。
動画のフレームレートは30fpsと15fpsの2種類が用意されており、1秒あたり30コマで表現される30fpsは動きがスムーズで、15fpsならスームズさはやや劣るがファイル容量を節約できる。実際に撮影したサンプルを後に載せているので参照して欲しいが、白飛びや色のにじみなどが見られ、印象としてはもうひとつといったところだ。このクラスのコンパクトデジカメでは多くは望めないが、YouTubeなど画像共有サービスに投稿するなど、用途を選べば充分楽しむことができるだろう。
また、動画編集として、動画のオープニングに静止画をタイトルイメージとして挿入することができる。静止画にはフレームデザインの合成や簡単なタイトル文字の合成もできるので、見せることを意識した動画の活用が可能だ。

撮影サンプル

シーンモード [風景]
シャッタースピード 1/800秒、F3.5、ISO80。

オートピクチャー
シャッタースピード 1/50秒、F3.5、ISO80。
オートピクチャー
シャッタースピード 1/50秒、F3.5、ISO125。

オートピクチャー
シャッタースピード 1/320秒、F3.5、ISO80。

オートピクチャー
シャッタースピード 1/50秒、F3.5、ISO400。
オートピクチャー
シャッタースピード 1/50秒、F3.5、ISO250。

オートピクチャー
シャッタースピード 1/50秒、F4.6、ISO80。

オートピクチャー
シャッタースピード 1/60秒、F3.5、ISO80。
オートピクチャー
シャッタースピード 1/50秒、F3.5、ISO100。
ムービー サンプル(AVI形式)
   
ハイビジョンムービー(30fps)
画像サイズ 1280×720(ファイルサイズ:58.5MB)
※動画再生環境に関する質問にはお答えできません。

味のある色合いにアレンジできる「デジタルフィルター」機能

ペンタックスのデジタルカメラでは画像編集機能が充実しているのが特長で、I-10でも幅広いアレンジが可能だ。撮影モードでも利用できるフレーム合成が編集モードでも利用可能なほか、顔検出機能を利用して顔を小さく変形する「小顔フィルター」など独自のユニークな機能を備える。
また、色調補正を施すことにより、独特の風合いを与えることができる「デジタルフィルター」も面白い。女性の中には高画質が進んだデジタルカメラよりも、敢えて画質が劣るトイカメラやフィルムカメラを利用するユーザーもいる。そんな色の偏りがあるなど、味のある写真へのアレンジが「デジタルフィルター」で手軽に行える。被写体によっては効果が判りづらかったり、適用具合が小さくなってしまうケースもあるので、明暗・色合いが異なる被写体で試してみると良いだろう。

オリジナル

デジタルフィルター:白黒

デジタルフィルター:セピア

デジタルフィルター:トイカメラ

デジタルフィルター:レトロ(余白付き)

デジタルフィルター:カラー

デジタルフィルター:色抽出

デジタルフィルター:色強調

デジタルフィルター:ハイコントラスト

デジタルフィルター:トゥインクル

デジタルフィルター:ソフト

デジタルフィルター:明るさ

約120分でフル充電、約250枚の撮影が可能

バッテリーは専用リチウムイオン充電池D-LI92を使用する。付属のバッテリーチャージャーK-BC92Jを使い、約120分でフル充電が可能だ。フル充電での撮影可能枚数は、約250枚(※CIPA規格準拠)となっている。
※CIPA規格:カメラ映像機器工業会(Camera & Imaging Products Association)が定める電池寿命測定方法についての統一規格。

総論:個性的でオシャレなデジカメを求める女性にオススメ

シーン自動判別や顔検出機能などコンパクトデジタルカメラでは、新しく登場した機能が一気に広がることが多く、個々に差別化を図りにくい状況にある。いま市場に出回っているどのデジタルカメラを選んでも、機能的には大きな不満を感じることはないだろう。だが、逆にいうとユーザーが選択する決め手が見つかりにくい状態ともいえる。

そんな状況において、デザインで差別化を図ったのがI-10だ。これまでコンパクトデジタルカメラは、どちらかというと「クール」「シャープ」という言葉に象徴されるようなデザインが多く、I-10ほどクラシックな雰囲気を全体に取り入れたものはほとんど無かった。I-10と同時に発表されたH90もデザイン的な方向性は異なるが、個性的でデザイン性を全面に押し出したラインアップだ。

その反面、I-10はかなり方向を絞ったデザインで、好みは分かれるだろう。ただ、コンパクトデジタルカメラは飽和状態でもあるので、マスマーケットを狙っていくよりもデザインに共感してくれるニッチなユーザーを取り込んでいくのも1つの方向性としてはアリだと思う。個人的にはデザイン重視のモデルをシリーズ化して、持っているだけで楽しくなるようなユニークなデジカメとして続いて欲しい。

I-10は機能的、画質的には大きな不満を感じるところもなく、カジュアルなデジカメとして日常持ち歩くのが楽しくなるデジカメだ。人とはちょっと違うオシャレなデジカメを探している、特に女性にオススメする。もちろん男性でもOK。

H-lab:山地啓之)
 ペンタックス [ http://www.pentax.jp/ ]
 Optio I-10
 価格:オープンプライス 最新価格を調べる >>
 発売日:2010年2月25日
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