子供やペットの撮影に便利な、自動追尾AF

[スポーツ] [ペット] モードを選択した際には、自動追尾AFが働く。これは被写体に半押しでフォーカスロックした後に被写体が移動しても、追いかけてピントを合わせ続ける機能で動きを予想しづらい子供や動物の撮影に向いている。
実際に試してみると被写体の周囲がゴチャゴチャしているとピントが合いづらいこともあったが、かなりの確率で追いかけてくれる。歩き回る場合はもちろん、ふいに動いてしまうペットの撮影では、鼻先に合ったピントが顔を左右に動くようなわずかな移動でも追尾してくれて便利だった。
ちなみにこれはあくまでもピントを合わせ続ける機能であって、手ぶれや被写体ぶれを防いでくれるものではない。

※写真はイメージ
さらに [ペット] モードでは、ペットの毛色に合わせて白・黒・中間色のイヌ・ネコ設定が用意されている。デジカメでは白や黒の被写体がグレーぽくなってしまうことがあるが、白は白く、黒は黒くなるように明暗を補正してくれる。ちなみにイヌ・ネコのアイコンが用意されているが結果に変化はない。

ビジネスに利用できる「テキスト」、撮影がより楽しくなる「フレーム合成」

[テキスト] モードはメモ代わりに書類などを撮影するユニークなモードだ。通常よりも文字がハッキリと写せるようにネガ反転、モノクロ、モノクロ反転など明暗の状態を変更して撮影することができる。
[キャンドルライト] モードでは、その名の通りローソクの明かりでも撮影できるモードで、ISO感度を800までアップすることができる。オートもしくはマニュアルでアップすることが可能で、ISO感度が上がるためノイズが多くなるが、ローソクの明かりでも手持ちでの撮影が可能だった。この場合は画像サイズが300万画素に固定となる。 下にサンプル写真を掲載しているので見て欲しい。
[フレーム合成] モードでは、撮影時に飾り枠を付けることができる。本体に内蔵されているフレームは3種類だけで、ペンタックスのサイトからダウンロードしたフレーム画像を利用することもできる。撮影時には合成される時間として記録に3〜4秒ほど必要だ。こちらも画像サイズが300万画素に固定となるが、L判サイズのプリントに耐えられるので充分だろう。
フレームの合成は撮影時のみで、撮影後の画像に後から合成することはできない。

手ぶれ・被写体ぶれを補正するMPEG-4動画撮影

Optio S6 では、圧縮効率に優れたDivXのMPEG-4フォーマットでの動画撮影が可能になった。動画撮影時には手ぶれ補正が機能する。もちろんデジカメでムービーを撮るユーザーも多いと思うが、できれば静止画撮影での手ぶれ補正機能の搭載を先に実現して欲しい。

画質に不満はないが、色鮮やかで高精細であるがゆえに悩ましい液晶モニター

Optio S6 は最高で600万画素での撮影が可能だ。特にマクロやテキストモードのような細かい物の撮影においても画質に不満を感じることはないだろう。日常的な撮影はもちろん、お気に入り写真を拡大しても十分耐えられる品質を持っている。

気になる点として直射日光や順光の環境では問題ないが、太陽が少し雲に隠れたり日陰の状態では若干ノイズが発生することがあり、輪郭の描写や立体感が不足することがある。明暗の差がある物が隣り合っていると、逆にシャープネスがかかったように輪郭が強調されることもあった。

あと気になったのは撮影時に液晶モニターで見た状態と、画像データの仕上がりで明暗に差がかなりあったことだ。液晶モニター(輝度はノーマルに設定)で適正と思ってシャッターを切ると、実際の画像はアンダー気味に仕上がっていることが屋外でよくあった。色鮮やかで高精細な液晶モニターは有り難いが、実際に記録される以上に美しく見えてしまうのは悩ましい状況だ。もちろん、設定で液晶の明暗を調整することもできるが、液晶モニターは撮影時に露出補正などの判断基準となるので、初期設定でももう少し実データに近い状態で表示して欲しい。
[遠景モード]
シャッタースピード 1/500秒、F4.3。全体的にザラッとしたノイズが感じられ、液晶モニターでは適正に見えたが、画像はアンダーな印象となった。
[ペットモード]
シャッタースピード 1/25秒、F2.7。色や明るさは柔らかくいい感じだが、影の部分にノイズが見られ、毛の立体感がもう少し欲しい。
[キャンドルライトモード]
シャッタースピード 1/10秒、F2.7、ISO800。増感によるノイズは仕方がないが、手持ちでもブレることなく撮影することができた。
再生モードで、[MODE] ボタンを押すとスライドショー、画像編集などを利用することができる。画像の拡大・縮小、トリミング(カット)、絵画処理、明暗の調整、動画の編集、赤目補正、本体内蔵メモリーカードとSDメモリーカード間の画像コピーもここで行う。
スライドショーでは画像が切り替わる際のエフェクトや効果音の設定ができる。
画像編集で色や明暗を変更した場合、保存時には「上書き」もしくは「新規保存」を選択できる。再生モードでもフレーム合成もできれば、色変更や絵画処理なとと組み合わせて面白い効果が得られると思う。

約100分でフル充電が可能なバッテリーチャージャーが付属

Optio S6 には、約100分でフル充電可能なバッテリーチャージャーが付属する。チャージャー本体にはACコードを繋ぐ必要があり、持ち歩きにはかさばってしまう。できればコンセントに直接差せるタイプを採用して欲しい。バッテリーは、フル充電で約130枚(CIPA準拠※)撮影が可能だ。

USB/AV端子(左)とDC端子(右)
本体側面のカバーを開けると、メモリーカード、バッテリー挿入の隣に、USB/AV端子、DC端子が用意されている。パッケージには、USB対応AVケーブルも付属する。
本体底面には三脚用の穴がある。この穴がプラスチック製なのが気になる。このクラスのデジカメでは珍しくはないし、硬質プラスチックを使っていると思われるが、三脚の取り付けはラフにやってしまうこともあるので、長く使ってネジ山が潰れたりしないか心配してしまう。
本体の他に、USBケーブル、バッテリー、バッテリーチャージャー、ACコード、AVケーブル(USB)、ストラップ、ソフトウェア、PC接続ガイド、説明書が付属する。
※CIPA規格:カメラ映像機器工業会(Camera & Imaging Products Association)が定める電池寿命測定方法についての統一規格。

総論:サッと取り出せる、少しでも小さく高画素なデジカメを求めるならオススメ

今回のモデルチェンジは有効600万画素CCD、高精細な2.5型液晶モニターの搭載など、今のデジカメ市場の流れを汲んだ順当なバージョンアップといえる。コンパクトなボディを維持しつつ、モードパレットを利用しながら操作性を落としていないのは立派だ。Optio S シリーズの大きな特長であるコンパクトさへのこだわりが伺える。

だが、その大きなアドバンテージであるはずのコンパクトボディも、他社から発売されるデジカメも追いつきつつある状況にある。確かに Optio S6 はミリ単位で優位性を保ってはいるものの、数ミリの差で大きな他社のデジカメでもすでに充分小さい。場合によってはさらに大きな液晶モニターを搭載した「薄さ」の方がインパクトを感じる状況でもある。
元々持ってい長所が長所とならなくなりつつあるなかで、他社と比較した場合にバッテリー寿命など積み残した荷物が気になってくる。付属するバッテリーチャージャーもカメラ本体のサイズが小さいのに、ACコードが必要でかさばってしまう。次のモデルチェンジでは、なんらかの対応を期待したい。

そのようなハード面で気になるところはあるものの、自動追尾AFやモードパレット、ISO感度800への対応など、ユーザーをサポートする機能が充実していて、初心者でも迷いが少なく触りやすい。また、フレーム合成もフレーム画像をダウンロードして利用できるなど、購入後も楽しみの広がりがある。MPEG-4での高画質な動画が撮影できるのも特長だ。

静止画・動画を問わず、日常的に子供やペットを撮りたいときにサッと取り出せて撮影できる、できるだけコンパクトで高画素なデジカメが欲しいユーザーにオススメだ。
H-lab:山地啓之)
ペンタックス [ http://www.pentax.co.jp/ ]
Optio S6
価格:オープンプライス 最新価格を調べる >>
発売日:2005年11月2日
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