リコー Caplio R7 レビュー

広角28mmから望遠200mmの、光学7.1倍ズームを搭載

Caplio R7 は 28mm〜200mm までをカバーする光学7.1倍ズームレンズを搭載している。
このクラスのコンパクトデジタルカメラでは光学3倍ズームが一般的で、最近では4〜5倍までカバーするモデルも登場しているが、奥行き20mm程度のスリムボディで、7.1倍の沈胴式ズームの搭載は驚きだ。
広角28mmにも対応するため、屋内・屋外を問わず幅広い状況で活躍してくれるだろう。

[光学1倍:28mm 相当]

[光学7.1倍:200mm 相当]

[オートリサイズズーム:1010mm 相当]
さらに画像の中央部分を切り抜く、疑似ズーム機能「オートリサイズズーム」で5.1倍、光学ズームとの併用で 1010mm 相当となる最大36.2倍まで対応する。最大倍率では画像サイズが640×480ピクセルになるので、ブログ掲載なら充分利用できる。
起動時同様にズーム操作時の駆動音は大きく、ズームアップ・ダウンともにジリジリと音がする。静かにしなければならない場所など、状況によっては少し気を遣いそうだ。
また、ズームスピードを変更することが可能で、高速・低速ズームのほか、7つの焦点距離で段階的に一旦停止する [ステップズーム] が設定できる。高速ズームはその名の通り高速にズーミングされるので、思ったところで静止するには慣れが必要だ。できれば高速・低速を織り交ぜて、レバーの動き具合で速度が可変するようにして欲しかった。
高速・低速のどちらでも、駆動音にほとんど変化はない。高速だが駆動音が大きい高速ズーム、低速だが静かな低速ズームというような違いがあれば有り難かった。

レンズシフト式手ぶれ補正、最高感度 ISO1600でブレを防ぐ

Caplio R7 は手ぶれへの対応として、CCDシフト方式による手ぶれ補正機能を搭載している。CCDシフト方式は、ぶれが起きるとカメラ本体内部のセンサーがぶれ幅を感知し、それに応じてCCDが水平・垂直方向に高速で移動することによって、ぶれ幅を相殺する機能だ。CCDシフト方式は画質に影響を与えずに撮影することが可能で、撮影時にCCD移動する感覚も全くない。

手ぶれを防ぐ方法としては、[スローシャッター速度制限] もある。1/8秒、1/4秒、1/2秒から設定可能で、シャッタースピードが遅くなるのを制限して手ぶれを防ぐことができる。ただし状況によっては暗い写真になってしまうこともあるので、注意が必要だ。

最高感度 ISO1600 での撮影。
被写体ぶれには、最高感度 ISO 1600 までの高感度撮影で対応する。Caplio R7 でマニュアル設定できる感度は ISO64、100、200、400、800、1600 で、さらに自動で感度を判断する [AUTO] と [AUTO-HI] がある。
[AUTO-HI] は ISO感度の上限を、[AUTO] よりも高感度よりの ISO400〜1600 の範囲で自動設定される。通常は [AUTO] で、動きが激しい子供やペットなどの撮影には [AUTO-HI] を利用すれば、被写体ぶれによる失敗写真も少なくなるだろう。高感度撮影ではノイズが伴うので、その点は踏まえておこう。
Caplio R7 には画像処理エンジン「Smooth Imaging Engine III(スムースイメージングエンジンIII)」が搭載され、高感度ノイズが抑えられている。
また、最大サイズの 3264×2448 ピクセルで撮影したものを、パソコン上で画像編集ソフトを使って 640×480 ピクセル、320×240 ピクセル程度に縮小すれば、ノイズはほとんど気にならないレベルに抑えられるので、ブログ掲載などには充分利用することができる。

1cmマクロやフォーカスフレームの移動など、充実のマクロ機能

Caplio R7はマクロ撮影の機能も充実している。
まず、広角側では最短1cmまで寄ることができる「1cmマクロ」を搭載する。これは幅2cmの被写体を、画面一杯まで近づくことができる。
また「25cmマクロ」にも対応しており、望遠側でマクロを利用することで、広角による歪みを起こさず、背景をぼかした撮影もできる。
さらに、シーンモードでは画面中央部分を拡大してマクロ効果が得られる、[ズームマクロ] も利用できる。
マクロモードで ADJ. ボタンを押すと、フォーカスフレームを上下左右に移動させることができる「AFターゲット」機能がある。
ピントの位置を任意に移動させることで、印象の異なる写真を撮影したり、構図にこだわった撮影が可能だ。

最大4人までの顔検出に対応する、フェイスモード

Caplio R7 には顔検出機能として、フェイスモードを搭載している。
これはシーンモードのひとつ、[フェイスモード] を選んでいる時に利用可能で、人物にカメラを向けると顔を検出して、青い枠が表示される。シャッターボタンを半押しするとピント合わせ、露出、ホワイトバランスを最適な状態に調整され枠が緑に変化、さらにシャッターを押しきって撮影となる。Caplio R7 では、最大で4人までの顔検出に対応する。
検出には少し時間がかかることもあり、他社のデジカメを触った経験上この状況なら検出できるか、と思われる状況でも待たされることがあった。
フェイスモードは顔検出が働くモードとして判りやすいが、人物や風景など被写体が変わるたびに他のモードを切り替えるのは面倒に感じる。フォーカス方式を変えるような形でモードの違いに関係なく、常に顔検出が利用可能で検出されなければ、9箇所のAFエリアから測距されるマルチAFに切り替わるような柔軟さが欲しい。
その他の撮影機能として、露出を段階的に変化しながら3枚撮影する「オートブラケット」、ノーマル・赤味・青味の3枚を撮影する「ホワイトバランスブラケット」、白黒、カラー、セピ
アの3枚を自動撮影する「カラーブラケット」があり、シャープネスや色の濃さなどを調整しながら撮影することもできる。
さらにオリジナルの画像サイズに、もうひとつサイズが異なるサブファイルとして同時に記録できる「デュアルサイズ記録」機能がある。選べるサイズは 1280、640、480、320ピクセルで、シールプリント用、ブログ掲載用とサイズを変えながら2枚撮影したり、縮小する手間が省ける。
他にも夜景の撮影に最適な、最大8秒までの長時間露光など機能が充実している。

撮影サンプル

シーン [遠景モード]
シャッタースピード 1/380秒、F5.0、ISO100。

マニュアル [マクロモード]
シャッタースピード 1/75秒、F3.6、ISO100。
マニュアル [マクロモード]
シャッタースピード 1/8秒、F3.3、ISO100。

明るさ、色調整が可能な再生モード

再生モードでは、画像1枚表示からズームレバーの操作で、前後画像を含む3枚表示、12枚マルチ表示が可能だ。
画像1枚表示で、方向キーの上下を押すと、前後10枚の画像をスキップ表示することができる。
撮影画像を日付ごとにカレンダー表示したり、フォルダに分類する機能はなく、スライドショーも基本的な再生方法にとどまる。

再生モードでは画像の回転、サイズ変更のほか、階調補正で明度の調整、色調補正で色味の調整が可能だ。
パソコンへの取り込みが前提であれば画像編集ソフトも利用できるので、Caplio R7 本体で補正する必要はないが、ダイレクトプリンターや店頭のプリントマシンで直接プリントする場合に便利だろう。
これら変換後の画像は、元画像とは別に保存される。

オリジナル

[階調補正] で明度をアップ

[色調補正] で赤味をアップ

薄型バッテリーで、長寿命約300枚の撮影を実現

Caplio R7 は付属のバッテリー DB-70 とバッテリーチャージャーを使って約100分でフル充電が可能、約300枚(CIPA準拠※)の撮影ができる。 見た目には高容量を感じさせない薄型バッテリーの DB-70 だが、本体側の電源設計も優秀なのだろう。
撮影枚数は前モデルの Caplio R6 から、わずかに10枚ダウンしているが、画素数が724万画素から815万画素にアップを踏まえれば、僅かな差に抑えられている。
付属するバッテリーチャージャー BJ-7 は、コンセント直結のコンパクトさで外出時の携帯でも扱いやすい。
本体の他に、USBケーブル、バッテリー、バッテリーチャージャー、AVケーブル、ストラップ、ソフトウェア、説明書が付属する。
※CIPA規格:カメラ映像機器工業会(Camera & Imaging Products Association)が定める電池寿命測定方法についての統一規格。

総論:まさに全部入り、使い込めるデジカメを求めるならオススメ

はじめにも書いたようにリコーのデジタルカメラのラインナップは限られており、一般向けとなるスタンダードシリーズは Caplio R7 のみだ。今は新旧モデルの入れ替わりで、旧モデルのCaplio R6 も入手できるかもしれないが、基本的にスタンダードシリーズは Caplio R7のみと考えて良いだろう。ということは、一般向けコンパクトデジタルカメラとしてのニーズを Caplio R7 1台で担うことになる。

その点では非常に意欲的で、主な機能だけでも広角28mm、光学7.1倍ズーム、手ぶれ補正、高感度ISO、顔検出と、今のデジタルカメラに望まれる機能の全てを網羅している。いま市場に出回っているデジタルカメラの細かな機能も含めて表に書きだしてみると、Caplio R7 の表はかなり長いものができあがるだろう。

それら機能的には充実度が高い Caplio R7 だが、使ってみると「おや?」と感じるところもある。
それは起動時とレンズ駆動音の大きさやボタンのサイズ、似たような働きをする ADJ. ボタンと方向キーが存在するややこしさで、使い勝手や操作性の面で不満を感じる。

例えば、1日の撮影でも全ての撮影機能を利用することはほとんどなく、多少の不満があっても気にならないが、キーやボタンの操作、ズームの駆動などは毎回必ず触れる部分で、ちょっとしたことでも気になりやすい。操作性に優れたADJ. ボタンを搭載しているものの、どこまでの操作で利用できるのか曖昧で、その利点も発揮し切れていないように思う。このあたりを合理的に、わかりやすくまとめていくことができれば、全体の完成度はさらにアップするだろう。

これら不満な点はあるものの内容は盛り沢山で、まさに「全部入り」と言っても過言ではない。
反面、初心者や入門者に対してのガイド機能など、親しみやすさへのアプローチは少なく、豊富な機能を把握できる、ある程度デジタルカメラがわかったユーザーの方が、Caplio R7 への満足度は高いかもしれない。もしくは初心者脱出として、使い込めるデジカメを求めるならオススメだ。
H-lab:山地啓之)
 リコー [ http://www.ricoh.co.jp/ ]
 Caplio R7
 価格:オープンプライス 最新価格を調べる >>
 発売日:2007年9月14日
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