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撮影モードの切替はあらたに追加された上部のモードダイヤルで行い、オート撮影モード、マイセッティングモード、ムービーモード、シーンモードが利用できる。
様々なシチュエーションに最適な設定で撮影できるシーンモードは、[ポートレート] [フェイス] [スポーツ] [遠景] [夜景] [高感度] [ズームマクロ] [白黒] [セピア] [斜め補正] [文字] の11種類が用意されており、前モデルから変化はない。
しかし、実際にはこれらとは別に [MENU] ボタンを押すと表示されるメニュー画面で、露出やホワイトバランスを変化させて連続撮影する [オートブラケット] や、色の濃度を変えて撮影できるモードもあり、幅広い撮影ができる。
本当は利用できる撮影モードが多いのに分散されているため、シーンモード数が少ない印象を与えてしまい損をしているように感じた。使い勝手を考えると、これらもシーンモードに含めても良いのではないだろうか。 |
[オートブラケットモード] |
また、いま使っている撮影の設定を自分好みの設定として、2つまで登録できる「マイセッティングモード」が用意されている。撮影の設定が幅広く行える R8 では、重宝しそうな機能だ。
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さらに、フェイスモードでは顔検出機能が働く。
フェイスモードで人物にカメラを向けると顔を検出、青い枠が表示される。シャッターボタンを半押しするとピント合わせ、露出、ホワイトバランスを最適な状態に調整され枠が緑に変化、さらにシャッターを押しきって撮影となる。R8 では、最大で4人までの顔検出に対応する。 |
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また、先ほどのシーンモードでは画面中央部分を拡大してマクロ効果が得られる、[ズームマクロ] も利用できる。
マクロ撮影時に有効な機能としては、新たに「最小絞り固定」が追加された。これは絞り値を固定することで、背景がぼけやすいマクロ撮影でも背景をクッキリさせることができる。シーンモードの場合は [ズームマクロ] [斜め補正] のみ、最小絞り固定を設定することができる。 |
前モデルではマクロ撮影時に限ってフォーカスフレームの移動が可能だったが、R8 では通常撮影でもオートフォーカス(スポットAF)に加え、自動露出(スポットAE)の移動にも対応した。
撮影モードで ADJ. ボタンを押して、ターゲットを AE、AF、AE/AF のいずれかに設定すると、画面上の十字カーソルが移動できるようになり、好きな場所へフォーカス、露出ターゲットを移動することができる。例えばカメラを三脚に固定し構図を保ったまま、フォーカス位置や露出位置を変えながら撮影したいときに便利だ。
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被写体ぶれには、最高感度 ISO 1600 までの高感度撮影が可能だ。 ISO 感度はマニュアル設定のほか、自動で感度を判断する [AUTO] と、上限を高感度よりで自動設定する [AUTO-HI] がある。
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まず [ホワイトバランス補正] では、元画像が左上に表示され、左下には補正マップが表示される。補正マップは上下左右方向に色が変化するグラフで、各方向はグリーン、アンバー、マゼンダ、ブルーになっている。そして中央にあるポイントを ADJ. ボタンの操作により、移動させることで画像の色味を変化させることができる。変化の状況はリアルタイムにプレビューできるので、左上の元画像と比較しながら確認がしやすい。
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[レベル補正] も同様に左下に明暗の分布を表すヒストグラムが表示され、シャドウ、ハイライト、中間調を切り替えながら ADJ. ボタンの操作により調整ができる。レベル補正はオートによる補正も可能だ。
これら補正機能は ADJ. ボタンを使うことで操作しやすいが、思った通りの色調に整えるには若干の知識や慣れが必要だ。そのため可能であれば操作のポイントを参照できるガイドのような解説機能があっても良いと思う。 |
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R8 に付属するバッテリー DB-70 は、付属のバッテリーチャージャーを使って約100分でフル充電が可能だ。フル充電では、約270枚(CIPA準拠※)の撮影ができる。
R8 では画素数アップの影響か、前モデルから約30枚ダウンしているが、日常的な利用では問題ない枚数だ。
付属するバッテリーチャージャー BJ-7 は、コンセント直結のコンパクトさで外出時の携帯でも扱いやすい。
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本体の他に、USBケーブル、バッテリー、バッテリーチャージャー、AVケーブル、ストラップ、ソフトウェア、説明書が付属する。 |
※CIPA規格:カメラ映像機器工業会(Camera & Imaging
Products Association)が定める電池寿命測定方法についての統一規格。
R8 の特徴的な機能を中心に見てきたが、以前にレビューした前モデル Caplio R7 で気になっていた、起動時やズーム操作時の駆動音や ADJ. キーの機能拡張など、多くの部分が修正されている。これらはユーザーからのフィードバックによるものと思われ、次のモデルでちゃんと改善してゆくユーザー目線に立ったモノ作りの姿勢がうかがえる。
今回のモデルチェンジで目を引くのは、一新されたボディデザインだ。デジカメらしくなく、道具としてのカメラらしいデザインに、心をくすぐられるユーザーも多いのではないだろうか。
機能面でも「アスペクト比1:1」モードや、高解像度の液晶モニターなど撮影が楽しくなる、他社にはないユニークな機能も数多く搭載されている。
逆に他社のコンパクトデジタルカメラにあって、 R8 に無いのが LUMIX シリーズの「おまかせiA」に代表される、被写体を自動判断して最適なモードを選んでくれるシーン判別機能だ。この春のデジカメ新製品でも採用するモデルが増えており、今後のトレンドとなりそうな機能だ。
しかし、過去の Caplio シリーズや今回の R8 を見ていると、方向性としては「おまかせ」とは逆に、「自分で設定し、撮影する」ことに喜びを感じるコダワリ派向けの機能が多く、R8 を選択するユーザー層にとってシーン判別機能は不要かもしれない。その点では「全部入り」と称されることが多いシリーズだけに、これから搭載する機能のバランスが難しいところだろう。
基本的にはフルオートでも全く問題がないが、カメラにおまかせでOKというよりも、状況や目的に応じて、いろいろな撮影法を試して楽しみたいコダワリユーザーにオススメのデジカメだ。