サンプルから最適な撮影モードが設定できる、「ベストショット」機能

EX-Z500 にはボタンが少なく、撮影モードの切り替えなどは全て液晶モニターに映し出されるメニュー操作で行う。
それが従来の EXILIM シリーズから定評がある「ベストショット」機能だ。背面の [BS] ボタンで呼び出されるベストショットは「風景と人物」「子供」「パーティー」「キャンドルライトで人物を写す」など31種類の撮影モードが用意されている。

一覧ではサンプル写真と撮影のポイントを文章で説明されており、文字は判読するのに十分なサイズがある。ここでも液晶モニターの大きさが発揮されている。女性の横顔や山、花のアイコンなどは親しみがあるが、それら以外のモードではメーカー独自のアイコンの場合もあって見た瞬間に何のモードなのかピンと来ないことも多いので、サンプル写真であれば簡単に選ぶことができるだろう。

また、ホワイトバランスやISO感度、フラッシュモードなどの設定をカスタム登録してオリジナルのベストショットとして加えることもできる。

EX-Z500 では、電源を切っても最後に選択していたモードやホワイトバランスなどの設定を、次回の電源投入時にも記憶させておくことができる「モードメモリー」を搭載している。しかし、初期設定ではオフの状態で撮影設定であらかじめ「モードメモリー」をオンにしておかなければ、電源を切るたびにクリアされてしまう。撮影中にもこのことを知らずに電源を入れるたびに、よく使う同じベストショットを何度も選ぶ操作を繰り返してしまったので、はじめからオンでもよいと思う。

「手ぶれ」と「被写体ぶれ」、ふたつのブレに対応

最近のコンパクトデジカメで標準となりつつある機能に手ぶれ補正があるが、 EX-Z500 では「アンチシェイク DSP」の搭載によって、2つのブレに対応している。
ひとつは撮影時にシャッターボタンを押した際にカメラ本体がぶれてしまう「手ぶれ」、もうひとつは撮影時に人や動物など被写体の方が動いてぶれてしまう「被写体ぶれ」に対応している。
これら2つのブレに対応できるのは、撮影時にISO感度をアップさせているからだ。ISO感度は光量が十分でない環境でも感度をアップすることで速いシャッタースピードでの撮影が可能となり、動いているものでも止まっているように撮影することができるのだ。
EX-Z500 では、撮影設定メニューとベストショットの両方に [ブレ軽減] があり、暗い場所でのブレ防止としてベストショットに [高感度] (最高 ISO 800)が用意されている。
ISO感度を上げてブレを補正する場合には、どうしても画像にざらつきが生じてしまう。EX-Z500 の場合でもブレは無くなっているが、かなりカラーノイズが見られるので画質を優先するなら暗い場所ではストロボを使った方がよいだろう。

画質に大きな不満はないが、ディテールの描写力がもう少し欲しい

撮影中はベストショットからモードを選択した撮影で良好な結果が得られた。夏の日差しが強い状況でもあったため、色鮮やかに仕上がっている。実際の風景よりも若干鮮やかさが強い気もするが、違和感を感じるほどではなく「思い出を色鮮やかに」と受け止めればメリットとして受け止められるレベルだ。

描写力に関しては、細部のディテールの表現がもう少し欲しい。同じ500万画素で 1/2.5 型 CCD を搭載する他社製品と比較した場合に、もう少しがんばれるのではないかと感じさせるところがある。もっともこれも他社と比較したり、コンピュータのモニター上で確認した際に気付くくらいで、L判サイズのプリントでは全く問題はない。

バッテリー消費は、512MBのSDカードへ500万画素で満杯になるまで撮影をしたが、全く不安に感じることはなかった。公称フル充電で約500枚(CIPA準拠)の撮影が可能なので、これまでデジカメを購入するときは予備バッテリーの購入が必須と思っていたが、EX-Z500 ならそれも必要ないだろう。そのぶん出費が抑えられるのは嬉しい。
ベストショット [風景を写す]、シャッタースピード 1/640秒、F4.3。全体的に鮮やかな色調が良好だが、木々や石垣のディテールがもう少し欲しい。 ベストショット [花を写す]、シャッタースピード 1/500秒、F2.7、手ぶれオート。手ぶれ軽減により手持ちでもブレがなく撮影できた。 ベストショット [高感度]、シャッタースピード 1/13秒、F2.7。夏の夕方7時頃に公園で撮影。手持ちにもかかわらずブレはないが、ISO800によるカラーノイズがかなり見られる。

画像転送、充電、スライドショーも可能なクレードルが付属

EX-Z500 への充電は付属するクレードルに載せてカメラ本体内で行う。このクレードルは多機能で、背面にはパソコンと接続するためのUSB端子を備え、乗せた状態で充電とパソコンへの画像転送が行える。USB端子にはプリンターも接続することもできるので、PictBridge と USB DIRECT-PRINT に対応するプリンターと直接繋いでプリントすることも可能だ

さらにクレードルではスライドショーを楽しむこともできる。EX-Z500 単体でもスライドショーは楽しめるが、再生モードでのメニュー操作を数ステップ行う必要がある。それがクレードルなら [PHOTO] ボタンを押すだけでスライドショーが開始される。画像表示の切り替わりは徐々に次の画像が現れるクロスフェードなど3種類のエフェクトを選択できる


[PHOTO} ボタンを押すと、スライドショーがスタートする。
さらにクレードルの背面にあるAV端子に付属のAVケーブルを使ってテレビに繋げば、テレビ画面でもスライドショーを楽しむことができる。
手持ちではなく、クレードルで「設置する」ような状態になるので、 離れたところからスライドショーを操作できるワイヤレスリモコンが欲しいと感じたのだが、贅沢だろうか?

長寿命な EX-Z500 のバッテリーなら、1、2泊の旅行で充電が必要になることはほとんどないと思われる。しかし、海外旅行など長期の外出の時は充電できる準備が必要だろう。その場合はクレードルとACケーブルを持参する必要があるので、かさばって面倒に感じるならオプションで用意されている急速充電器の購入も考えよう。

本体の他に、クレードル、USBケーブル、バッテリー、ACケーブル、AVケーブル、ストラップ、ソフトウェア、説明書が付属する。

総論:真面目なモノづくりが反映された1台

EX-Z500 は本体の質感も高く、いまデジカメを買い換える場合のポイントとなる「手ぶれ」「バッテリー寿命」「液晶モニターサイズ」の3つを平均点以上でクリアしている。これらユーザーが望むものにちゃんと答えてトータルで非常によくまとめられた堅実で真面目なデジカメだと思う。

それは良いところだし確かに大型の液晶モニターもインパクトはあるが、ボディデザインなど見た目にもう少し主張が欲しい気もする。EX-Z500 も従来の EXILIM シリーズに比べると無駄を省いたシンプルなデザインは高級感もあり好感が持てるが、カシオのラインナップを見てもデザイン面でもっと冒険した機種があってもよいのではないか。EX-Z500 はシルバーの他にブラック、ゴールドもラインナップされているものの、カジュアル路線のデジカメも見てみたい。

それは今後の展開に期待するとして、EX-Z500 は機能的な部分で他社と比べて同等、もしくは超えている部分も多く、500万画素クラスへの買い換えを検討しているなら選択肢に入れて、ぜひ店頭で触ってみて欲しい。
H-lab:山地啓之)
カシオ [ http://dc.casio.jp/ ]
EXILIM ZOOM EX-Z500 icon
価格:オープンプライス(44,800円(税込) e-casio >>)
発売日:2005年8月12日

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