画面の中から顔の位置を認識しピントを合わせる「顔認識 AF」

さらにポートレートのアシスト機能には、「顔認識 AF」というのが含まれている。これはカメラを構えた際に画面の中から人の顔の位置を自動認識してピントを合わせる機能だ。認識すると液晶モニターでは、顔の位置に赤い四角い枠が表示され、シャッターを半押しにするとピントが合う機能だ。

試しに「顔認識 AF」を晴天時に屋外で使ってみた。説明書にもあるのだが腰から上の人物撮影では比較的認識がうまくいく。しかし全身をいれると足下や背景の関係のない物を誤認識してしまうこともある。また、デジカメの液晶モニターで顔にピントが合っているように見えても、撮影後にパソコンのモニタ上で確認すると背景にピントが合っているものあった。


※写真はイメージ
また、「顔認識 AF」モードでは常に顔の位置を認識しようとレンズ駆動を繰り返すのでバッテリーの減りも激しいようで、そのまま撮影を続けていると40枚程度撮影したところで、バッテリー警告が表示された。COOLPIX S3 は特に長寿命なバッテリーを採用しているわけではないので、世界初と謳う機能だけにバッテリーを気にしながらの撮影はツラいところだ。
結局はバッテリーが無くなってしまってはカメラとしての意味がないので、「顔認識 AF」は機能としてはユニークだが、補助的なものと思ったほうがよいだろう。

手ぶれ補正はないが、手ぶれ状況をお知らせ

COOLPIX S3 は手ぶれを補正する機能は搭載していないが、手ぶれを起こしやすい状況で液晶モニター上で注意を促してくれたり、手ぶれしてしまった画像を保存するかどうか記録時に訪ねてくる「手ぶれお知らせ」がある。
撮影時に注意するようになるし、手ぶれしてしまった画像でメモリーカードの容量を無駄にしなくて済むが、手ぶれそのものを防いでくれる訳ではないので、できればなんらかの手ぶれ防止機能が欲しいところだ。

赤目や逆光を補正して、最適な撮影結果が得られる編集機能を搭載

COOLPIX S3 には、ほかにも最適な撮影結果が得られる機能が搭載されている。
まず、 赤目軽減の機能として一般的なストロボの本発光前のプリ発光による赤目軽減の他に、本体内部で赤目を認識し自動修正する「アドバンスト赤目軽減」機能を備えている。

さらに、逆光状態で撮影した被写体の暗い部分を明るく補正する「D - ライティング」機能も搭載している。これは再生状態で [OK] ボタンを押すと「D - ライティング」画面に切り替わり、さらに [OK] を押すと暗い部分だけの明るさをアップしてくれる機能だ。
実行後はオリジナルのファイルとは別名のファイルとして自動保存されるので、処理の結果が気に入らなければ削除しても大丈夫だ。

「D - ライティング」機能の実行前(左)と実行後(右)。空の明るい部分はほとんど変化せず、人物だけ明るく補正された。補正の適用具合を調整できないので、画像の状況によっては実行後にノイズが目立ってしまうこともある。
これら人の顔を美しく撮影するための機能である「顔認識 AF」「アドバンスト赤目軽減」「D - ライティング」を、まとめて「フェイスクリアー機能」と呼んでいる。

600万画素としてはまずまずの描写力、色調にクセがある

デジカメの描写力は実際にはレンズ性能など画素数以外の要因も関わってくるが、画素数だけで考えると CCD そのもののサイズも重要だ。COOLPIX S3 に搭載されているCCDサイズは、1/2.5型でこのサイズは400〜500万画素クラスのデジカメで採用されているものと同等だ。
このクラスのデジカメのモデルチェンジでは画素数だけアップするのは良くあることで、COOLPIX S3 も先の S1 、S2 から CCDサイズはそのままで画素数だけアップしているのだが、そのぶん受光する素子のサイズは小さく、受光できる光量が低くなり色の再現性に劣る場合がある。CCDサイズをアップすればコストと本体サイズに影響するのでバランスが難しいところだろう。

旧機種の画像と実際に並べて比較した訳ではないのだが、画素数が増えたことでの描写力としては物足りない部分もある。輪郭が曖昧なところもあり、もう少しクッキリして欲しいところもある。もっとも L判サイズでのプリントやパソコンの画面で楽しむなど日常の使用では全く問題のないレベルなので、目くじらを立てるほどではない。

それと色調に関しては緑に傾くことがあり、風景を撮影した場合に少し日が傾きかけた夕方の時間帯や、ビルの影での撮影ではその傾向が強い。本体の液晶モニターでは気にならない程度でも、パソコンのモニタ上では緑っぽさを強く感じることがあった。また、少し鮮やかさが強調されるように感じられる。
シーンモード [風景]
シャッタースピード 1/140秒、F8.5。色調は少し緑に傾いているように感じられる。周辺では若干の色のにじみが発生している。
シーンモード [クローズアップ]
シャッタースピード 1/9秒、F4.8、+0.7EV、三脚使用。白い花びらの微妙な階調も表現されている。
シーンモード [顔認識 AF]
シャッタースピード 1/50秒、F8.5。このような構図では比較的容易に顔認識ができるようだ。

クレードル、カメラ本体のどちらでも充電できる

COOLPIX S3 には充電とパソコンへの画像転送が可能なクレードル「COOL STATION」が付属する。COOLPIX S3 本体には USB 端子が備わっていないが PictBridge には対応しているので、クレードルに載せて PictBridge 対応のプリンターとUSBケーブルで接続すれば COOLPIX S3 の操作でプリントすることが可能だ。

また、クレードルから付属のAVケーブルでテレビに繋いでスライドショーも楽しめる。

COOLPIX S3 には専用のACケーブルを直接繋げることができる端子が底面に用意されている。旅行などの外出時でも大きくかさばるクレードルを持参しなくても、本体とACケーブルで直接充電できるのは有り難い。

付属のACケーブルを、直接繋げられる専用端子。
説明書は2種類付属し一般的な使用説明書の他に、箱から出して充電、撮影(オート撮影)、パソコンへの転送の手順を簡潔に説明した「簡単操作ガイド」も付属する。
本体の他に、クレードル、USBケーブル、バッテリー、ACケーブル、AVケーブル、ストラップ、ソフトウェア、説明書2冊が付属する。

総論:スタイリッシュなデザインは◎、手ぶれ防止、バッテリー寿命への対応を望む

COOLPIX S3 は、見た目のスタイリッシュな印象や手に持った時の質感もよく、女性を意識した暖かみのあるカラーラインナップは販売店店頭での第一印象もよいと思われる。
機能面でも13種類のシーンモードや理想的な構図での撮影が可能となるアシスト機能など、初心者にも親しみやすいユニークな機能が魅力だ。

もう少しがんばって欲しい部分もいくつかある。それは手ぶれと長寿命バッテリーへの対応だ。COOLPIX S3 でも撮影・記録時に手ぶれ警告が表示されるとしても、手ぶれのない写真が撮れる訳ではない。手動によりISO感度を上げることで手ぶれを防ぐこともできるが、シャッターチャンスの状況で初心者にそこまでの判断は難しいだろう。

バッテリーも公称で約190枚(CIPA準拠※)と、手ぶれ補正機能がないだけに失敗写真が発生することを思えば200枚を下回るのは心許ない数値だ。COOLPIX S3 が特に手ぶれしやすいカメラというわけではないが、手ぶれと長寿命バッテリーは最近ではデジカメ選びのポイントとなっているので、見た目の第一印象がよいだけにがんばって欲しい。
他社ではバッテリーサイズを大きくして長寿命を達成しているが、もしバッテリーサイズを変えたとしても COOLPIX S3 のスタイリッシュな印象の維持を期待したい。とユーザーの要望は身勝手でワガママだが、それだけ現在のデジカメ市場はし烈であることも事実だ。

今持っているデジカメが手ぶれしやすいので買い換えを検討しているユーザーには勧めにくいが、いつも持ち歩くカメラとしてデザインにこだわりたい、状況に応じた最適な写真を簡単に撮りたいユーザーにはオススメできる1台だ。
※CIPA規格:カメラ映像機器工業会(Camera & Imaging Products Association)が定める電池寿命測定方法についての統一規格。
H-lab:山地啓之)
ニコン [ http://www.nikon.co.jp/ ]
COOLPIX S3
価格:オープンプライス
発売日:2005年9月23日

さらに COOLPIX S3 の製品情報へ
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