CCD シフト式手ぶれ補正機構と、最高 SO1600 の高感度撮影でぶれを防ぐ

μ830 は手ぶれ対策として、CCDシフト方式による手ぶれ補正機構を搭載している。
手ぶれ補正のオン・オフは上部の手ぶれ補正ボタンで行う。CCDシフト方式による手ぶれ補正機構は、内蔵されているジャイロセンサーが、シャッターを押した瞬間のぶれ幅を感知して、ぶれと逆方向にCCDを瞬時に移動させて補正する。
オン・オフで撮り比べてみると、オンでシャッターを切った瞬間にモーターの駆動音が、わずかに感じられる程度で、特に何かを意識することはない。

プログラム [スーパーマクロ]
シャッタースピード 1/13秒、F3.3、ISO100
手ぶれ補正:オフ

プログラム [スーパーマクロ]
シャッタースピード 1/13秒、F3.3、ISO100
手ぶれ補正:オン
μ830 は被写体ぶれ対策として、最高感度 ISO1600 まで対応している。ISO感度設定をオートにしていると、ISO400まででの撮影が中心で、高感度オートに設定すると ISO800〜1600 が適用されるようだ。またマニュアル設定でも最高感度ISO16000 を選択することができる。
最高感度 ISO16000に関しては、過去のレビューを参照して欲しい。

光学5倍ズーム、最大25倍のファインズームを搭載

前モデルから引き続き、レンズは光学5倍ズーム(約36〜180ミリ:35ミリ換算)を搭載。
デジタルズームとの併用で画質劣化が伴うが、28倍・約1000ミリまで対応できる。

[光学1倍:36mm(35mmカメラ換算)]

[光学5倍:180mm(35mmカメラ換算)]
また、画像劣化が少ないファインズームも利用可能だ。これは画像の中央部分を切り出す擬似的なズーム機能で、必然的に画像サイズは小さくなってしまうが、最小サイズの [SQ2:640 × 480 ピクセル] の場合で最大25倍まで対応する。 プリントには不向きだが、ブログ掲載なら充分利用できる大きさだ。
設定メニューでファインズームをオンにすると、画像サイズが [SQ1:2560 × 1920 ピクセル] 以下に制限され、デジタルズームとの併用はできない。
ただし、そこまでの倍率で手持ち撮影だと、手ぶれ補正機構でもカバーできないほど激しく手ぶれが起きるので、三脚などで固定する必要がある。

撮影サンプル

シーンプログラム [風景]
シャッタースピード 1/320秒、F5.0、ISO64。

プログラム [マクロ]
シャッタースピード 1/30秒、F3.3、ISO160。
プログラム
シャッタースピード 1/200秒、F3.3、ISO64。

充実の再生・補正・編集機能

μ830 は再生、補正、編集機能が充実している。[かんたん補正] として、[逆光自動調整] [赤目補正] があり、[逆光自動調整] は、先に説明したバックコントロールを撮影後の静止画に適用させることができる補正機能だ。いずれの補正・編集機能も、効果の度合いを調整することはほとんどできず、ワンタッチのお任せとなる。
また、豊富なデザインから選択できる [フレーム合成] 、[明るさ] [鮮やかさ] の調整や写真入りのカレンダーも作ることができる。
さらにユニークな機能として、気に入った画像を持ち歩いていつでも見られるように、内蔵メモリへ登録できる [ポケット写真登録] がある。最大9枚まで登録可能で、起動画面やメニュー画面の背景に設定することもできる。

フル充電に約5時間、撮影枚数50枚ダウンは残念

バッテリーはリチウムイオン充電池 LI-42Bを使用する。付属のバッテリーチャージャーで、フル充電に約5時間(カタログ値)必要だ。フル充電での撮影可能枚数は、前モデルμ780 の約250枚から約200枚(※CIPA規格準拠)へと大幅にダウンしている。画素数アップに伴う電力消費アップの影響と思われるが、撮影枚数が20%も減少しているのは残念。充電時間も含めバッテリー関連は是非とも改善して欲しい。
本体の他に、バッテリー LI-42B、バッテリーチャージャー、ACケーブル、USBケーブル、専用AVケーブル、ストラップ、ソフトウェア「OLYMPUS Master 2」、説明書が付属する。
※CIPA規格:カメラ映像機器工業会(Camera & Imaging Products Association)が定める電池寿命測定方法についての統一規格。

望みうる機能をほぼ備え、派手さはないが満足度は高い一台

μ830 のモデルチェンジのポイントは、有効800万画素へのアップと、従来は顔検出のみだった逆光補正が風景にも対応し「フェイス & バックコントロール」機能として強化された点だ。そのため全体的には、前モデルからのマイナーチェンジといえる。

画素数競争はすでに意味がないと言われつつも、現在のコンパクトカメラ市場の主流は800万画素モデルであり、μ830 の画素数アップは順当といえる。また、最近ではフォトプリンターや画像編集ソフトでも逆光補正への注目度が上がっており、μ830 の「フェイス & バックコントロール」機能の搭載も、それら状況を反映してのことだ。
マイナーチェンジといえども、μ830 は市場の動向を踏まえた堅実なモデルチェンジだ。

さらに手ぶれ補正、高感度ISO、顔検出と、現在のデジタルカメラに望まれる機能は押さえ、ズームや露出、色合いの違いを視覚的に比較できるガイドモードや、フレーム合成、カレンダー作成などユニークな機能も搭載している。μシリーズお馴染みの生活防水も、いざというときに違いが出る嬉しい機能だ。

これら機能的にはかなりの部分で満足できる μ830 だが、気になるのはバッテリー関連だ。
まず、画素数アップに伴って、撮影可能枚数が従来から50枚もダウンしたのは残念。消費電力アップに伴うものだろうが、数値的にはかなり大きい。また、バッテリーのフル充電に約5時間必要で、これは数世代前のモデルから変更がなく、なんとかして欲しい。

もちろんデジタルカメラの使い方は十人十色で、実際のところこれらが決定的なマイナスであるとも言い切れないが、バッテリー関連はカタログ上では見落としがちなので、購入前にチェックが必要だ。

μ830 は、アッと驚くような新たな先進機能はないが、日常使いのコンパクトデジタルカメラとしては、望みうる機能をほぼ備えている。また、ガイドモードのようなサポート機能は、他社でも採用はそれほど多くなく、特に女性ユーザーのような難しいことは良くわからないが、状況や目的に応じた写真をちゃんと撮りたい人たちを、しっかりサポートしてくれるだろう。
H-lab:山地啓之)
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 発売日:2007年9月中旬
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