パナソニック DMC-FX500 レビュー

広角25mm、光学5倍ズーム搭載、EXズームで最大8.9倍まで対応

現在のコンパクトデジタルカメラのトレンドの1つといえば、広角レンズだろう。LUMIXシリーズでも、25〜30mm の広角レンズ採用が広がっており DMC-FX500 は 25mm を搭載、これはDMC-FX35に続いて2モデル目となる。
25mmと28mmでどの程度の画角差があるのか気になるところだが、25mm、28mm、35mm の違いによる画角の差は、DMC-FX35のレビューを参照して欲しい。
[ 光学1倍:25 mm ] [ 光学5倍:125 mm ]
またDMC-FX500では光学5倍ズームも搭載し、広角から望遠まで幅広く対応できるので、画角面で不満を感じることはないだろう。
さらに「EXズーム」も利用できる。一般的なデジタルズームは、画像の中央部分を拡大処理しているため、画像にボケが生じるが、EX光学ズームはズーム部分だけを切り抜くことで記録画素数は小さくなるものの、画質を落とすことなくズームアップ効果が得られる。記録画素数を3Mサイズまで下げることで、8.9倍までのズームが可能だ。
[ EX光学ズーム 8.9倍: 222 mm](3Mサイズ)

光学式手ぶれ補正と、動き認識でぶれを補正するインテリジェント ISO

DMC-FX500 は、手ぶれ対策として光学式手ブレ補正機能(MEGA O.I.S.)を搭載している。レンズ駆動による光学式手ブレ補正は、画質に影響を与えることなく手ぶれを防ぐことができる。

また被写体ぶれ、暗い所での撮影対策として高感度 ISO を採用している。
高感度 ISO による被写体ぶれ補正は、感度アップによるノイズの発生が起きるが、DMC-FX500 では被写体ぶれ補正と画質のバランスを保つ「インテリジェント ISO 感度モード」を搭載している。これはあらかじめ感度の上限を ISO400、800、1600 のいずれかに設定しておくと、設定された感度の範囲内でカメラが被写体の明るさと動きを検知しながら最適な設定を判断する。そのため画質への影響を最小限に抑えることができる。
任意に設定できる ISO感度は最大1600までだが、シーンモード内の [高感度] モードでは、最大6400まで自動設定される。この場合はCCD の隣接するいくつかの受光素子を1つの素子としてまとめて利用するので、記録画素数は 3M(4:3)、2.5M(3:2)、2M(16:9)に限られる。
また手ぶれ軽減への対策としては、[下限シャッター速度] が利用できる。プログラムモードでの利用に限られるが、1/250〜1秒の間でシャッタースピードの下限設定が可能で、これ以上シャッタースピードを下げたくない場合に利用できる。シャッタースピードの下限を設定できることで手ぶれしにくくなるが、光量が不足する環境では暗く撮影されるので注意が必要だ。

撮影サンプル

iA シーンモード [風景]
シャッタースピード 1/800秒、F4.0、ISO100。
iA シーンモード [マクロモード]
シャッタースピード 1/125秒、F2.8、ISO100。
iA シーンモード [オート]
シャッタースピード 1/100秒、F5.2、ISO100。

指先でのタッチズーム、一覧表示のスクロールができる再生モード

再生モードでもモード選択や画像表示切り替えなど、様々な操作でタッチパネルが利用できる。
画像を表示している際、画面左右に表示されている矢印アイコンをタッチすると、画像の切り替えが可能で、矢印アイコンを押し続けると早送り・逆戻りできる。
また画像の特定の位置をタッチすると、最大16倍まで拡大表示することができる「タッチズーム」が利用できる。拡大表示中に指先でドラッグすると、画像の見ている範囲を移動することもできる。
またマルチ表示やカレンダー表示でも、画像一覧のスクロールや画像選択などでタッチ操作が利用できる。
ほかにもお気に入りとして整理できる [かんたん整理] モードや、編集機能を利用する場合にもタッチパネルが利用可能だ。
画像のリサイズや回転などの編集機能の一部では、タッチパネルは利用できない。
画像表示では3.0型の大きなモニターの利点を活かして、画像を2枚を並べて表示できる。2枚は別々に画像を切り替えできるので、よく似た2枚を見比べたり、全く異なる2枚を同時に鑑賞することができる。
再生モードの編集機能として、画像にタイトルや撮影日などを焼き付けることができる「タイトル編集」「文字焼き込み」がある。
これらに関しては、DMC-FX55 のレビューで詳しく触れているのでそちらを参照して欲しい。

大型3.0型モニターを採用しつつも、約280枚の撮影が可能

DMC-FX500 には専用バッテリー DMW-BCE10 が付属、フル充電の状態で約280枚(※CIPA規格準拠)の撮影が可能だ。1010万画素と3.0型の液晶モニターを搭載していることを踏まえれば、充分満足できる枚数だろう。
バッテリーは専用のバッテリーチャージャーにより、約120分でフル充電が可能だ。
本体の他に、USBケーブル、バッテリー、バッテリーケース、バッテリーチャージャー、AVケーブル、ストラップ、ソフトウェア、説明書が付属する。
※CIPA規格:カメラ映像機器工業会(Camera & Imaging Products Association)が定める電池寿命測定方法についての統一規格

総論:全部入りの機能は満足度大、タッチパネルは今後のブラッシュアップに期待

DMC-FX500 の最大のポイントは、タッチパネルの採用だ。
多機能化が進むコンパクトデジタルカメラにおいては、機能は増えても物理的なキー数の制約もあり操作が煩雑になりがちだ。そのような状況で大型化する液晶モニターに操作機能を搭載するという発想は、コンパクトデジタルカメラの方向性の1つとしてアリだろう。

DMC-FX500 のタッチパネル利用は新鮮さもあり面白いが、全てのメニュー操作で利用できるわけではないため、使い始めにはどのメニューでタッチが有効か、非有効なのか判りにくかった。
例えばタッチ操作が有効なモード選択メニューでは、ジョイスティックからの操作は受け付けないが、再生モードで次の画像への切り替えは、タッチ操作でもジョイスティックでも有効で、タッチ操作とキー操作の棲み分けが曖昧だ。

これは操作においてタッチパネルと従来からの操作キーと2つの系統があることで、ユーザーにとっては混乱を招きやすい。他のLUMIXシリーズとインターフェイスの整合性は無くなるかも知れないが、いっそのこと全ての操作をタッチパネルで完結してしまうくらいの、冒険があっても良かったように思う。
もしくはタッチパネルと操作キーのどちらでも、全てのメニューが操作できて、使い方はユーザーに委ねるといった柔軟性があってもよいだろう。

iPod touch の登場以降、携帯電話などでもタッチパネルの採用は広がり注目度が増している。新しいことをすると目に付きやすく注文も付きやすいが、デジタルカメラでのタッチパネル利用は可能性も感じられたので、ブームで終わらせずに第2弾、第3弾とブラッシュアップして欲しい。

タッチパネル以外では広角25mm、光学5倍ズーム、おまかせ iA、タッチ追尾 AF/AE、マニュアル撮影など盛り沢山の内容で、使いこなし甲斐がある。おまかせ iA で気軽に、マニュアルでコダワリ撮影をといった幅広いシチュエーションで活躍してくれる、まさに「全部入り」の一台だ。
H-lab:山地啓之)
 パナソニック [ http://panasonic.jp/ ]
 LUMIX DMC-FX500
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 発売日:2008年4月
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